金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ハイテク企業の設備投資増加懸念で10月末株価急落

2024年11月01日 | 投資
 ハイテク企業の四半期決算発表が続く中、昨日(10月31日)は株価が急落した。WSJのBig Tech Earnings drag down stocksによると、ナスダックはこの日2.8%下落して、月間では0.5%のマイナスになった。S&P500は月間で1%、ダウは月間で1.3%と下落となった。
 株価急落の原因は、ハイテク大手のマイクロソフトやフェイスブックの親会社メタの今後の見通しや設備投資増加に投資家が懸念を示したことだ。
 マイクロソフトやメタの決算そのものは、アナリスト予想を上回っていたが、マイクロソフトは今後クラウドビジネスの成長が鈍化するという予想を示し、メタは来年設備投資が大幅に増加するという見通しを示した。この結果マイクロソフトの株価は6.1%下落、メタは4.1%下落した。
 ハイテク売りの中でアマゾンの株価も3.3%下落したが、昨日取引時間後に発表された決算報告の後、5%以上上昇した。
 クラウドサービス部門の前期の成長率は、アマゾンの19%に対し、マイクロソフト33%、アルファベット35%と追い上げる2社の方に勢いがあった。
 しかしアマゾンのクラウドサービス部門の営業利益がアナリスト予想を上回ったことや、コストカット姿勢が投資家に好感されたとようだ。
 また堅調が予想される年末商戦がアマゾン株を後押ししたのかもしれない。
 いずれにせよ、少数のハイテク銘柄が相場を牽引している市場では、その少数企業の企業業績や業績見通しが株式市場のボラティリティを高める。
 なおWSJによると、この日世界最大の製紙会社インターナショナル・ペーパーの株価が13%急上昇するなどハイテク銘柄以外で値上がりする銘柄があった。
 相場のボラティリティは、色々な株に買い場を与えるという意味で悪いことばかりではないのかもしれない。
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最近のドル高、トランプ勝利に賭ける人が増えているからか?

2024年10月23日 | 投資
 ここ数日ドル円為替レートが150円を超えるなどドル高傾向が進んでいますね。
 その一つの要因として、米国大統領選挙で共和党のトランプ氏が勝つことに賭けているヘッジファンドが増えていることがあるかもしれませんね。
 WSJに10月22日付でWall Street pros get into position to profit from a Trump winという記事がでていました。
 記事によると、世論調査ではトランプ氏とハリス氏の接戦が報じられていますが、一部のヘッジファンドはモメンタムの変化を察知し、トランプが勝てば儲かるようなポジションを増やしているということです。
 トランプ氏が掲げている政策は「アメリカ第一」に基づき、輸入品に10~20%の大幅な関税を課し、中国からの製品に対しては60%以上の関税を課すというものです。
 これにより、何が起きるか?というとインフレが再燃します。メリットを受ける企業は国内製造業やインフラ関連企業でしょう。またバイデン・ハリス政権の反トラスト的な政策が後退するので、企業活動が活発になると信じる人が多いと思います。
 これらのことによりドル金利は上昇し、米国では長期金利の方が短期金利より上昇し、イールドカーブがスティープニングすると予想されます。
 このことからドル高が予想される訳です。
 もっとも大接戦の大統領選挙という結果が予想し難いものに賭けないというヘッジファンドは多いようです。何故なら今年の運用成績は好調なので、ここで危ない賭けをする必要がないからです。
 私もその考え方は正しいと思います。そして短期的には、選挙結果により多少資産価値がボラタイルになることはあっても、長期的には経済のファンダメンタルズが金利や株価を決めていくと考えておくのが良いでしょう。



