NHK教育テレビで放送されている「ハーバード白熱教室」を楽しみに視聴しています。政治哲学者マイケル・サンデル教授の授業はとても興味深く、面白い。
前回(8日)の放送はドイツの哲学者イマヌエル・カントをめぐってのものでしたが、これまでに比べてかなり難しかった。
サンデル教授は明らかにカントの立場を支持していて、カントの主張を正確に伝えようとしているのでしょう。簡単に要点を指し示すのではなく、難しい考え方もそのままに。
私はカントをきちんと読んだことはなく、彼の哲学への理解は大学時代の師・山崎正一先生の教えによるものがほとんどです。
山崎先生のカント紹介でいちばん記憶に残っているのは、道徳は個々の人間の判断を超えたところにあるが、現実世界で道徳に従って正しく生きた者が必ずしも幸福であるとは限らない。しかし、私たちはそのような人が幸福であることを願う。ゆえに、そうした人びとを救うために、人間は神の存在を要求するのだ――というような「神の存在証明」でした。
神の存在が人間の幸福を保証するというよりは、正しい人間の幸福を保証するために神は必要とされるという、いわば逆転の発想。そこにキリスト教世界に住む近代人の思想的な苦心を見たものでした。
ひさしぶりに山崎先生の著書を取り出して、哲学史を見直してみたのもマイケル・サンデル教授のおかげ。
全12回の放送なので、まだ7回残っています。残りも逃さず見つづけるつもり。
日本の大学の授業と全然違うのにびっくり!!