金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

<strong>日本経済新聞は信用できるか</strong>(書評)

2005年01月20日 | 金融
「日本経済新聞は信用できるか」(PHP研究所 著者 東谷 暁 ¥1,400円)の書評

中々の労作であり、経済に関心のある方には一読をお奨めしたい。

しかしここでは敢えてこの本の良いところを誉めず、2つの注文を付けることにする。

1つは結論である最終章「日本経済新聞の『正しい』読み方」で述べられている結論について。

もう1つは著者の議論の進め方について。

まず後者について具体的にいうと、著者は日経新聞が冒した色々な誤り~例えば「日本的経営の賞賛から攻撃へ」の落差の激しさとか「IT革命キャンペーンの幻想」とか~に筆誅を加える。それはそれで個別の事象としては正しい。

しかしいかに見識の高い経済紙(誌)であれ、たまには過ちは犯すものだ。
公平を期するのであれば、次のような検証が必要であろう。

例えば日経新聞と海外の代表的な経済紙であるウオール・ストリート紙あるいはファイナンシャル・タイムズ紙と比較して、
日経新聞の誤りはどの程度のものなのか?

或いは日経新聞が社会の木鐸となったケース(もしあれば)と誤った判断を情宣したケースの割合はどうなのか?

つまり他者との比較や全体の星取表の中で日経新聞も批判されるべきであろう。もし誤りだけピックアップすればウオール・ストリート紙だって相当誤りはあっただろう。

次に「正しい読み方」について注文を付けよう。

著者の結論は「『海外の経済誌や経済紙を読む』ことは一般の人にはできない」「日経新聞を分割してもっと高度なクオリティ・ペーパーを発行するべきだがこれの実現は難しい」「従って当面は日経新聞社各紙のクセを(読者が)読みきり他の新聞等と照合するしかない」というものである。

これは一見妥当な結論ではあるが、ありきたり過ぎる。

敢えて注文を付けるならば以下の様になる。

海外紙(誌)を積極的に読むべきである。今インターネット上で購読すれば年間1紙(誌)1万円弱の購読料である。
自動翻訳ソフトを併用すれば英語が不得手でも読めないことはない。
ただし海外紙だって誤りもあれば、自国に都合の良い誘導記事を書くこともあるのでそれを鵜呑みしてはいけない。

もう一つは読者自身の判断力を高めることだ。

ここでジャーナリズムの元祖であるウオルター・リップマンの言葉を思い起こそう。

ニュースと真実は違う。ニュースは一つの出来事が起こったことを知らせる合図であり、真実は「隠された事実を表面に出し、それらを相互に関連付けて、人間がそれに基づいて行動できるように現実の情景を作る」ことだ。

これは本来ジャーナリズムがやることなのだが、ジャーナリズムが貧弱なこの国においては各自が「自分で報道された事実の底に流れる真実の水脈を探し当てるしかない」のだ。

辛いことを言えば読者が黙っているから、日経新聞もいい加減な記事を書いているということになる。

批判的な読者が増えてくるとジャーナリズムも又改善されるのではないだろうか?

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貿易赤字拡大でも何故ドルは強いか

2005年01月20日 | 金融
「dollar.pdf」をダウンロード

昨年11月に米国の経常赤字は史上最大に拡大したが、ドルは足元堅調である。

なぜドルは強いのか?
果たしてそれは持続するのか?

ということを機関投資家や中央政府の動きから予測をした。

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