詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

安倍の手口(天皇生前退位特例法成立後の動き)

2017-06-18 19:26:48 | 自民党憲法改正草案を読む
安倍の手口(天皇生前退位特例法成立後の動き)
               自民党憲法改正草案を読む/番外88(情報の読み方)

 2017年06月18日読売新聞朝刊(西部版・14版)は1面・2面に御厨貴の寄稿が載っている。「上皇・天皇・皇嗣の新時代」というタイトルがついている。
 このなかで御厨は、こう書いている。

 この国は明治150年を迎えて、初めて「天皇御一家三代おそろい」の形での移り変わりを体験する。

 「天皇御一家三代」とは何か。いま、「天皇-皇太子-愛子」という「三代」がある。「天皇-秋篠宮-真子・佳子・悠仁」という「三代」がある。しかし天皇が生前退位したあとの「上皇(今の天皇)-天皇(皇太子)-皇嗣(秋篠宮)」というのは「三代」か? 私の数え方では「二代」である。これが「三代」になるためには、

上皇(今の天皇)-秋篠宮-悠仁

 にならないといけない。
 つまり、

天皇-天皇の子供(男子=皇太子)-皇太子の子供(男子=天皇の孫)

 でないと、男子直系の「三代」にはならない。
 「皇位継承」ということで「天皇-皇太子-秋篠宮」なら、すでに今の皇位継承順位とかわらないし、そのあとに悠仁を結びつけるなら「四代」にわたって「継承」は決まっている。わざわざ「三代」に引き戻して論理を展開する必要がない。
 安倍は口をつぐんでいるが、安倍の選んだ「有識者会議」で「座長代理」をつとめた御厨が、安倍の「意向」を口にしてしまっているところが、なんともおもしろい。
 安倍は天皇を生前退位させたあと、皇太子を天皇にするが、それは「仮の天皇」であることがここからもうかがえる。「新しい天皇(皇太子)」を早く退位させ、「秋篠宮-悠仁」を「天皇-皇太子」という形にする、そうすることで「三代」の天皇継承をスムーズにする(?)という狙いが「生前退位特例法」にあったことを、明確に語っている。
 「新しい天皇(皇太子)」を早く生前退位させるためには、「定年制」は絶対に設けてはならない条項だったのだ。

 興味深いことはいろいろ書いてある。

(1)陛下は、戦後憲法の定めによる“象徴”としての公的行為の創設者である。
(2)問題は陛下創設の“象徴”としてのお勤めの総量・総体にある。
(3)(宮内庁は、公的行為はこれ以上軽減は不可能、限界であるといっているが)次代の天皇にも同様の限界論が生じる恐れはある。
(4)(専門家のヒアリングでは)次代の天皇が自ら「象徴としてのお務め」を新たに創出していくプロセスで、選択の自由を行使してもよいとの方向性を示唆していた。

 私は、これを「象徴としての務め」はいまの天皇が勝手に自分ではじめたこと。それをそのまま次代の天皇が引き継ぐ必要はない、といっているのだと読む。
 選択してもよい、とは、減らしてもいいということである。減らせば「総量」が減るから「限界」ではなくなる。
 というのは、みせかけの論理。
 天皇が国民と直に接触する機会を減らし、天皇と国民の密接な関係をなくしたいのである。
 「天皇(皇室)」を「皇居」のなかに閉じこめ、発言を封じる。これが安倍の狙っている「独裁」の理想像なのである。
 現在の天皇は「護憲派」と見られている。皇太子も天皇の考え方に近いようにうかがえる。秋篠宮は少し距離がある。なんといっても、「皇太子」として教育されていない。意識がちがう。その子供の悠仁は「象徴」につていも、「憲法」についてもまだ明確な考えを持っていないだろう。天皇になるための教育も行われていないだろう。早く悠仁を「摂政」にして、天皇(秋篠宮)を蚊帳の外におき、安倍が「天皇」として権力を奮うということである。
 御厨は、その安倍の欲望(意向?)を忖度して、こういう文章を書いたのだろう。
 末尾に、御厨はこう書いている。

「上皇陛下」「天皇陛下」「皇嗣陛下」と三代おそろいで極めて多彩な彩りを持つ天皇制度が、まもなく開花する。

 私は、この部分をこう読む。

 「上皇陛下」「天皇陛下」「皇嗣陛下」と「陛下」が三人もいては、「統一」した見解、行動はむずかしい。三人がばらばらな考えを実行に移すようでは国民が混乱する。「多様性」は「混乱」のもとである。だから三人の行動(国民との接触行動)は極力少なくし、安倍の考えだけが国民に伝わるようにする。「独裁」がスムーズに行われるようにするために、三人の行動を制限する。
 「独裁」が天皇の生前退位によって加速する、と読む。
 こういうことをごまかすために「多彩な彩りを持つ天皇制度が、まもなく開花する。」というような「美しいことば」がしめくくりに選ばれている。

 安倍は直接語らない。安倍の「意向」を語ってくれる人を選び、その人間に語らせる。見返りは「優遇」である。御厨がどんな「優遇」をこれから受けるのか(すでに受けているのか)知らないが、私は、そんな具合に「妄想」する。


#安倍を許さない #憲法改正 #加計学園 #天皇生前退位
 
詩人が読み解く自民党憲法案の大事なポイント 日本国憲法/自民党憲法改正案 全文掲載
クリエーター情報なし
ポエムピース
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米イージス艦衝突の報道からわかること

2017-06-18 09:42:25 | 自民党憲法改正草案を読む
米イージス艦衝突の報道からわかること
               自民党憲法改正草案を読む/番外87(情報の読み方)

