詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

Estoy loco por espana(番外篇78) Joaquin Llorens

2020-07-22 10:06:50 | estoy loco por espana
La obra de Joaquin Llorens


La curva dibujada por la li’nea se encuentra con la li’nea recta creada por el so’lido.
Hay un extran’o equilibrio.
El plano cuadrado tambie’n es interesante.
Tambie’n es divertido pulir la superficie de so’lidos y planos.
El pulido desigual le da al metal su suavidad.
La suavidad esta’ conectada a la curva.

El lugar donde se coloca el trabajo (color de fondo) también es hermoso.
En el lugar de la exposicio’n, puede verse diferente.


線が描く曲線と、立体がつくりだす直線が出会う。
不思議なバランスがある。
四角い平面もおもしろい。
立体と平面の、表面の磨き方も楽しい。
均一ではないことが、金属に柔らかさを与えている。
その柔らかさが、曲線につながっている。

作品が置かれている場所(背景の色)も美しい。
展覧会会場では、また違った表情になるかもしれない。
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りょう城『しあわせなはいじん』(2)

2020-07-22 09:42:30 | 詩集


りょう城『しあわせなはいじん』(2)(モノクローム・プロジェクト、2020年01月20日発行)

 たとえば、こんな行がある。

雨の日になぜか落ちてる
軍手が
轢かれる
何度も何度も
何度もよー                           (よだれかけ)
 
 ふと見かけた情景であり、友だちに語りかけることもあるだろう。それが、その語りかけたときの口調のまま「何度も何度も/何度もよー」と書かれる。
 これは、未整理の無意識か。
 そうではなくて、意識的な批評なのだ。「何度も」を私たちはたぶん意識しない。しかし、その意識しないことを、りょうは意識した。そういうことが批評なのである。批評とは特に新しいことをいうことではない。「私は、こんな風に見た(認識した)」と明確に語ることが批評なのである。「なぜ」と考え始めることが批評なのだ。他人のことばを借りてきて、「思想/哲学」風にことばを整えれば批評になるのではない。
 「くさむしらん」は、こうである。

わたしはくさをむしりません。まなつ
でも、家の前のくさをそのままにします。
するとおおやさんがやってきて、刈ったり
抜いたり毒をかけたりします。

 大家は、除草することでりょうを「批判する」。これを批評という人もいるかもしれない。りょうは「毒をかけたります」の「毒」に「批判」をこめている。これを批評という人もいるかもしれない。しかし、私は「除草剤は毒である」というこことばを借りてきたいちゃもんであり、「批評」を装っているが、批評にはなっていないと考える。
 「そのままにします」にこそ、批評がある。
 「そのまま」であることが、いまは批評になる時代なのだ。
 借りてきたことばで、「除草剤は毒だ」といっても批評にならない。そういうことは、もう語り尽くされている。そして、「批評」として認知されている。つまり「定型」になっている。
 「そのまま」とは、何か。
 詩はつづく。

わたしはいぞんしょうしゃにあいます。かくせいざい
やアルコール、ギャンブル、食べ吐き処方薬
脱法ドラッグやガスパンや万引き、などなど。

わたしは煙草をくれる人が好き
です。1ミリのやつは泥水みたいな味が
します。15ミリのをください。

わたしはかさをさしています。雨の日も、
晴の日も曇の日も。風の日はかさが
こわれるのでカオスが路上にあふれ出します。

 「そのまま」は「なるがまま」なのである。「依存症」は、なるがままか、なされるがままか、わからないが、きっと「なるがまま」なのだ。そして、その「なるがまま」の主張を「あるがまま」ことばにしたのが、たばこを描いた三連目だ。
 整えない。社会の常識だとか、世間の声にあわせて、自分を整えない。ことばも、整えない。
 かつて、詩は「抒情」にむけてことばを整えた。古今集には、そのための「技巧」がいっぱいある。もっと前から技巧があったかもしれないが、古今集から技巧のための技巧がはじまり、それは現代詩にもつづいている。
 そう認識した上で、ことばを整えない。整えようとする圧力に抵抗して、整う前のことばを剥き出しにする。
 これが、現代の批評である。
 この「整えることを拒んだことば」を、りょうは「カオス」と呼んでいる。

 一方で、りょうは、こんなふうな詩も書く。「川」。

かなしい川 開通した
開通したら ながれて ながれて
塵芥(ごみ)も 漂う霧も
ながれていった
そのあとは いっぽんの
川の跡
さかなが跳ねても
沁みる

 さっと読むと「抒情詩」である。「沁みる」ということばが、そう感じさせるのだ。
 しかし、よく読むと、何かが違う。「塵芥」を「カオス」と読み替えてみるといい。「カオス」がなくなれば、それは「現実」ではなく、何かが存在した「跡」にしかすぎない。
 りょうは、こういう哲学的な批評も書く。
 「跡」ということばが、あまりにも短いので、見落としてしまいそうだが、見落としてはいけない。
 「いぬ」という詩も、私は大好きだ。

くろい いぬ
ひとりで空をみて、

いわがごつごつして
影には夕暮れのありんこたち
おしごとして、

海には
遠い線のところに
影のふね
けむりだして
おしごとして、

おしっこをがまんして、
くろいいぬ
ひとりで前をみて

 「おしごと」とは何か。最終連の「ひとりで前をみて」いるのは、だれか。いぬか、りょうか。「ひとりで前をみて」、何をしているのか。
 たぶん、それが「おしごと」なのだ。
 「おしごと」のときは、「おしっこをがまん」しなければならないときがある。
 いぬは、おしっこをがまんしているのか。
 どこに「そのまま」があるのか。「あるがまま」があるのか。そして、それはどんなふうにして「いま/ここ」を批評しているのか。
 書かない。
 問いかける形で、私はすでに書いている。書き終わっているからだ。

 コロナ感染が問題になったころに出版されたので、長い間、読まずに来てしまった。私は病弱なので、今回のコロナ問題では非常に影響を受けた。いまも受けている。ふつうの感じでは生きていられない。読むペースも完全に乱れてしまった。書くペースも乱れてしまった。
 まあ、そんなことは、他の人には関係がないことだが。
 でも、書いておきたい。
 長い間、六か月間も、読まずに放置してきたこの一冊に対して、なんだか申し訳ない気持ちになるのだ。
 「批評」が強烈な、とてもいい詩集だ。














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