金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

三井住友さん、本気で無通帳を推進するなら表示の順番を変えてみたら?

2021年12月07日 | 金融
 銀行のATMに現金入金をすることは滅多にないのですが、今日偶々入金に三井住友銀行のATMに立ち寄りました。理由は旅行に持って行った現金がSuicaなどキャッシュレスの利用が多くて余ったためです。
 ATMの前で入金ボタンを押すと「通帳をお入れください。通帳をお持ちでない場合はキャッシュカードを入れてください」という趣旨のメッセージがでます。正確な表現は少し違うかもしれませんが趣旨はこのとおりです。
 つまりATMは通帳保有を前提にしているのです。現在普通預金を無通帳にしている人の比率がどれ位かは知りませんが、まだまだ少数派であることは間違いありません。したがって表示の順番は通帳ファースト、カードセカンドで実態に合っているのですが、本気で無通帳化を推進したいのであれば、カードファースト、通帳セカンドにした方が良いと思います。
 通帳を持っていてもカードで入金することができる訳ですから。
 「カードをお入れください。カードをお持ちでない場合は通帳を入れてください」という表示を出すと顧客は「あー、通帳の時代は終わりつつあるのね」と思うかもしれません。
 もし本気で無通帳を進めるのであれば通帳発行時に手数料を取るのが一番良いのですが、相当抵抗があるでしょうから表示の順番を変えることあたりから始めてはどうでしょうか?
 
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為替フィンテックWiseでインデックスファンド投資が可能に~イギリスの話だが

2021年09月22日 | 金融
 外貨送金を行っている人ならWiseを利用したことがあるかもしれない。以前トランスファーワイズと言っていた会社で今年前半にロンドン証券取引所に上場した。
 そのWiseが顧客が預り金でブラックロックの iShares World Equity Index Fund に投資することができる仕組みを発足させた。
 World Index Fundは世界の1,557の公開企業の株式に投資するファンドでアップル、アマゾン、アルファベット(グーグル)など著名な企業の株式も含まれている。
 Wiseの顧客は海外送金のために複数の通貨で資金をWiseに預けていることが多いが、この仕組みでは顧客は預け金の最大97%までを投資に回すことができる。つまりWiseに海外送金用のまたは海外から受け取った資金を預けながら、資産運用ができるという仕組みだ。
 Wiseはまずイギリス国内でこの仕組みを運用して、その後欧州全域に広げる予定だ。
 金融業界ではフィンテックを巡る競争が激しくなっているが、Wiseのビジネスモデルには学ぶべき点が多いと私は考えている。
 それは「取り扱い商品をシンプルにして手数料を低く抑えることでシェアの拡大を図ろう」としている点だ。
 今後取り扱いファンドを増やすかどうかは知らないが、株式投資の王道という点では世界の優良企業に投資するWorld Index Fundはコンセプトが明快だ。
 私は地域別の資産配分などあまり意味がないと考えている。
 消費者は良いものはどこの国のものであれ、簡単に買うことができる時代だ。その商品が花王製なのかプロクターアンドギャンブル製なのか気にせずに洗剤等を買っている人も多いのではないだろうか?
 つまりどの国の会社か?ということよりその業界でどのようなポジションにいるか?という方が重要な訳だ。
 話が脇にそれたが、Wiseは個人の外貨送金という分野で確固たる地位を築いた。それは仕組みがシンプルでユーザーの使い勝手が良いからだ。そしてそのプラットフォームの上にシンプルな資産運用サービスを乗せようとしている。
 私はWiseの試みは成功すると思う。
 フィンテックについては日本でも百花繚乱だが、大きく伸びるにはWiseから学ぶことは大きいと思った次第。
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メガ銀、支店整理加速、どうする銀行取引

