福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

ショートトラックと儒教

2006年02月26日 |  〇文化・歴史



■ (トリノ)5000m金、韓国の男子チーム、感謝の礼
(ロイター2月26日)

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トリノオリンピック、ショートトラック全8種目中、6種目で金メダルを
手にした韓国選手たち。まさに圧倒的な強さである。

いい意味でも悪い意味でも、韓国人の持ち味である物怖じしない
強引さが、様々な駆け引きが要求されるこのショートトラックという
競技に向いているのかもしれない。

ところで、上に紹介した写真。

誰にお辞儀しているのかと思いきや、その対象はコーチであった。
親や祖父母、親戚の年配者、結婚相手の親などに、折に触れて
一般的に行われている儒教的なお礼だ。相手に対する最大級の
敬意を示す礼だ。

韓国人と結婚した「ヲタク」であるが、さすがにこの礼はやった事が
ない。正確に言えば、一度、まねだけしてみようと思ったが、
制止された。

今思えば、「無理する必要はない。日本人らしく振舞っておけば
いい」という配慮だったのだろうと思う。

今まで、韓国の親戚との付き合いの中では、せいぜい、年配者や
義理の兄たちの前では、タバコを吸わない程度の「礼儀」を守って
きた程度だ。

昔は、義理の弟(妻の妹の夫)が、僕の前でお酒を飲む時、
上半身を斜め後ろによじらせてから飲むことが多く、内心、
こそばゆかったが、最近はやめてくれた。ただ、そんな彼も、
まだ(?)僕の前ではタバコは吸わない。

日常生活の隅々で、あるいはスケート競技場でも、垣間見る
ことのできる韓国の儒教的な慣習。

儒教発祥の地である中国でも、ここまで伝統に忠実な姿は、
もう見れないのではなかろうか。

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■ (토리노)5000m 우승 한국 남자팀 큰 절로 감사
(トリノ)5000m金、韓国の男子チーム、感謝の礼
(ロイター2月26日)

26일 새벽(한국시간) 이탈리아 토리노에서 열린 2006
토리노 동계올림픽 쇼트트랙 남자 5000m 계주에서
우승한 한국 남자팀 선수들이 박세우 코치 앞에서 큰
절을 올리며 감사를 표하고 있다.
26日、韓国時間の深夜、イタリアのトリノで開かれた
2006年冬季オリンピック、ショートトラック男子5000m
リレーで優勝した韓国チームの選手たちが、コーチの
パク・セウさんの前にひざまずき礼をしながら感謝の気持ちを
表している。

한국은 쇼트트랙 마지막 경기인 5000m 계주에서
우승하며 쇼트트랙에 걸린 8개의 금메달 가운데 6개를
휩쓸어 쇼트트랙 최강국임을 다시 한번 확인했다.
한국의 진선유와 안현수는 각각 3관왕에 올랐다.
韓国はショートトラック最終競技の5000mリレーで
優勝しショートトラックの全8種目の金メダルのうち、
6種目を制覇しショートトラック最強国であることを
あらためて確認した。韓国のチン・ソニュとアン・ヒョンスの
二人が三冠王に輝いた。


(終わり)


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知彼知己

2006年02月26日 |  〇語彙と表現



■ 지피지기면 백전백승 
敵を知り己を知れば百戦危うからず
(ONSEN 2月25日)

25일 일본 후쿠오카 야후돔에서 열린 일본대표팀과 일본
프로올스타와의 경기를 한국대표팀의 이승엽,이병규,박진만,
송지만,이병규,조범현코치등이 관전하고 있다.
25日、日本の福岡ドームで行われた日本代表チームと日本プロ
野球選抜チームとの試合を、韓国代表チームのイ・スンヨプ、
イ・ビョング、パク・チンマン、ソン・ジマン、イ・ビョンギュ選手と
チョ・ボムヒョンコーチらが観戦している。

