韓国の小学校で使用されている教科書が、韓国社会の女性
差別を温存・助長しているとの批判的研究結果が報告された
そうだ。
特に教科書に描かれている人物の挿絵やイラストが、既存の
男性中心社会の価値観をそのまま反映したものになって
いるとのこと。
こうした研究結果が、ぜひ、今後の韓国の教科書作りに反映され、
成果として陽の目を見るよう応援したいものだ。
また、男も女も人間として平等に幸せが追求できる社会づくり
という面では、韓国社会のみならず「ヲタク」の住む日本社会も、
様々な課題を抱えている。
そういう意味では、「他山の石」としたいところだ。
いずれにしろ、こうした地道な研究に取り組む研究者たちの
努力に敬意を表し、エールを送る意味で、関連記事を翻訳練習
してみた。
なお、例によって紙面の都合から韓国語原文の引用は省いている。
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■"초등 교과서 삽화, 성차별 요소 많다"
小学校教科書のイラストが女性差別助長
(連合ニュース 1月11日)
・ソウル教育大クォン・チスン教授ら、小学校3~6年の教科書分析
小学校の教科書に描かれたイラストには男性が女性より30%
以上多く登場する上に、イラストの主役も男性の方が女性より
約60%多く、内容面でも性的な役割が不平等に描かれるなど、
性差別を助長する要素が数多く存在していることがわかった。
11日、ソウル教育大クォン・チスン教授とソウル市ウンチョン
小学校キム・ギョンヒ教諭が大韓地球科学教育学会(会長:
プサン大学キム・サンダル教授)の学会誌創刊号に共同で
発表した論文によれば、韓国の小学校3~6年で使用されて
いる10科目の教科書に描かれたイラストに登場する男女比は
平均で1.33対1だった。
イラストに登場する人物が子どもの場合、男女比は1.16対1と
多少バランスが取れてはいるが、成人の場合は1.85対1と
男性の比率が著しく高くなっている。
教科別での男女比の偏りを比較すると、社会の教科書で最も
大きな偏りが見られ、1.96対1と男性が女性の2倍近く登場し、
国語(1.63対1)、数学(1.34対1)の順で偏りが大きかった。
さらに学年別教科別に見た場合、6年社会の教科書ではイラストに
登場する男性の割合が女性の約3倍(2.89対1)に達しており、
6年国語(2.41対1)、5年社会(2.22対1)などの順で偏りが
大きかった。
一方、「実科」(技術・家庭・工作)と美術のイラストでは男女比が
それぞれ0.96対1、0.99対1となっており、逆に女性の方が
わずかに多く登場していることがわかった。
また、全教科書のイラストで主役として登場する男女比は平均で
1.57対1と男性が女性より約60%多く、男性の職業は
大統領をはじめ政治家、法律家、大学教授、医師、芸術家、
宗教者など社会の指導的人物として描かれることが多いのに
対し、女性は主に教師や看護師、銀行の事務員などが多い。
さらに性的役割の面では、男性は経済活動の主体や政治を
動かす人物などとして描かれる一方、女性は家事労働や育児を
担当したり、医療行為の補助などとして描かれることが多い。
男女が愛を告白する場面においても、その多くは積極的な男性と
受け身の女性を描いている。
歴史的人物についても、男性は世宗大王や李舜臣将軍など
40数人が登場する一方、女性は柳寛順の1人のみだった。
クォン教授らは、「小学校教科書のイラストや挿絵は全般的に見て
女性差別的で、性的役割に関する社会の固定観念をそのままに
反映している。子どもたちに男女平等的な考え方や健全な
市民意識を持たせていくためには、教育の中に見られるこうした
女性差別的な要素を正して行く必要がある」と語った。
(終わり)
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