金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

5月はまだ終わらず・・・

2013年05月30日 | 株式

ジュリアス・シーザーが暗殺されたのは3月15日。預言者は前から「3月15日は危険だ」と警告を発していたが、その日の朝になっても何も起こらないので、シーザーは「当日になっても何もないじゃないか」と明るく言い放ち、元老院に出かけていった。残された預言者は「3月15日はまだ終わっていません」とつぶやく・・・・・。そして元老院での暗殺。

☆   ☆   ☆

過去何年か5月になると株価が暴落するので、欧米でがspring swoon(春の卒倒)などという言葉が流行っていた。ところが今年は5月初めの雇用統計が堅調だったことなどから、5月の暴落はない、という見方が市場では広がっていたと思う。ところがである。景気が堅調なら、連銀が債券購入プログラムを縮小するのではないか?という懸念が債券投資家の間に広がり、米国金利は急上昇した。当然米国株を売られたが、もっと激しく売られたのは日本株だ。先週木曜日は7%の下落。今日(5月30日)も5%約700ポイント下落して、相場は終わりそうだ。テクニカルには完全なコレクション。今年の5月は大丈夫、と思うには早過ぎたようだ。

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株はonly game in town

2013年05月07日 | 株式

今日(4月7日)の連休明け東京市場では、株価がぶっ飛んでスタートするだろう。これは推量の話ではなく、昨日のシカゴ大証先物が2日の大証引け値の485ポイント高、14,195ポイントで引けているからだ。寄り付きは賑わいそうだ。

さてFTのS&P 500 tipped to avoid spring swoon(米国株価指数S&P500は春の気を失うような大暴落を避ける方向に傾いた)という記事の中にequity bulls believe stocks are the only game in town.という一文があった。「株に強気の人は株は最上のものと信じている」という意味だ。

only game in townなどという言葉に出会うと英語は厄介な言葉だな、と思う。「町の中だけのゲーム」ってなんのこっちゃ?となり辞書に当たると「不本意であるが選択の余地がないこと」「最上のもの」という二つの意味があり、ここでは後者を選択した。

一つ一つの単語は簡単だけれど、イディオムとなると意味が分からない、という言葉が英語を難しくする。only the game のかわりに分かりやすくbest thingsでも書いてくれるとすぐ分かるのだが、ひねった表現を使いたがるのが英米人の悪癖である。私の勝手な造語だが、これをSynonym Syndrome(同義語症候群)と呼ぶことにする。米国で仕事をした経験からいうと、大学卒業仕立ての若いオフィサーがやたらと同義語を使って文章(申請書)を書くので読むのに苦労したことがあった。たとえばsyndromeの同義語はsickness,disorderなどだが、同じ意味で違う言葉が使われると我々は「どうして違う言葉を使っているのか?なにかニュアンスの違いがあるのか?」と考え勝ちだ。だが実は違いはない。アメリカの学校では沢山単語を知っている人間が知的だ、と評価されるので同義語を沢山使って文章を書くと良い文章だ、と教えているそうだ。

さて過去数年続いた5月の暴落を避けることができるかどうかが米国株市場の今の大きな関心事だ。今年は世界の中央銀行が金融システムに流動性を供給しているので、S&P500は昨年11月に始まった強気相場で未だ5%を超えるような下落は経験しいない。FTはマッコリーグループのストラテジストのS&Pは1,742ポイントまで上昇するだろうという言葉を紹介していた。S&Pは現在1,617ポイントだからなお7.7%の上昇余地がある、という予想だ。

2013年のS&P企業の一株あたり利益が107ドルに到達すると、株価収益率16倍として1,700ポイントには手が届くという見方はできそうだ。

さて日本株だけれど、こちらも高値を追うのだろうか?

ある程度は追う、と思う。だが資産バブル期待でなんでも上がるという時期ではないと私は感じている。そろそろ配当を考えて出遅れていた銘柄が買われるのではないか?と考えている。一例でいうと自分が保有しているので手前味噌な話になり恐縮だが、日興証券のレポートによると現在16.1万円のドコモは19.9万円まで23%以上の上昇余地がある、という話だ。

安いと頭が痛いが高くなると高くなったで、高所恐怖症がでるのが株というもの。なかなかonly the game in townとは行かないと思うのだがどうだろうか。

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株式持ち合い解消は長期的にはプラス

2013年04月01日 | 株式

FTは「アベノミクスによる株価上昇で、持ち合い株が売りやすくなったので、企業が持ち合い株式を売却する。短期的には株価引き下げ要因だが、長期的には上昇要因」という見解を紹介していた。

野村證券の計算によると、この年度末(3月末)の非金融会社以外の株式含み益は11.1兆円に達した。これは昨年度末に較べて60%の上昇だ。昨年の年度末時点で企業が保有していた株式は国内株の21.6%。これはピークだった1987年の30.3%に比べると低下しているが、他の先進国に較べるとはるかに高い水準だ。