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知彼知己면 百戦百勝」。

見出しの韓国語を漢字とハングルで表せばこのようになる。
中国の思想家「孫子」の言葉を、韓国式に読み下した表現だ。

中国語の原典は「知彼知己、百戦不殆」。

原典の読み下し文そのものと言うよりは、原典を読み下した
ものが、韓国語化した慣用表現だと言えるだろう。

日本語では、一般的に「敵を知り己を知れば百戦危うからず」で
知られている言葉だ。

韓国語と日本語では、このように中国の古典の読み下し方が
ずいぶん違う。

韓国では原文の形式をそのまま生かす形で読み下す一方、
日本の場合は原文の意味を生かしながら、日本語の文法の中に
漢字を溶け込ませるような形で読み下す。

中華文明と陸続きの半島(朝鮮)と、海を挟んだ列島(日本)とでは、
中華文明の文化の受容の仕方も、自ずから異ならざるを得なかった
ということか。


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韓国の孤児輸出

2006年02月26日 |  〇文化・歴史


*赤:海外養子縁組者数、 黒:韓国内養子縁組者数

■ 늘지 않는 국내 입양 … 줄지 않는 미국 입양
増えない国内養子縁組...減らない渡米養子縁組
(中央日報 2月26日)
 
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孤児だから不幸だと決まっているわけではない。孤児にも人間と
して幸せになる権利があるのだから・・・

実際、育ての親の愛情に育まれ幸せに暮らしている養子が
たくさんいることだろう。

とは言え、最初から自分の産みの親や生まれた祖国から
遠く離れて暮らす事を望んでこの世に生を受ける子どもなど、
おそらくいないであろう。

余計なお世話とは分かっているが、マスコミも含めて
孤児問題対策に本腰を入れて取り組めないものだろうか。

「ヲタク」にはその事の方が、「先進国」や「強大国」になること
よりももっと大事なことだと思えてならない。

「孤児輸出」なる漢字語を見つめながら、「ヲタク」は胸が
締め付けられる思いがした。

この記事では、「ヲタク」なりのせめてもの気持ちを込め
「孤児送り出し国」と翻訳してみた。

孤児たちの幸せ、孤児問題の解決に向けた韓国社会の取り組みに
向けた努力を心より祈りながら、関連記事の全文を翻訳し
記録しておく。

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지난해 미국 가정에 입양된 한국인은 1630명으로
집계됐다. 이는 미국에 입양된 외국인 고아 가운데
4위에 해당하는 규모다. 1980년대 연간 5000명
선이었던 한국의 해외 입양아 숫자는 90년대 들어
1600~2000명 선으로 줄어들었으나 그 이하로는
좀처럼 떨어지지 않고 있다.
昨年、アメリカの家庭に養子としてもらわれて行った韓国人の
子どもが1630人に上ったことがわかった。昨年、アメリカで
養子縁組をした外国人孤児の中で4番目に多い数だ。1980年代、
年間5000人台に上っていた韓国人の子どもの海外養子縁組数は、
90年代に入り1600~2000人台に減少したが、なかなか
それ以下へ減少する気配はない

26일 발표된 미 국무부 통계에 따르면, 2005 회계연도
(2004년 10월~2005년 9월) 미국 가정의 해외입양은
2만2739명이다. 이 가운데 중국 출신 고아가 7906명으로
1위를 차지했다. 이어 러시아(4639명).과테말라(3783명).
한국 순으로 나타났다. 미국에 입양된 한국 고아는
2002년 1779명, 2003년 1790명, 2004년에는 1716명이다.
한국은 94년까지 미국에 대한 최대 고아 수출국이었으나
95년부터 중국에 그 자리를 내줬다. 전문가들은
한국전쟁 직후부터 지금까지 15만~20만 명이 해외
입양된 것으로 추산하고 있다.
26日、発表されたアメリカ国務省の統計によれば、2005年度
(04年10月~05年9月)、アメリカの家庭に養子として渡った
外国人の子どもは2万2739人。そのうち、中国出身の孤児が
7906人で最も多かった。次いでロシア(4639人)、グァテマラ
(3783人)、韓国の順であった。アメリカに養子として渡った
韓国の孤児は02年1779人、03年1790人、04年には
1716人だった。韓国は94年まではアメリカに対する最大の
孤児送り出し国だったが、95年以降、中国にその座を譲った。
専門家は朝鮮戦争直後から現在まで、15万~20万人の
韓国人の子どもが養子として外国に渡ったものと推定している

