惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

SF落語会

2016-03-31 21:16:49 | 落語

 昨夜は新宿の Live Wire にて「SF落語会」。立川三四楼くんが草上仁さんのSF短編を落語に仕立てて口演するという試み。

 演目は3つ。最初の2つはSFではなく古典落語と、その改変版。

 改変版は、酒飲みの父親と息子が酔っぱらって口喧嘩する「親子酒」をもじった「親子ドラッグ」。酒の代わりに覚醒剤をやっている親子という反社会ネタ(!)です。
 三四楼くんが最初に師事した快楽亭ブラック師匠の破れかぶれが乗り移ったのかと思いましたよ。いっちゃってる息子の表情が凄かった。
 でも、聴いてて居心地悪いよね、こういうネタは。

 本格的古典は「御神酒徳利」。占い師を装った八百屋が四苦八苦する噺です。
 ソツなく演じましたが、窮状に陥る八百屋だとか宿屋の女中だとかの性格をもっと突き詰めてもらいたかった。場面場面のメリハリも、もっと強調していいと思いました。

 本題のSF落語。原作は草上さんの「国境を越えて」(『市長、お電話です』所収)。
 ありていにいうとまだまだ落語としては出来上がっていませんでした。国を出ようとする天才科学者が機密情報を持ち出さないようにと、情報機関が脳内の科学知識を吸い取ってしまう。しかし赴いた先で、天才科学者はまた一から自力で発見し直してゆく。このあたりのくだりをメインに語っていたと思いますが、××の原理とか○○理論を口にするだけで、面白がれるところまではいってない。狙いを絞って、可笑しさを盛り込まなくては。これからに期待。

 その後、原作者の草上さんが登場して、三四楼くんと「トークショー」。
 これがいちばん心配でした。でも、前回の横田順彌さん同様、草上さんがどんどんしゃぺってくれて「天使が通る」時間がつづくという事態は避けられました。こういう奇特なゲストを呼び寄せるのも、芸風なんでしょうねえ。


幽女買い

2015-12-29 20:22:14 | 落語

 今日も年賀状を書いたり、買い物に出かけたり。どんどん押し詰まってきます。

 夕食後の落語タイムは談志師匠の「幽女買い」を全集DVDで。
 珍しい噺で、初めて聴きました。死んだ男2人が「新吉原」ならぬ「死に吉原」に出かけるという趣向。あれこれがあの世の名前に変わっていて、そもそもタイトルの「幽女買い」が「遊女買い」のもじりですね。

 マクラで「失敗するために高座にかけるんだ」と言ってます。古典として残るほどのものじゃないということでしょう。もとはもっと短いあっさりした噺だったのを、談志師匠が練り直したらしい。
 吉原へ行く前に寄席へ寄って、あの世の円生さんや志ん生さんらと会う場面が秀逸。得意の声帯模写でそっくりに演じてて笑えます。この器用さがあったから、伝統芸を現代に活かすことができたのですね。

 オチの「お迎え、お迎え!」がわかりません。ググッてみると、吉原では茶屋が客を、朝になるとこう言って迎えにきたのだとか。吉原の風習と、あの世からの「お迎え」とをかけているのでした。難しい。

 収録されたのは1982年8月。師匠46歳でまだ落語協会にいる時の高座です。
 翌年夏に落語協会から離脱し、落語立川流を始めています。その翌年、84年春に談春さんが入門。「赤めだか」の世界が始まります。

 昨夜のテレビドラマ「赤めだか」は録画して、頭の部分だけ観たところ。八重桜のある練馬の師匠宅といい、雰囲気はほぼそのままのように感じました。原作も読んでますが、細かい部分は忘れたので、これから観てゆくのが楽しみ。
 なお、談春師匠の高座は1席だけ実見したことがあります。