2021年05月20日 | 金融
メガバンクの支店整理が加速しています。

今朝(5月20日)の読売新聞「メガ銀 店舗改革加速」によりますと、三菱UFJ銀行は2023年度末までに過半の支店で窓口をなくすということです。マイナス金利政策の結果、銀行は利ざやが低下し収益は低迷し、さらなるリストラと収益機会の拡大が求められています。
 収益機会の拡大という意味では、昨日銀行法が改正され、銀行本体や子会社でシステム販売や人材派遣を行うことが可能になりました。
 ただそれらの収益拡大策を展開するには時間がかかりますし、新事業が成功するという保証はありません。
 そこで銀行はコスト削減と投資信託等手数料を手っ取り早く稼ぐことができる分野に戦力を投入する訳ですね。
 こんな中消費者としてはどんな姿勢で銀行取引に臨むべきでしょうか?
1.まず極力銀行に行かない・銀行のサービスを利用しないという戦略をたてるべきです。
 銀行が窓口を絞るということは窓口での手続きは時間とコストがかかるということです。送金で既にご存知でしょうが、送金手数料が一番高いのは「窓口での振り込み」で次が「ATM利用の振込」そして一番安いのが「インターネットでの振込」でしよう。と言いたいところですが、一番安い送金方法は「送金しない」か「銀行よりうんと安い方法を使って送金する」ということです。
 「送金しない」ためには購入代金等の決済時に送金手数料がかからない方法を選択する、小口資金の受け渡しにはPayPayなどスマホアプリを利用することを考えることが具体的な対策です。
 ATMの極力も極力抑えましょう。将来的には今よりも引き出し時に手数料がかかる場合が増える可能性がありますからキャッシュレスを推進して極力ATMの利用を減らします。そして引き出す時はまとめて少し多めに引き出しましょう。
2.銀行の販売する商品・サービスは割高であるという前提で考えましょう。銀行が販売する投資信託や運用サービスは、直販型投信等に較べると割高です。理由は実店舗を構え、多くのスタッフを抱えているからです。スタッフは「投資商品のリスク」は説明してくれますが「投資で成功する方法」は教えてくれません。何故なら「銀行の窓口にいるのは投資の素人」だからです。彼等・彼女等は販売マニュアルに書いてあるとおりのリスクについて説明はしてくれます。ゴルフについていえば「池に入れるとワンペナです」というルールの説明はしてくれます。しかしどうすれば「池に入れるリスクを抑えてパーが取れるショットを打てるか」という点についてアドバイスすることはできません。それは状況とプレーヤーの腕前が千差万別だからです。
 リスクの説明に高いコストを払う必要がないと考える人はできるだけコストを抑えた直販型の商品やサービスを利用することを考えましょう。
3.手際よく効率的に事前相談する訓練をしましょう。
 上の2つで「極力銀行のサービスを使わないことが銀行を上手に使う方法」だと述べましたが、対面で銀行のサービスを使う必要がある場合があります。
 一つはお金を借りる場合です。個人の場合は住宅ローンやシニアになるとリバースモーゲージなどがお金を借りる場合です。
 もう一つは高齢の家族が単独で銀行取引をすることが難しくなってきた場合の対応です。
 認知症患者が増加を続ける中、全国銀行協会は今年2月に「診断書など本人の認知症が確認された場合」医療費などについて家族が本人預金からの引き出しを可能とする方針を発表しました。
 全銀協の見解は出ているとはいえ、個別銀行の対応は差があると思いますので、可能性がある人は事前に取引銀行に相談しておくとよいと思います。
 お金を借りる場合や個別に相談する場合は、「ポイントを要領よくまとめて説明する技術」や「有利な条件を引き出す交渉力」が必要です。
 「他の銀行ではこうですよ」といった交渉材料の準備をした方が良い場合もあるでしょうね。
 銀行が「単純な手続きは窓口を使わないでインターネットでやってください」というのであればそれを理解しさらに踏み込んで「我々だってもっと安く済ませる方法があるのですよ」と言ってやりましょう。
 そして本当に必要なことについてだけ銀行と交渉するようにすると良いと思います。
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シティグループ、アジアなどでリテール部門整理へ

2021年04月16日 | 金融
 昨日(4月15日)発表されたシティグループの第1四半期決算はアナリスト予想を上回る好調なもので、一株当たり利益は3.62ドル(予想は2.60ドル)だった。
 決算発表とともにシティグループはアジア諸国を中心に13ヶ国でリテールバンキングから撤退すると発表した。シティはリテールから撤退するとともに、ウエルスマネジメントと企業取引に注力する。
フレーザーCEOは「リテールバンキングは素晴らしいビジネスだが、シティはリテールバンキングで勝負するには規模が小さいのでウエルスマネジメントに投資を続けるだろう」と述べている。
 少し前に日本ではみずほ銀行のATMが不具合を起こし大きな話題になったが、巨大化するリテールバンキングでは巨額のシステム投資が必要だ。
 同時にリテールバンキング分野は銀行以外の参入者も目立つようになってきた。
 具体的はITや通信からの進出だ。また外国為替取引ではWise(旧TransferWise)のようなフィンテック企業の進出も目立つ。
 リテールバンキングで競争を勝ち抜くのは容易ではなさそうだ。
 

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三井住友銀行の送金時の追加認証、手間だが預金者を保護

2021年01月05日 | 金融
 今日三井住友銀行からインターネットで葬儀費用を送金した時、「追加認証」を求められた。初めての経験だったのでちょっとびっくりした。追加認証というのは「銀行に届けている携帯電話番号にショートメッセージ(SMS)でパスコードを送る」か「銀行に届けている固定電話から自動音声でパスコードを送る」というものだ。私はSMSを利用したので自動音声の方は分からないが、SMSは簡単に終わった。
 後で三井住友銀行のホームページを見ると「送金内容によっては追加認証を求めることがあるが、どのような場合に追加認証を求めるかは公表できない」と書いてあった。私は時々同行のインターネットバンキングで送金を行っているが、今までは送金額が50万円以下だったが今回は50万円を超えていた。これは私の推測だが送金額50万円あたりが私の場合銀行が設定した閾値なのかもしれない。このような閾値が一律に設定されるのか、それとも預金残高や給与・年金などの入金額あるいは過去の送金履歴との関係で設定されるものなのかはわからないが、興味のあるところだ。もし人工知能を活用して個人別に閾値を設定しているとすれば、ちょっと拍手を送りたいところである。

 追加認証は手間ではあるが、振込詐欺や誤認識による送金事故を未然に防止するために必要な手段だと私は預金者を保護する上で必要な手段だと思う。
 もし新たに取引銀行を選ぶことがあるとすれば、追加認証等預金者保護機能の充実度は一つのチェックポイントであることは間違いないだろう。
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