昨日(6月14日)ワイフと武蔵村山のモールに映画「ハゲタカ」を見に行った。中々面白い映画だった。約2時間15分退屈するところがなかった。ストーリーは日本の名門だが問題を抱えるアカマ自動車を中国の国家ファンドが買収にかかり、それを鷲頭ファンドという日本人が率いるファンドがホワイトナイトとして防衛するという話だ。
メインシナリオを加えて、中国残留孤児の問題、派遣社員の不法採用や解雇の問題、リーマンブラザース(映画ではスタンリー・ブラザース)の破綻問題、サブプライムの一種オルトA市場の崩壊、オイルマネーなど現在の金融や経済を取り巻く話題が盛り込まれていて中々リアリティがある。
だが本当のリアリティは中国のファンドが日本企業を買収することがあるかどうかだ。今のところ具体的にこれ程大きな買収の話は聞かないが、中国企業による日本企業への投資や場合によっては買収ということは今後起きると予想されることだ。
というのは中国政府は今まで制限していた中国企業による海外投資を大きく緩和することを決めたからだ。中国政府は中国企業が輸出で稼いだ外貨(主にドル)で米国国債を買っていたが、米国債一点投資の不安から民間企業に稼いだドルによる投資を進める方向に舵を切ったからだ。
企業を投資対象と見て、買収後は一番投資リターンが高くなるように企業の再編や解体を平気で行うという点で中国人とアメリカ人の企業観はよく似た面がある。資本の論理が支配する世界だ。もっともアメリカ人の企業観は多様なので、拝金色が強く企業倫理が一般的に低い中国の企業観と同一視する訳にはいかないが。
アカマ自動車は中国ファンドの買収から逃れるが、社長は経営責任は経営責任を取らされて解任される。アカマ自動車が新しい社長の下で困難な再建を果たせるかどうか?映画はここで終わる。
グローバル化は否応なしに日本企業を激しい資本の論理の下に置いたことを描いた迫力ある映画だった。「こんなことってあるの?」と映画の後ワイフは聞く。かなりリアリティがあると思うよというのが私の答だ。近未来を含めての話だが。