*韓国ナショナリズムの象徴、独島(日本名竹島)
昨年、竹島編入100周年を記念し島根県が2月22日を
「竹島の日」とする条例を成立させた。それを前後し、韓国では
オンライン、オフラインを問わず、激しい反日感情が噴出した。
ナショナリズムは実に両刃の刃だと思う。
「ヲタク」は、現代の日本や韓国に見られるナショナリズムは、その
不健全で否定的な面が前面に出すぎていると思っている。
日本側で言えば、植民地支配や侵略の歴史、さらには靖国神社への
公式参拝を正当化しようとする動きや、拉致問題をめぐるマスコミ
報道など、ナショナリズムの負の側面が前面に出すぎていて、
「ヲタク」としては批判的に見ている。
韓国側で言えば、現代的な韓国ナショナリズムの「光と影」が凝縮
されている「トクト(独島:竹島の韓国名)」問題。「ヲタク」はこれを、
人間理性を全く寄せ付けない情念の「怪物」だと見ている。
もとより「ヲタク」は、1905年、島根県に編入された竹島を日本の
「固有領土」だとも思っていない。常識的に考えて、九州のような
土地こそが固有領土だと思うが、固有領土ならわざわざ新たに
日本の領土に「編入」する必要もなかったはずだからだ。
かといって、1905年、絶海の孤島(大きな岩礁)を島根県に編入した
明治政府の措置を不当なものだったとみなす根拠も今のところ
見い出しきれてない。
そういう意味では、現時点で、「ヲタク」は竹島の日本領有説を
支持していることになるだろう。
*竹島(韓国名トクト)の位置:
鬱陵島から約92km、隠岐から約157km
韓国側がトクト(独島)領有を正当化する主要な論拠の一つに、
1900年の「大韓帝国勅令第41号」というものがある。
韓国では勅令の中の「鬱陵島及び、チュクト(竹島)※、ソクト(石島)を
管轄する」という文面にあらわれるソクト(石島)が、現在のトクト
(独島)だと解釈されている。
※この「チュクト(竹島)」は、日本側で言う「竹島(韓国名トクト)」ではない。
トクト(独島)という名称自体が、韓国側の歴史資料の中に登場
するのは、1906年の鬱陵郡守の報告書が初めてなので、
トクト(独島)の名称は時代によって変遷してきたというのが
韓国側の主張になっている。
ただし、驚くべきことには、その韓国側の「主張」を客観的に
裏付ける根拠なり妥当性のある地図や資料の提示は全く
なされていない。
少なくとも「ヲタク」が調べた限りでは、全てが、ソクト(石島)を
トクト(独島)と見なすこの勅令41号の解釈のように、
かなりの無理があるずさんなものばかりであった。
勅令公布の前年にあたる1899年、大韓帝国が派遣した鬱陵島
調査団の報告では、鬱陵島の周辺に存在する六つの小島の中で
特に目に付く島が2島あり、それがチュクト(竹島)とウサント
(于山島)だと記録している。
鬱陵島周辺の六つの小島にしろ、その中でも特に目立つ大きな
2島にしろ、現在、確認できる実際の地理とも一致しており、この
調査団の報告はかなり正確なものだったと言えよう。現在、鬱陵島
周辺では、島と名づけられたチュクト(竹島)とカンウムト(観音島)
の2島と、「サムソンアム(三仙岩)」のように「岩」と呼ばれている
岩礁が4つ確認できる。※
※論争を目的とした文章でもないので、詳しい資料の提示は省いている。
関心のある方はカフェの資料集、「日韓関係」掲示板を参照して欲しい。
トクト/竹島問題をめぐる日韓双方の関連リンクを整理している。
*現在、一般的に使われている鬱陵島地図
*三仙岩(上図3)
おそらく、1900年前後の大韓帝国関係者の認識ではウサント
(于山島)とソクト(石島)は同じ島だったと推測できる。
また、調査団の報告や勅令に登場するチュクト(竹島)は現在の
チュクト(竹島)と同じ島だと推測される。こうした点については、
現在の韓国でも同様の解釈がなされている。
*竹島(トクト)よりも大きい「チュクト(竹島)」
ところで、現代の韓国人の中で、トクト(0.187k㎡:西島0.089k㎡、
東島0.073k㎡)よりも大きなチュクト(竹島、0.208k㎡)なる島が
鬱陵島の近くにあることを知っている人は極めてまれだろう。