한편 90년도 체결된 국제 입양아 보호를 위한 헤이그
협약에는 현재 68개국이 가입했고, 미국은 이 협약을
2007년 시행할 예정이나 한국은 아직 가입하지 않았다.
헤이그협약은 국제입양이 ▶어린이의 이익을
최우선적으로 고려할 것 ▶국제입양 기관에 대한 승인
제도를 도입 ▶국제입양에 앞서 국내입양 권장 등의
원칙을 담고 있다.
一方、90年度に締結された「国際養子縁組に関する児童の保護
及び協力に関するヘーグ条約」には現在、68カ国が加入しており、
アメリカは、この条約を07年に施行する予定だが、韓国は未だ
加入していない。ヘーグ条約は、国際養子縁組において▶子どもの
利益が最優先に考慮されること。▶国際養子縁組機関に対する
承認制度の導入。▶国際養子縁組の前に国内での養子縁組を
優先して薦めること、などの原則を定めている。

(終わり)


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痴呆老人

2006年02月26日 |  〇語彙と表現


*ハンナラ党 チョン・ヨオク議員

ハンナラ党の前報道官、チョン・ヨオク議員の問題発言が政界と
マスコミでちょとした問題になっている。

22日、テジョン(大田)市で開かれた党員研修会で、キム・デジュン
(金大中)元大統領のとった対北朝鮮政策を辛らつに批判しながら、
元大統領を「치매노인(痴呆老人)」にたとえたことが問題の発端。

現在、彼女はこの発言を否定している状況だ。

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■ 정치권, '치매 노인' 발언 공방 확산
政界、「痴呆老人」発言をめぐる攻防拡散
(SBS TV 2月24日)
 
한나라당 전여옥 의원이 김대중 전 대통령을 '치매 노인'으로
비유했다는 인터넷 매체의 보도를 놓고 정치권이 원색적인
비난전을 벌이고 있습니다.
ハンナラ党のチョン・ヨオク議員がキム・デジュン元大統領を
「痴呆老人」にたとえながら批判したとのインターネット新聞の
報道をめぐり、政界では露骨な非難合戦が繰り広げられています。

(以下省略)

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日本では2004年に、厚生労働省の検討会が、「痴呆症」と
いう言葉に差別や偏見を助長するニュアンスがあるとして
「認知症」なる新しい名称を提唱した。

それ以降、マスコミでも「認知症」という表現が徐々に定着しはじめ、
同時に「痴呆症」や「痴呆老人」という言葉も姿を消しつつある。

今回、韓国語の訳語として、久しぶりにこの言葉に出会った。

チョン・ヨオク議員の発言が事実とするなら、日本の厚生労働省の
検討会が指摘した通り、まさに認知症患者に対する差別や偏見を
助長する表現だと言わざるを得ないだろう。

こうしてみると、厚生労働省のとった言葉の置き換え政策にも、
けっこう大きな意味があったのかもしれない。

差別的なニュアンスで比喩表現として使われるような言葉は、
なくしてしまうのも一つの方法であるには違いない。

もちろん、別の言葉に置き換えたところで、高齢者問題解決に
向け内実のある具体的政策を進めていかなければ、また新たな
差別的な表現が生まれてしまうおそれは十分にあるが。

韓国の報道を見ながら、今頃になって、こんなことを考えてみた。



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