鵜原の海--鵜原抄の詩人へ
ある日は雨で
翌日は遠い空から晴れてくることもある
海の上には空が広がっている。沖を見つめていると海を見つめているのか、空を見つめているのか、わからなくなる。嵯峨は、空に視線を引っ張られる詩人だったのか。
「ある日」「翌日」ということばのなかを時間が過ぎてゆく。この「経過」の感覚が「遠い」を呼び出す。
「晴れてくる」の「くる」に明るさがある。その明るさは、「くる」を「いく」へと転換させる。呼応がある。次の展開には、だから「いく」という動詞を補うことができる。
小雨のなかをぼくは泳いだ
あるいは心の海を泳いだのかもしれない
*
詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
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