夕方、マーティン・デニーの音楽を聴きながら『まわり舞台の上で 荒木一郎』(文遊社)を読むという、自分でも不思議な体験をしてしまいました。頭も、耳も、心も、力が抜けて、それでいてずいぶん高いところへ飛びあがっているような、変な感覚。
この本に次のような部分があります。ごく最初のあたり――
- ……モダン・ジャズ、好きじゃなかったのね。さっぱりわからなかった。(中略)それでね、毎日とにかくラジオでモダン・ジャズを聴くの。気持ち悪くなっちゃうの、ほんとに。もう、今でも覚えてる、ミルト・ジャクソンのヴァイブの音が気持ち悪くて、窓開けてハーハーってやったこともある。そのぐらい、嫌で。それでも聴いてた。とにかく聴こうと思ったの、もう好きになるまで聴くしかない、と。
なんでしょうね、これ。
意地というか、見栄というか、ムキになって、モダン・ジャズに齧りついている。
いってみれば、修行。
趣味なのに、修行として必死に取り組む。
嫌いな理由がわかっていれば、こんなことはしないと思います。嫌いなのは、自分が対象を理解していないからだ。理解できるまで、とことん付き合ってみよう。そんな心意気でモダン・ジャズに取り組んでいる。
こうやって教養を身につけた時代があったのでした。自分でも、少し思い当たるフシがあるなあ。
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