監督 エドガー・ライト 出演 アンセル・エルゴート、リリー・ジェームズ、ケビン・スペイシー、ジェイミー・フォックス
オープニングは非常におもしろい。音楽と映像が一体になっている。音楽はイヤホンでアンセル・エルゴートが聞いているものなので、現実には聞こえないはずなのだが、それを観客も聴く。そうすると、観客の「耳」というか、「頭」というか、「肉体」が、そのままアンセル・エルゴートになった感じ。「のり」に感染してしまう。車は、もう車ではなく、走るアンセル・エルゴートの「肉体」。
音楽がアンセル・エルゴートの「肉体」そのものをかえてしまうのは、車を降りて街を歩くシーンでも再現される。コーヒーを買い、秘密のオフィスにもどるだけなんだけれど、なかなか楽しい。
私は、この映画でつかわれている音楽にはなじみがないのだが、つかわれている曲を知っている人はもっと楽しいと思う。「のり」に酔ってしまうかもしれない。
最初のエピソード部分は、★10個のすばらしさ。
でも、
まあ、映画の「お約束ごと」なんだろうけれど、ボーイ・ミーツ・ガールの部分から、面白みがなくなる。リリー・ジェームズの好んでいる歌は、車を暴走させる音楽にはふさわしくない。まあ、母親を思い出す、ということで、そういう音楽がつかわれている。「意味」はあるのだが、その「意味」がわざとらしく、重苦しい。
それを無視してしまえば。
アンセル・エルゴートと里親(?)の黒人との関係がおもしろい。「耳鳴り」で苦しんでいて、音楽で耳鳴りを消している。ことばは「唇」で読む、ということと里親が口が聞けない、手話で会話するというような部分が、不思議に、映画全体をしっかりと支えている。細部が生きている。「情報」が「情報」でおわらずに、ストーリーとなって動いているところがいい。
アンセル・エルゴートが録音した「音(声)」をもとに音楽をつくっていくところもいいなあ。ケビン・スペイシーの声が、私はわりと好きである。一度ネットで歌っているのを見たことがあるが、話している声の方が音楽的。その声をミキシングして音楽にする。最後のタイトルバックでも、ケビン・スペイシーの声が聞こえたとも思うが。
ケビン・スペイシーついでにいうと。
「ユージュアル・サスペクツ」のころの初々しさ(?)は消えて、すっかり太って、でぶに拍車がかかっている。さらに禿がすすんだのか、カツラで懸命にごまかしている。前からだけではなく、頭の後ろ、カツラのつなぎめ(?)をどう処理しているかまで克明にみせているのが、なんともいえずおかしい。
(t-joy 博多スクリーン4、2017年08月23日)
*
「映画館に行こう」にご参加下さい。
映画館で見た映画(いま映画館で見ることのできる映画)に限定したレビューのサイトです。
https://www.facebook.com/groups/1512173462358822/
オープニングは非常におもしろい。音楽と映像が一体になっている。音楽はイヤホンでアンセル・エルゴートが聞いているものなので、現実には聞こえないはずなのだが、それを観客も聴く。そうすると、観客の「耳」というか、「頭」というか、「肉体」が、そのままアンセル・エルゴートになった感じ。「のり」に感染してしまう。車は、もう車ではなく、走るアンセル・エルゴートの「肉体」。
音楽がアンセル・エルゴートの「肉体」そのものをかえてしまうのは、車を降りて街を歩くシーンでも再現される。コーヒーを買い、秘密のオフィスにもどるだけなんだけれど、なかなか楽しい。
私は、この映画でつかわれている音楽にはなじみがないのだが、つかわれている曲を知っている人はもっと楽しいと思う。「のり」に酔ってしまうかもしれない。
最初のエピソード部分は、★10個のすばらしさ。
でも、
まあ、映画の「お約束ごと」なんだろうけれど、ボーイ・ミーツ・ガールの部分から、面白みがなくなる。リリー・ジェームズの好んでいる歌は、車を暴走させる音楽にはふさわしくない。まあ、母親を思い出す、ということで、そういう音楽がつかわれている。「意味」はあるのだが、その「意味」がわざとらしく、重苦しい。
それを無視してしまえば。
アンセル・エルゴートと里親(?)の黒人との関係がおもしろい。「耳鳴り」で苦しんでいて、音楽で耳鳴りを消している。ことばは「唇」で読む、ということと里親が口が聞けない、手話で会話するというような部分が、不思議に、映画全体をしっかりと支えている。細部が生きている。「情報」が「情報」でおわらずに、ストーリーとなって動いているところがいい。
アンセル・エルゴートが録音した「音(声)」をもとに音楽をつくっていくところもいいなあ。ケビン・スペイシーの声が、私はわりと好きである。一度ネットで歌っているのを見たことがあるが、話している声の方が音楽的。その声をミキシングして音楽にする。最後のタイトルバックでも、ケビン・スペイシーの声が聞こえたとも思うが。
ケビン・スペイシーついでにいうと。
「ユージュアル・サスペクツ」のころの初々しさ(?)は消えて、すっかり太って、でぶに拍車がかかっている。さらに禿がすすんだのか、カツラで懸命にごまかしている。前からだけではなく、頭の後ろ、カツラのつなぎめ(?)をどう処理しているかまで克明にみせているのが、なんともいえずおかしい。
(t-joy 博多スクリーン4、2017年08月23日)
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