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専門家には選挙の結果より、公的債務拡大が最大の懸念

2024年10月22日 | 投資
 「金融の専門家は目前の選挙の結果より、公的債務の拡大を一番懸念している」というと日本の話か?と思う人がいるかもしれないが、これはCNBCに載っていたアメリカの話だ。
 大統領選挙日は11月5日火曜日なので、投票日まで後2週間となった。
 異例の接戦が続くというのが一般的な見方だが、アメリカの新聞では、トランプ前大統領が話題になっていることが多い。投資家の間では、ハリス副大統領の選挙戦スタート時の勢いは衰えて、トランプが勝利するのでは?という見方がでているようだ。
 もっとも大統領選挙でどちらが勝っても、長期的には株価のパフォーマンスにさほど影響は与えないという冷静な見方する人が多いようだ。
 これは日本の総選挙についてもいえるのではないか?
 さてAs nervous investors worry about the presidential election, public debt is a top concern financial advisors sayというCNBCの記事によると、Natixis Investment Managersが米国の300人を含む世界20カ国の金融アドバイザー2,700人に調査を行ったところ、公的債務を最大の経済リスクにあげた人が一番多かった。
 ちなみに公的債務を経済リスクのトップにあげた人は64%で、世界的な紛争が62%、持続的なインフレが61%、米国と中国の関係が61%、高金利の長期化が56%、株価バリュエーションが52%、ハイテクバブルが50%、中国経済が47%、企業の高い債務比率が44%と続いている。
 気候変動を一番のリスクにあげた人は38%だった。
日本の衆院選の候補者の公約を見ると与野党とも「財政健全化より財政発動による生活防衛や景気拡大」を掲げている人が多いから、どの政党が勝っても、当面は公的債務は拡大するだろう。
 ところで公的債務が増えるということは、元利金の支払いのために、将来の税金が増えるということを意味する。誰が税金を払うのかは別にして、誰かが税金を払わないと国は破綻してしまう。あるいは税収が増えないのであれば、支払社会保険料など国に支出を減らすことにならざるを得ない。
 今の日本の候補者はそんなことをいわず、目先は税金を使って景気を良くしましょうと声を張り上げている。
 だが少し冷静な選挙民は、いずれそのツケが国民に回ってくることを知っている。増税か?社会保険料負担の引き上げか?あるいは公的年金の削減か?健康保険の給付削減か?あるいはそれらの組み合わせか?
 こんな中個人のリスク資産投資が増えている。日銀が発表している資金循環統計によると、過去1年で株式投資残高は15%強、投資信託は27%増えている。
 NISAの拡充と相場付きが良かったことが主な要因だ。
 だが好調な相場は永遠に続くものではない。
 ゴールドマン・ザックスは、最近「今後10年間の市場インデックスの名目的なトータルリターンは3%に過ぎない。これまでの10年間のリターンは13%で、長期的なリターンは11%だったが」と予想している。
 ゴールドマンの弱気の予想は、これまでの株高がNVIDIAなど一握りの銘柄により起きたもので、それらの株高はバリエーションの高さから来ているというものだ。
 平たく言うと、人工知能銘柄への過剰期待が生み出した株高といえる。
 ゴールドマンの予想は、悲観的過ぎるかもしれないが、今年のようにS&P500の年初来のパフォーマンスが23%という高いパフォーマンスが持続しないことは確実だ。山高ければ谷深しである。
 公的債務の負担拡大と株式相場の低パフォーマンスと異常気象に伴う風水害リスク。私が今後の日本のリスクをあげるとすればこのようなところだろうか?


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米国株下落、原油高に加えてアマゾン、アップルのダウングレード

2024年10月08日 | 投資
 昨日(10月7日)の米国株は、3市場とも1%前後下落した。
 大きな要因は、中東紛争で原油価格が上昇しているこことだ。
 くわえて、ウエルスファーゴがアマゾン株を「中立」に、ジェフリーズ証券がアップル株を「買い」から「ホールド」に格下げしたことで、両銘柄の株価が下落した。
 もっともこの格下に反発する声もある。ジム・カーマ―氏は両株のダウングレードに反対で、株価は上下することはあっても、しっかりした会社に投資を続けることはメリットがあると述べていた。
 そこはそれぞれの思惑だが、今年前半まで市場を牽引してきた銘柄に疲れが出始めていることは間違いないだろうし、そろそろ利益を確定しておこうという人にとっては、ダウングレードは絶好のexcuseになるだろう。
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マイクロソフトのAIストーリーは複雑化する

2024年10月07日 | 投資
 このところマイクロソフトの株価がさえませんね。
 アップルやアマゾンなどIT大手銘柄に負けているだけでなく、市場平均に較べても見劣りしています。ちなみにGoogle Financeでみると、年初来のパフォーマンスはマイクロソフトが12.8%でS&P500が21.26%です。
 OpenAIのChatGPTが脚光をあびた昨年はパフォーマンスが良かったのですが、今年7月頃からパフォーマンスが低下し、連銀が政策金利を大幅に引き下げた後も株価低迷が続いています。
 その理由としては、マイクロソフトのAI投資の負担増が収益の重しになるという見方が一般的ですが、AI分野で競合他社がマイクロソフトに追いつき、同社の優位性が低下したという見方も出ています。
 WSJにMicrosoft's AI story is getting complicatedという記事が出ていました。
 ポイントを紹介しておきます。
  • マイクロソフトの収入に占める設備投資額は2023年までは15%以下のレベル(2023年は15.1%)だったが、2024年には22.7%に達し、更に25年度は28.2%、26年度は26.9%と予想するアナリストがいる。
  • 設備投資の多くは、Nvidiaの高価なチップやチップの液体冷却システムなどAIのインフラ投資に使われる。
  • マイクロソフトは、OpenAIの巨額資金調達に参加し、最大の外部利害関係者になっている。しかしマイクロソフトはこれまでのところ、Copilotなどの生成AI製品からの具体的な収益を明らかにしていない。またAI分野でのマイクロソフトの優位性は薄れ、現在の株価のプレミアム部分の正当性が薄れているというアナリストもいる。
  • もっとも現在でもアナリストの93%は同社株を「買い」と評価している。


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