金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

退屈なことは素晴らしい、少なくとも連銀と株には

2014年05月01日 | 株式

一般に「退屈なことは素晴らしい」とは思わないが、昨日(4月30日)に限れば、

For the Fed and the markets, boring is beautifulだったとCNBCのニュースタイトルは告げている。

朝方発表された米国の第一四半期GDP成長率はたった0.1%だった。朝方株価は下げ基調だったが、連銀は予想されていたとおり、毎月の債券購入額を100億ドル減らして450億ドルにするという声明の中で「第一四半期の低い経済成長率は冬の悪天候のため」と明言したので、株式市場は今年後半の経済成長を期待して買い上がった。

ダウは終値で16.580.84と高値を更新した。

さて冒頭で一般に「退屈なことは素晴らしい」とは思わない、と書いたが何故そうなのか?と考えると、人間の脳は「何の刺激もない状態より刺激のある状態つまりリスクを好む傾向がある」という最近の脳科学の研究成果が参考になる。

平たくいうと適度にストレスがかかっている方がやる気がでるように脳はプログラムされている、という。

その理由を私なりに考えるとそれは「困難に挑戦しそれを達成することで快楽物質であるドーパミンがでて、気持ちよくなるという仕組みを人間(および他の生物にも)に神が与えたのは、環境変化に適合していくためだ」ということになる。

だから一般に人は平穏無事より波乱万丈を好む傾向がある(個々人で差はあるが)。

だから投資の世界では、退屈なパッシブ投資よりもアクティブ投資の方が儲かるチャンスが多いと考えてバタバタと動き回ることが多いのである。だが投資の世界では往々にしてパッシブ投資の方が高いパフォーマンスを上げることが多い。

投資の難しさは「リスクを取ることが好き」という脳の本能を押さえて、退屈さに耐えることなのかもしれない。

連銀の金融政策のかじ取りもまた然りで、市場を驚かせず淡々とときに退屈とみえる政策を進めることが大事、ということなのだろう。

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米国株、貿易収支改善で3日ぶりにスランプ脱出

2014年01月08日 | 株式

昨日(1月7日)の米国株は年初来3日続いた下落に歯止めをかけ、S&P500は11.11ポイント、ダウは105.84ポイント上昇した(各々上昇率は0.6%)。

もしS&P500が昨日も下落していたら、1978年以来のことだったとある米紙は報じていた。

株式市場を押し上げたのは、商務省が発表した11月の貿易統計だった。市場予想では400億ドルだった貿易赤字は、342.5億ドルの赤字にとどまった。これは4年ぶりの低水準。WSJによると投資家はこの数字を経済が若干高速ギャにシフトした証拠と解釈した。

新年に入ってほとんど悪いニュースがない中ずるずると値を下げていた株式市場は12月後半の強気相場の持続を裏付ける情報が欲しかったのだろう。

もっとも貿易統計は前哨戦。注目は今週金曜日(10日)に発表される雇用統計、特に非農業部門雇用者数だ。市場予想は前月比20万人程度の増加だ。もし強すぎる数字が出た場合はテーパリングの加速が想起され、弱い数字が出た場合は、経済成長への期待がしぼむという微妙な状況であることは変わらないだろう。

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NISAは成り行き注文受け付けず

2013年12月26日 | 株式
今日は12月26日。日経平均は150ポイント近く上昇して、16,150円を超えそうな勢いだ。株式市場は受け渡しベースでは新年入りしているので、NISA口座で取引ができる。NISA口座で買う人がいる一方証券税制変更に伴う益出しの売りが減っているので、需給は好転している。
今日株を買うのが正解かどうかはわからないが、しばらく保有しそうなリート株をためしにNISA口座で買ってみた。

ところで日興証券のオンラインで、成り行き発注を出すと拒否された。電話で理由を聞いてみると「成り行きの買いで注文を受けると、100万円の限度枠を超える可能性があるので、日興証券では指値注文しか受け付けないようにシステム対応しています」との回答があった。

リート株1株、2株の成り行き注文が100万円を超えるとは思わないが、限度管理の上からは指値注文しか受け付けないというのは、当然かもしれない。

他の証券会社の対応も見てみたいが、NISA口座は一つしか開設されないので試してみる方法はない。

株式市場の需給好転で証券会社の株価は軒並み急上昇。証券業界の格言では「辰巳天井、午尻下がり」というそうだが、しばらくは活況が続きそうだ。高所恐怖感はあるものの、暴れ馬としばらく付き合う、という人が増えるだろう。

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IBM下がりGoogle上がる。四半期決算後の株価

2013年10月18日 | 株式

昨日(10月18日)の米国株は全体としては小動き。ダウは2.18ポイント(0.01%)下げたが、S&P500は11.61ポイント(0.67%)上昇し、史上最高値を更新した。

個別銘柄では、減収増益のIBMが6%強値を下げ、市場予想を上回る収入をあげたGoogleの株価が8%ほど上昇した。

IBMの第3四半期の売上高は、前年同期比4%減の237.2億ドルだった。IBMは営業利益率は改善しているが、売上の減少から成長性に市場参加者が疑問を感じたのだろう。売上高減少の大きな要因は新興国でのビジネスが伸びなかったことで、その半分は中国の影響と同社は述べている。

一方Googleは、第三四半期の売上高は前年同期比12%上昇して、148.9億ドルだった。ワンクリック当たりの課金は減っているが、クリック数が増えているので大幅な増収となっている。

Googleの強みは、消費者の使う端末が、デスクトップやラップトップからタブレットに変わっても、使い続けられるソフトウエアを提供している点だ。

GoogleとIBMが直接競合する分野は今のところそれほど多くはないと思う。だがCIA向けクラウド業務の入札でIBMがアマゾンに負けたことを考えると、アマゾン、Googleといった巨大サーバを持つ新興企業とIT業界の老舗IBMの競争が激化することは間違いない。

株式市場は業界のある種のtipping point(転換点)を感じ取っているようだ。

比喩的に考えると、巨大化した恐竜が死滅し、当時ネズミサイズだった哺乳類がやがて繁栄できた大きな原因はそのサイズの差にあった。

スーパーザウルスのような巨大草食恐竜は100年から200年ほど生きたと言われているが、ネズミサイズの哺乳類の寿命は数年だった。個体の寿命が短いということは実はそれだけ突然変異による進化のチャンスが多いことを意味する。よって哺乳類は環境変化に対する適応力が恐竜より高かったというのが、生物学の見方だ。

環境変化の激しいIT業界では、規模が大きくないと競争力がでないが、規模が大きくなると革新性が失われる。恐竜になりながら、進化のメカニズムを維持するというのは容易ではない。

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米上院、債務上限合意で米株最高値へ挑戦だが・・・

2013年10月17日 | 株式

昨日(10月16日)米国上院が政府の一部閉鎖解除と債務上限の引き上げに合意したというニュースを受けて、米国株は大幅に上昇した。ダウ、S&P500とも1.4%上昇し、S&P500は9月18日につけた史上最高値まであと4ポイントに迫った。

米国株式市場は、議会の債務上限合意をめぐる紛糾を冷静に判断し、米国債のデフォルト回避を織り込んでいたため、大きなパニックは起こらなかった。

このことは逆にいうと、瞬間的にはショート筋の買い戻し等で株価は急上昇する可能性があるが、それだけでは長続きしないだろう。市場の関心は経済のファンダメンタルズと企業業績に戻る。

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