野村證券の西山シニアストラテジストは、世界第2の日本の株式市場の長年の重荷になっていた持ち合い株式の解消が始まるのではないかと予想している。

西山氏は企業は持ち合い株を売却して得た資金を、企業買収や設備投資に使い、株式市場が期待する企業成長を目指すようになるだろうという。

経営環境の変化が株式持ち合いによる古い企業関係の維持を無意味なものにしている面も後押しするだろう。

グールドマンザックスのアナリストは「持ち合い株式の売却は短期的には株価の重荷になる可能性があるが、浮動株比率の上昇は、(物言う)株主を増やすので長期的には日本株市場にプラスだ」という見解を示している。

さて問題はこの記事やゴールドマンサックスの分析を読んだ外国人投資家が目先の株価停滞や下落を恐れず、日本株を買い続けるかどうかだ。今年4兆円近く日本株を買い越している外人勢。FTによるとその規模は日本以外のアジア株の3倍になるという。アベノミクスやTPPに対する期待、環境問題や不動産バブル崩壊リスクを背負う中国経済に対する不安が日本株投資を後押ししている。

今日(4月1日)から新年度。過去は新年度入りすると年金基金などの株買いが入るので、4月の相場は強いと言われていた。だが年金基金はリバランスを行う。時価評価をして、資産配分計画に較べて、時価比率が上昇している資産を売却して、時価比率が低下している資産を購入し、資産配分比率をもとに戻す訳だ。株価も上昇しているが金利低下で債券価格も上昇している。ということはリバランスの影響はあまりないのだろうか?

色々なことが起きそうな4月である。

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来年は「大輪作」の時期?

2012年12月30日 | 株式

FTは農家が収穫高の最大化を目指して輪作を行う「輪作」の原理が金融市場にも適用できるかもしれないと書き出していた。

2012年は世界的に株高だった。米国のS&P500は1年間で12.23%上昇、欧州のEurofirst300は14.97%上昇、エマージングものもMSCIEmerging ETFが14.3%上昇した。中でも年末にかけてラリーが激しかった日本株(TOPIX)は18.01%上昇と世界のインデックスの中で一番上昇した。

世界的な株高の一番の理由は中央銀行の無制限な金融緩和政策だ。出遅れていた日本でも安倍政権の誕生で本格的な金融緩和・インフレ政策が取られるという予想から、株価が急上昇した次第。

では来年は「株高」にかけて大輪作をする時期だろうか?

予測を立てる前に過去を少し振り返ってみよう。今年1年日本株は18%上昇したが、昨年1年間では19%近く下落した。つまり2年通しでみるとまだマイナス。2008年年央には1,400ポイントだったTOPIXは12月末で859ポイントに過ぎない。

一方2008年年央に1400ポイントだったS&P500は12月にはほぼ同水準に戻している。日本株は出遅れているのかそれともファンダメンタルが違うのか?

農作物の輪作には長年の経験で蓄積された叡智が働く。しかし金融市場の輪作原理はそこまで熟していない。1つ2つの作物に大きな財産をかけるのは危険だ。来年も色々な作物に分散するのが賢明なやり方だ。だが少しエクイティの植え付けを増やしてもいいだろうと私は考えている。

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日本株、インサイダー取引懸念再び高まる

2012年04月23日 | 株式

大手の投資家は、現在のところ米国株の先行きをポジティブにとらえている向きが多いが、日本株に対してもある程度関心を高めているだろう。

ところで日本株への関心の高まりとともに、投資家の懸念材料も高まるとFTは指摘する。それは「インサイダー取引」だ。

金融危機に際して起きた英米でのインサイダー取引に対する規制強化は、日本ではまだ実施されていない。3月に中央三井アセット銀行(当時)が、課徴金支払勧告を受け、先週は公募増資公表前の情報を顧客に流したとして、SMBC日興証券が業務改善命令を受けたが、これは少数の例外だ。

ここでFTはIT会社SCSKの2月6日の市場終了後の株価の動きを紹介し、多くの投資家は懸念を抱いていると述べる。

SCSK株式海外売り出しの終了に伴い、SCSKの第2の大株主が12%の持分を売却するというニュースが流れ、翌日SCSKの株価は6%下落した。また取引高は前月取引平均の25倍にのぼった。同社の株式海外売り出しのブックランナーだったドイチェ銀行・野村はノーコメントであった。従ってこの取引の背景に何があったかは謎だが、市場参加者の間では取引を知っていた人間から情報が流れたと信じられている。

一連のインサイダー疑惑により「日本の株式市場は少数の投資家が日常的にインサイダー情報により、利益を得る市場だ」という見方が再び海外投資家の間に広がりつつある。

コメント (3)
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