DVD全集

2015-11-16 20:32:40 | 落語

 いちにち部屋にこもって原稿を書いておりました。
 たまにはこんな日もあるのです(めったにありませんが)。

 原稿書きもパソコンを使うようになって、ずいぶん体は楽です。昔、原稿用紙に鉛筆やボールペンで書いていた頃は、ずっとうつむいているものだから、首は痛くなるわ、筆圧が高くて指はひきつるわ、かなりきつい作業でした。ワープロやパソコンだとそんなことはなくなった。推敲はしやすいし、ありがたいことです。編集作業も楽でしょうしねぇ。

 大きな買い物をひとつ。NHK出版から出た『立川談志全集 よみがえる若き日の名人芸』を買いました。17日発売というのが、予約してあったためか、昨日、到着。
 春に小学館版『東横落語会 立川談志』を買って楽しく聴きました。ただしCDなので、声だけしか収録されていない。やはり仕草も観たいものだと思って、今回、DVD全集を買ったのです。
 でも、仕事が忙しいこともあってまだ観てません。早く観たいぞ。


三十石

2015-10-23 21:33:53 | 落語

 夕方の散歩は鶴川街道の揺れる歩道橋(正式には「多摩川歩道橋」というらしい)方面へ。

 何度か書きましたが、この歩道橋はよく揺れます。普通に歩くだけで、上下にフワフワと揺れて、渡り終わって地面の上を歩いても、後遺症で変な気分がします。幅が狭くて長いので、揺れやすいんでしょうね。
 今日は前を歩く男の人がいたので、歩くリズムを合わせれば揺れが増幅されるのではないかと考えたのですが、どうもうまくゆきませんでした。逆に打ち消すようなことになってしまったかも。残念。

 夕食後の落語タイムは6代目・三遊亭円生師匠「三十石」
 もとは上方の噺だそうで、三遊亭円喬が東京に持ち帰り、5代目・円生(6代目の父親)に引き継がれ、それを6代目の自分が聞き覚えたと、マクラで語っています。

 45分もある大きなネタで、淀川を下る舟に乗る江戸の旅人と、現地の人たちとのやりとりが中心。円生師匠の京言葉、大阪弁が聴ける、楽しい高座となっています。
 船宿の喧騒や、川に漕ぎ出してからの広々とした様子など、いながらにして旅の雰囲気に浸れる。見事なものです。
 ずっとリアルな見聞録風な描写なのに、最後に来てろくろっ首が登場。あっけにとられました。

 いや、これはいいなァ。〈NHK落語名人選〉の録音。


狸賽

2015-10-20 20:49:52 | 落語

 まずまずの秋晴れ。今日もサラダホウレン草の種を蒔いてみました。
 前回は、プランターの3分の1ぐらいに蒔いたのですが、ぼつぼつと芽が出てきました。古くなった種でも使えるみたいなので、残る部分にも追加して。

 ベランダには緑のカーテンがあって葉っぱが枯れ落ちます。それをプランターの表面に積み重ね、シマミミズの餌にしてきました。ホウレン草はその枯葉を掻きのけ、ミミズの糞が混じった土に穴を掘って種を埋めるのです。
 今日は寄せた枯葉をすっかり別の鉢に移し、土の表面近くにいるミミズも一緒に引っ越してもらいました。いずれこちらの鉢にも何か植えたいと思っています。

 今日の夕食後の落語タイムは五代目柳家小さん師匠の「狸賽(たぬさい)」。
 師匠の風貌を思い浮かべると、子狸がぴったり合っている気がします。実際、高座では所作も狸然として楽しかったみたい。
 しかし、音だけで聴くと、狸に、サイコロに化けろとそそのかす博打打ちの口調が印象的です。可愛がっているようで、自分の欲からも逃れられない。「1」は、逆立ちして尻の穴を見せる(演者によってはヘソだったりするようです)とか、「2」が目玉ではあるものの、横に並んでしまうので、「はす(斜め)にしろ」と言ったり。細かいやりとりが聴きどころです。
 子狸が一所懸命、サイコロになって色々な目を出そうとしているところを想像するだけで、笑いがこみあげてきますよねえ。