石松佳「詩篇」(「Sister On a Water 」1、2018年06月01日)
石松佳「詩篇」は「小詩集」という感じか。「pet cemetery」は飼っていたうさぎが死んだことから書き始められている。
その途中に、こんな行がある。
「階段のような告白」とは何か。わからないが、「階段のような」という比喩が印象に残る。石松は、いま、そこにはない、どんな階段を思い浮かべたのか。ひとは、いつ階段を思い浮かべるか。わからないが、この階段を思い浮かべる、比喩として引き寄せる瞬間に、なにか「たしかなもの」を感じる。階段といわなければならなかったのだろう。
つぎにこんな行にも出会う。
ここにも驚いた。「手話」が消えていくように、ことばも消えていく。でも、手話につかった指先(手)は、いつまでも「肉体」として存在する。ことばは頭が覚えているのだろうか。手話は手(指先)が覚えているだろうか。
手話のことはよくわからないが、手と言わず「指先」と限定しているのは、指先の動きに「感情」があらわれるのかもしれない。それは声と同じように微妙だろう。わかるひとにはわかる。なによりも問題なのは、言った人(手話をつかった人)の「肉体(指先)」にそれが「残る」ことだ。「肉体」に何かが蓄積し続ける。
ここに「たしか」ということばがつかわれている。
石松は、その「たしか」に苦悩している。「たしか」のなかに石松がいる。
「リヴ」という作品では、つぎの二か所が印象的だ。
これはともに「短歌的」な音のうねりだと思った。
「Sister On a Water 」には歌人がつどっている。石松もまた歌人なのだろうか。
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評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』を発行しました。190ページ。
谷川俊太郎の『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
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石松佳「詩篇」は「小詩集」という感じか。「pet cemetery」は飼っていたうさぎが死んだことから書き始められている。
その途中に、こんな行がある。
テーブル・テニスの音は
単調だけれど、そこにはひとつの階段のような告白がある。
「階段のような告白」とは何か。わからないが、「階段のような」という比喩が印象に残る。石松は、いま、そこにはない、どんな階段を思い浮かべたのか。ひとは、いつ階段を思い浮かべるか。わからないが、この階段を思い浮かべる、比喩として引き寄せる瞬間に、なにか「たしかなもの」を感じる。階段といわなければならなかったのだろう。
つぎにこんな行にも出会う。
どんな手話であっ
てもすぐに消えていって、家事を終えると、指先がたしかにあるこ
とをふしぎに思う。
ここにも驚いた。「手話」が消えていくように、ことばも消えていく。でも、手話につかった指先(手)は、いつまでも「肉体」として存在する。ことばは頭が覚えているのだろうか。手話は手(指先)が覚えているだろうか。
手話のことはよくわからないが、手と言わず「指先」と限定しているのは、指先の動きに「感情」があらわれるのかもしれない。それは声と同じように微妙だろう。わかるひとにはわかる。なによりも問題なのは、言った人(手話をつかった人)の「肉体(指先)」にそれが「残る」ことだ。「肉体」に何かが蓄積し続ける。
ここに「たしか」ということばがつかわれている。
石松は、その「たしか」に苦悩している。「たしか」のなかに石松がいる。
「リヴ」という作品では、つぎの二か所が印象的だ。
私小説のような、わたしのnephew,
北方の先にあるものはまた北だった、
まるで野を拓くかのように、
冷たい花束を置く
原野って、いつでも心理的だった
これはともに「短歌的」な音のうねりだと思った。
「Sister On a Water 」には歌人がつどっている。石松もまた歌人なのだろうか。
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評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』を発行しました。190ページ。
谷川俊太郎の『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
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注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
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(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料250円)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
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(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料450円)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
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(3)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料250円)
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