ましてやトクトの西島や東島と同規模の大岩礁である観音島
(0.071k㎡)のことを知っている人など、ほとんどいないと見ていい。
韓国の教育やマスコミでは、資料や地理を検証する姿勢は皆無で、
トクト(独島)が太古の昔より韓国領であったとする「信念」を
補強する材料としてのみ、各種資料が部分的・恣意的に
利用されているだけなので、むしろ厳密な検証は意図的と
言ってもよいほど避けられている。
例えば、ネイバーの百科事典一つを取って見ても、鬱陵島周辺の
こうした島々やトクト(独島)の面積について、故意か偶然か非常に
複雑な表記をしている。結果として相互の比較が困難になっている。
(2006年2月)
まず、同じk㎡(平方キロメートル)の単位で並べると、上で紹介した
ようにチュクト(竹島)0.208k㎡、観音島0.071k㎡、トクト全島
0.187k㎡(東島0.073k㎡、西島0.089k㎡)となるところが、
次のように表記されているのである。
チュクト(竹島) 20万7869㎡
観音島 0.0714k㎡
トクト(独島) 187,453㎡
:東島73,297㎡、西島88,639㎡、付属島25,517㎡
うがった見方をしても建設的ではないので、鬱陵島周辺の島々に
ついてネイバーという韓国を代表するポータルサイトが行っている
面積表示の「問題」に関してはこれ以上、言及しないことにする。
*観音島(1):竹島(トクト)の東島、西島と同規模の島
*観音島(2):「ヲタク」はこの島こそ「石島」だったと見ている。
いずれにしろ「ヲタク」は、少なくとも近代初期の段階で、大韓帝国
関係者がウサント(于山島)やソクト(石島)と呼んだ島は、現在の
トクト(独島)とは何ら関連はなく、現在の観音島と見るのが素直な
資料解釈なのではないかと考えている。
*大韓帝国 学部編集局作成 大韓全図(1899年)
あくまで素人考えだが、逆に言えば、素人でもそう考えざるを
得ないような地誌資料を元に、強引にすぎる無理な解釈をしている
ところにトクト(独島)をめぐる韓国ナショナリズムの「危うさ」が
あるのではないだろうか。
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昨年の夏、「ヲタク」の家族が訪韓した際、幼稚園に通う親戚の姪が
「ヲタク」の娘(小学生)に、トクト問題をめぐり日本人を激しく非難
しながら食ってかかったことがあったと言う。
「トクトは韓国の領土」だとする教育は、それくらい徹底的に
行われている。
母親が韓国人である分、ある意味で「ヲタク」以上に韓国びいきの
娘でさえ、かなりのショックを受けてしまい、ことトクト問題をめぐる
韓国社会の状況には大きな違和感や疑問を感じていた。
幼稚園児にそこまでさせる愛国的な教育について、「ヲタク」は
批判的にならざるを得ない。
熱烈な愛国心や軍事力でトクト(独島)を守ることはできても、
それだけでは韓国の名誉や道義を守ることはできない。
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韓国・朝鮮人に対する日本人の差別的な意識、さらには過去の
歴史に対する傲慢な態度や、国交正常化以降の売春ツアーに
象徴される破廉恥な行為などが、ますます韓国側の反日
ナショナリズムの暗い情念を肥え太らせてきた側面がある。
そういう意味では、竹島問題について韓国側の非理性的な
ナショナリズムのみを批判しても、日韓関係にとって何ら生産的な
ものを生み出さないことは、「ヲタク」も理解しているつもりだ。
第一義的には韓国社会が非理性的なナショナリズムをどう克服して
いくのかという問題ではあろうが、日韓関係の未来にとっても
非常に深刻な試練となる他ないのが、このトクト問題なのでは
ないだろうか。
(終わり)
■追記
以下、「ヲタク」が作成した関連ページも参照していただきたい。
□竹島問題の地理的基礎知識
□朝鮮の地理学者・金正浩と「于山島」
□ネイバー地図と「竹島」
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