憲法改正(その2)
自民党憲法改正草案を読む/番外73(情報の読み方)
2017年05月03日読売新聞(西部版・14版)は安倍の憲法改正構想(スケジュール)を掲載した。改正のポイントは2点。「自衛隊の明記」と「教育の無償化」。これは一種の「飴と鞭」。反対しにくいものを抱き合わせることで、ほんとうにやりたいことを押しつける。
「教育の無償化」はいいことだが、そのとき「学問の自由」はどう保障されるのか。「教育の無償化」が実施されている小中学校では「学問の保障」は保障されていない。無償の教科書には「検定」があり、検定に沿って教科書が書き換えられている。教科書の検定は高校でもおこなわれている。それが「大学」にまで拡大される恐れがある。
文学(芸術)は経済の発展に寄与する部分が少ない、廃止してしまえ、ということも起きるだろう。つまり「教育費無償化」とはいいながら「文学(芸術)」を「教育」から切り捨てるということも起きる。経済の発展に寄与しない、つまり「教育」に値する分野ではないのだから「無償化」の対象外ということになる。
「哲学」というのは「批判」から始まっているから、これあたりが最初に「廃止」されるだろう。「批判」を許さない「教育」がおこなわれ、それだけが「無償化」の対象になるだろう。
こういうことを、どう防ぐか、というところからも憲法改正問題をみつめないといけない。
だいたい「教育の無償化」は憲法に盛り込まなければならないことなのか。法律で十分なのではないのか。
憲法は権力の暴走を許さないためのもの。もし憲法に教育問題を盛り込むなら、「学問の自由は、これを保障する」という項目だろう。「教育の無償化」はたしかに権力に対して「金を払え」という義務を発生させるが、禁止事項とはならない。
憲法とは何か、という問題からすべてを点検しないといけない。憲法はなんのために存在するのか、なぜ必要なのかという議論と組み合わせて一項目ずつ点検する必要がある。
読売新聞は2017年05月04日から「憲法考」という連載を始めた。一回目は自民党の中谷元がインタビューに答えている。
見出しが、その主張をとっている。これは安倍の方針に沿ったもの。
見出しに取っていない部分に情報が隠されている。
即座に、そう答えている。
安倍は語ったのか語らなかったのか、きのうの新聞ではよくわからない。少なくとも「見出し」を読む限りは主張していない。そして中谷のインタビューでも「見出し」を読む限りは「緊急事態条項」は出て来ない。見出ししか読まないひとは、自民党が「緊急事態条項」を引き下げたのかと思ってしまうだろう。見出しにとってないから重要な問題ではないと思ってしまうだろう。
ここ「情報の罠」がある。
「緊急事態条項」を提案せず、「自衛隊の明文化」だけなら、いまの現実と大差ないではないか。「緊急事態条項」がなくて「教育の無償化」が明文化されるなら、改正した方がいいじゃないか。
そう錯覚する人が出てくる。
報道機関の仕事は、隠されている「事実」、権力にとっての「不都合な事実」を明確に言語化することである。
自民党憲法改正草案を読む/番外73(情報の読み方)
2017年05月03日読売新聞(西部版・14版)は安倍の憲法改正構想(スケジュール)を掲載した。改正のポイントは2点。「自衛隊の明記」と「教育の無償化」。これは一種の「飴と鞭」。反対しにくいものを抱き合わせることで、ほんとうにやりたいことを押しつける。
「教育の無償化」はいいことだが、そのとき「学問の自由」はどう保障されるのか。「教育の無償化」が実施されている小中学校では「学問の保障」は保障されていない。無償の教科書には「検定」があり、検定に沿って教科書が書き換えられている。教科書の検定は高校でもおこなわれている。それが「大学」にまで拡大される恐れがある。
文学(芸術)は経済の発展に寄与する部分が少ない、廃止してしまえ、ということも起きるだろう。つまり「教育費無償化」とはいいながら「文学(芸術)」を「教育」から切り捨てるということも起きる。経済の発展に寄与しない、つまり「教育」に値する分野ではないのだから「無償化」の対象外ということになる。
「哲学」というのは「批判」から始まっているから、これあたりが最初に「廃止」されるだろう。「批判」を許さない「教育」がおこなわれ、それだけが「無償化」の対象になるだろう。
こういうことを、どう防ぐか、というところからも憲法改正問題をみつめないといけない。
だいたい「教育の無償化」は憲法に盛り込まなければならないことなのか。法律で十分なのではないのか。
憲法は権力の暴走を許さないためのもの。もし憲法に教育問題を盛り込むなら、「学問の自由は、これを保障する」という項目だろう。「教育の無償化」はたしかに権力に対して「金を払え」という義務を発生させるが、禁止事項とはならない。
憲法とは何か、という問題からすべてを点検しないといけない。憲法はなんのために存在するのか、なぜ必要なのかという議論と組み合わせて一項目ずつ点検する必要がある。
読売新聞は2017年05月04日から「憲法考」という連載を始めた。一回目は自民党の中谷元がインタビューに答えている。
自衛隊「合憲」明確に
見出しが、その主張をとっている。これは安倍の方針に沿ったもの。
見出しに取っていない部分に情報が隠されている。
--ほかに議論を深めたいテーマは何か。
緊急事態条項だ。
即座に、そう答えている。
安倍は語ったのか語らなかったのか、きのうの新聞ではよくわからない。少なくとも「見出し」を読む限りは主張していない。そして中谷のインタビューでも「見出し」を読む限りは「緊急事態条項」は出て来ない。見出ししか読まないひとは、自民党が「緊急事態条項」を引き下げたのかと思ってしまうだろう。見出しにとってないから重要な問題ではないと思ってしまうだろう。
ここ「情報の罠」がある。
「緊急事態条項」を提案せず、「自衛隊の明文化」だけなら、いまの現実と大差ないではないか。「緊急事態条項」がなくて「教育の無償化」が明文化されるなら、改正した方がいいじゃないか。
そう錯覚する人が出てくる。
報道機関の仕事は、隠されている「事実」、権力にとっての「不都合な事実」を明確に言語化することである。
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