どう指示するか、どう読み取るか
自民党憲法改正草案を読む/番外195(情報の読み方)
「森友学園文書改竄」に関する参院予算委。2018年3月20日の読売新聞
(西部版・14版)の一面では
という見出し。これは安倍側の描いた「構図」をそのまま述べたものだ。
責任を財務省と佐川におしつけて収拾をはかろうとしている。
大きくは取り上げられていないが、私が読んだかぎりでは、今回の審議のポイントは2点ある。いずれも太田財務省理財局長が関係してくる。
(1)自民党の和田政宗が太田に対して、民主党政権時代に野田首相の秘書官を務めたことに触れたあと、
これは何としてでも財務省に責任をおしつけようとする意図を鮮明にあらわしている。安倍を擁護できれば、何でも言うといたぐいのものである。
自民党議員を名乗って質問しているのだから、これは自民党の基本姿勢だといえる。読売新聞は小さくしか報道していない。こういう「暴論」は取り上げるに値しないと判断しているのかもしれないが、「ちいさなほころび」こそが、今回の事件のポイントである。
こういう発言を自民党幹部が「容認」しているのは、自民党全体が、財務省にすべてを押しつけようとしているということである。
これに対して麻生が何も反論していないのがひどい。財務省を管轄する大臣として、「財務省を侮辱することは許せない」と言うべきである。言わないのは、財務省の職員がどうなろうと知ったことではないと思っているからだろう。
(2)共産党の小池が、なぜ昭恵の名前が記述されていたのか、と問うたのに対して、太田は、
と答えている。文書の改竄をしたといわれている佐川ではなく、太田がそう答えている。だとすれば、これは財務省の職員の多くに共有されている認識である。「総理夫人」が関係している案件であると認識していない担当者はいないとさえ言える。
安倍は関与していないと主張しているが、財務省職員は「関与」と認識している。そして、その「証拠」が昭恵の名前である。安倍は「私の発言がきっかけとの仮説が事実なら、全ての削除された箇所に妻の記述がなければならない」と言うが、すべての削除箇所に昭恵の名前がないと、昭恵が関与しているかどうか財務省職員に認識されないと考える方がおかしい。「秘密」の共有は一回でいい。
「回数」は関係ない。「一回」であるとしても、そこから「何を読み取るか」である。
「昭恵」を総理夫人と読み取るなら、昭恵の秘書の谷の名前も総理夫人秘書と読み取るだろう。そういう「読み取り方」を「仕事」としているのが官僚なのではないのか。そういう「読み取り方」を指導しているのではないのか。
これは官僚に限らない。どんなビジネスの世界でも、個人を個人としては見ない。「組織」というか「体系」を念頭において動いている。
今回の事件の「黒幕」が誰なのか、わからない。それが、たとえば安倍の側近だとする。その側近の指示で佐川が動き、佐川がまただれかを動かす。こういうとき、「黒幕」の指示は、そのまま安倍の指示である。安倍が直接指示しているかどうかは問題ではない。指示を受けた人間は「安倍の指示」と受け止める。
どんなことでも、指示する方と支持される方があり、指示される方がどう受け止めたかが「事件」を解明するカギになる。もし指示された方の「理解」が間違っていたのなら、間違いを誘うような指示をした方が悪い。「意図」が共有されないシステムがおかしいということになる。
で、ふつうは、こういうときトップが責任をとる。
いろいろなメーカーで、「資料(データ)の改竄」がおこなわれた。社長は「データを改竄しろ」とは指示していない。「もっと、もうけろ(利益を上げろ)」と指示しただけかもしれない。それを、下部組織がどう受け止めたか。データを改竄してでも利益を上げろと受け止めたのだとしたら、それは指示の出し方に問題があったということになる。だから辞任するのだ。
自民党憲法改正草案を読む/番外195(情報の読み方)
「森友学園文書改竄」に関する参院予算委。2018年3月20日の読売新聞
(西部版・14版)の一面では
森友書き換え/佐川氏「廃棄」答弁が契機/集中審議財務省側/証人喚問来週に
という見出し。これは安倍側の描いた「構図」をそのまま述べたものだ。
責任を財務省と佐川におしつけて収拾をはかろうとしている。
大きくは取り上げられていないが、私が読んだかぎりでは、今回の審議のポイントは2点ある。いずれも太田財務省理財局長が関係してくる。
(1)自民党の和田政宗が太田に対して、民主党政権時代に野田首相の秘書官を務めたことに触れたあと、
「(財務省は)増税派だから、安倍政権をおとしめるために、意図的に変な答弁をしているのではないか」と指摘した。(読売新聞4面)
これは何としてでも財務省に責任をおしつけようとする意図を鮮明にあらわしている。安倍を擁護できれば、何でも言うといたぐいのものである。
自民党議員を名乗って質問しているのだから、これは自民党の基本姿勢だといえる。読売新聞は小さくしか報道していない。こういう「暴論」は取り上げるに値しないと判断しているのかもしれないが、「ちいさなほころび」こそが、今回の事件のポイントである。
こういう発言を自民党幹部が「容認」しているのは、自民党全体が、財務省にすべてを押しつけようとしているということである。
これに対して麻生が何も反論していないのがひどい。財務省を管轄する大臣として、「財務省を侮辱することは許せない」と言うべきである。言わないのは、財務省の職員がどうなろうと知ったことではないと思っているからだろう。
(2)共産党の小池が、なぜ昭恵の名前が記述されていたのか、と問うたのに対して、太田は、
「それは基本的に総理夫人だということだ」
と答えている。文書の改竄をしたといわれている佐川ではなく、太田がそう答えている。だとすれば、これは財務省の職員の多くに共有されている認識である。「総理夫人」が関係している案件であると認識していない担当者はいないとさえ言える。
安倍は関与していないと主張しているが、財務省職員は「関与」と認識している。そして、その「証拠」が昭恵の名前である。安倍は「私の発言がきっかけとの仮説が事実なら、全ての削除された箇所に妻の記述がなければならない」と言うが、すべての削除箇所に昭恵の名前がないと、昭恵が関与しているかどうか財務省職員に認識されないと考える方がおかしい。「秘密」の共有は一回でいい。
「回数」は関係ない。「一回」であるとしても、そこから「何を読み取るか」である。
「昭恵」を総理夫人と読み取るなら、昭恵の秘書の谷の名前も総理夫人秘書と読み取るだろう。そういう「読み取り方」を「仕事」としているのが官僚なのではないのか。そういう「読み取り方」を指導しているのではないのか。
これは官僚に限らない。どんなビジネスの世界でも、個人を個人としては見ない。「組織」というか「体系」を念頭において動いている。
今回の事件の「黒幕」が誰なのか、わからない。それが、たとえば安倍の側近だとする。その側近の指示で佐川が動き、佐川がまただれかを動かす。こういうとき、「黒幕」の指示は、そのまま安倍の指示である。安倍が直接指示しているかどうかは問題ではない。指示を受けた人間は「安倍の指示」と受け止める。
どんなことでも、指示する方と支持される方があり、指示される方がどう受け止めたかが「事件」を解明するカギになる。もし指示された方の「理解」が間違っていたのなら、間違いを誘うような指示をした方が悪い。「意図」が共有されないシステムがおかしいということになる。
で、ふつうは、こういうときトップが責任をとる。
いろいろなメーカーで、「資料(データ)の改竄」がおこなわれた。社長は「データを改竄しろ」とは指示していない。「もっと、もうけろ(利益を上げろ)」と指示しただけかもしれない。それを、下部組織がどう受け止めたか。データを改竄してでも利益を上げろと受け止めたのだとしたら、それは指示の出し方に問題があったということになる。だから辞任するのだ。
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