 2017年06月17日、米イージス艦とフィリピン船籍のコンテナ船が伊豆沖で衝突した。7人が行方不明である。この報道には非常に奇妙なものがある。
 2017年06月18日読売新聞朝刊(西部版・14版)は1面にコンテナ船の航路を克明に「図入り」で描いている。「午前1時30分 ほぼ直角に右旋回。このころ、米イージス駆逐艦と衝突か」という註釈がついている。コンテナ船は衝突後現場に引き返し、再び目的地へ進んでいる。
 コンテナ船の「航路」がわかるなら、イージス艦の航路はもっと正確にわかるだろう。米軍がイージス艦がどう動いているか把握していないはずがない。どこにいるのか、どう動いているのか即座に把握できないようでは実際の「戦闘」のとき困るだろう。いまは「戦争」が起きていないから、どこにいるのか、どんな動きをしているのか把握していないというような、ばかげた「運用」はないだろう。
 で、ここからわかることは。
 米軍は何があっても米軍の情報を日本には提供しないということである。
 今回の場合、「7人不明」が米軍関係者だが、これが民間人だったらどうなるのか。日本人だったらどうなるのか。安倍は(日本の捜査機関は)、米軍に情報を要求し、徹底捜査ができるのか。
 よくわからないが(「日米地位協定」を読んだことがないのでわからないが)、米軍は日本に情報提供などしないだろう。米軍がかかわる事故については米軍が捜査(調査)するだろう。捜査の「支配権」は米軍にあるだろう。
 で。
 もし不明者がコンテナ船の乗組員だったら、日本人だったら、どうなるのか。どんな捜査が行われ、どう結論づけたのか、日本が検証できるのか。

 平和時でさえ、こうである。実際に戦争が起きて、その渦中で事故が起きたときは、もっと情報は公開されないだろう。イージス艦が横須賀基地を出港したということさえ公開されないかもしれない。
 「自衛隊」が米軍といっしょに戦うとき、その「指揮系統」がどうなるか、ということもここから考えてみる必要がある。
 安倍は有事の際に自衛隊が必要であるというが、有事の際、日本にいる米軍はどう行動するのか。米軍と自衛隊の行動を指揮するのは誰なのか。安倍は安倍自身を「最高責任者」と呼ぶことが大好きなようだが、有事の際も「最高責任者」なのか。日本にいる米軍を指揮できるのか。
 できないだろう。
 自衛隊は、米軍の指揮下に入って、米軍の「先鋒」とし戦うということになるに違いない。米軍の直轄になり、安倍ではない誰かの指揮を受けるしかない。
 それでも「自衛」隊と言えるのか。
 「有事を想定する」というとき、安倍は、北朝鮮など、外国が日本を攻撃してくるということだけを想定している。その攻撃に対して、どうやって「自衛隊」が行動するか、そのときの「指揮系統」はどうなるかを説明しない。「指揮系統」のわからない戦争など、何の役にも立たない。
 朝鮮半島にいる日本人がどう避難するか、さらには日本国内の日本人がどう避難するかということさえ「指揮系統」にからんでくる。すべて米軍の判断待ちになってしまう。
 日米は「対等」ではないのだ。「対等の関係」ではないのだ。

 そういうことが、今回の「情報公開」から「わかる」。

 船同士が正面衝突しそうになったとき、どうするか。「海上衝突予防法では、海上で船同士が衝突する危険性がある場合、相手が右側に見える船に衝突回避義務がある。正面衝突を避ける場合は、互いに右にかじを切る規定されている」と読売新聞は書いている。事故写真をみると、イージス艦の右舷が壊れている。イージス艦の右舷にコンテナ船がぶつかった形だ。右舷が壊れているということは、イージス艦の「右手」にコンテナ船が見えたということだろう。回避義務はイージス艦にある。
 また正面衝突の危険があったかどうかはわからないが、コンテナ船は右にかじを切っている。このことから想像すると、コンテナ船は衝突を回避しようとしていると想像できる。
 船のことはさっぱりわからないが、海上衝突予防法で最初に書いている「衝突の危険性」というのは「T字型の衝突」のことだろう。そのときはようするに、航路を横断する形の船に責任がある。正面衝突を避ける場合、右にかじを切るというのは、船が右側通行を原則とするということだろう。今回の場合なら、イージス艦は海岸より、コンテナ船は太平洋沖より。そうすれば正面衝突はしない。コンテナ船が西から東へ進んでいて、衝突を回避しようとして右にかじを切った。それがイージス艦の右舷にぶつかったということは、イージス艦が伊豆沖を西に向かって進んでいるのではなく、どこかの地点で左方向に(太平洋沖の方向に)向きを変えているということだろう。左折したということだろう。つまりコンテナ船の航路を横断する形になっているということだろう。そのためにぶつかった。
 こんなことは、イージス艦の「航路」が公表されればすぐわかることである。
 またイージス艦に非がなくて、コンテナ船に過失があるのだったら、これも即座に公表されることだろう。航路全体を公表しなくても、イージス艦は「右側通航」を守っていた、それに対して左側通行をしていたコンテナ船が急に右にかじを切ってきたというくらいは言えそうである。そうしないのは、慎重に捜査しているというよりも、どうやって米軍の過失をごまかすか検討しているということだろう。



#安倍を許さない #憲法改正 #加計学園 #天皇生前退位
詩人が読み解く自民党憲法案の大事なポイント 日本国憲法/自民党憲法改正案 全文掲載
クリエーター情報なし
ポエムピース
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする