監督 川口浩史 出演 尾野真千子、原田賢人、大前喬一、ホン・リウ、チャン・ハン
台湾の緑、特にトロッコでゆく山の中の湿気を含んだ緑はとても美しい。そして、不安になった帰るときの2人の幼い兄弟の姿はとてもいい。
けれど。
なぜ、トロッコ? なぜ、台湾? それがまったくわからない。
わからなくてもいいのかもしれないけれど、変だなあ。不全感が残るなあ。
幼い兄弟と、村の子供たちの対立、融合も、わざわざ台湾へいかなくてもいいと思う。日本の小さな集落(もっとも、いまは、そういう集落にはこの映画にでてくるほど、たくさんの子供は遊んでいないけれど)でもいいのではないか。山の緑にしても、日本には日本の山の緑の美しさがある。
芥川龍之介の「トロッコ」の、ひとりの主人公を、ふたりに置き換えたところは出色。ふたりにすることで、兄の一生懸命我慢している感じが切実になってとてもいいのだけれど、それでも、ねえ。なぜ、台湾?
日本が舞台だとなぜ、いけない? 日本にはトロッコがない? 子供がたくさんいる集落がない? だとしたら、そのことに則した映画にしないと。
これでは、絵空事。
お兄ちゃんの頑張りが泣かせるだけに、とても残念。
