訃報が届きました。
石川喬司さんが7月9日に亡くなられたそうです。享年92。
SF作家、評論家、競馬評論家。戦後の日本SF黎明期から「新しい文学」としてのSFの可能性を熱く語り、当時、唯一のSF評論家として我が国にSFが定着するのに多大な力を発揮されました。詩情あふれる短編の書き手としても忘れることができません。
競馬評論家としても多くの著作をもっておられます。寺山修司さんに競馬を教えたのは石川さんだったとか。
森下にとっては、〈SFマガジン〉の初期から長期間連載された時評「SFでてくたあ」の影響がいちばん大きかったように思います。
内外のSFのみならず、広く小説全般、あるいは社会事象の中でのSFのあり方を端的に指摘しておられました。SFの面白さだけに耽溺せず、広い視野からSFについて考える姿勢を教えられました。
私自身がSFの仕事をするようになってからは、過分と思えるほど親切にしていただき、温かい言葉をもらいつづけました。
そして晩年、競馬場に誘われ、そこで過ごした時間はこの上なく楽しく、貴重なものでした。
石川さん、たくさんのものをありがとうございました。ご恩は決して忘れません。