今日は毎年恒例の「SFセミナー」。御茶ノ水の全電通ホールでの昼の部を聴講しました(合宿企画は参加していません)。
朝、10時半から午後4時過ぎまで、お昼休みと講義間の小休憩をはさんで、みっちりと最新SFについて。
1限は「新進作家パネル」。デビュー間もない、石川宗生さんと草野原々さんに、鈴木力さんがインタビュー。小説を書き始めた動機、創作の秘訣など。
2限は「山野浩一追悼座談会」。昨年7月に亡くなられた山野さんについて、デーナ・ルイスさん、高橋良平さん、大和田始さん、それに司会の(というか、主な講師の)岡和田晃さんが語りました。
最後の方で、高橋良平さんが指摘した「山野浩一と筒井康隆は、同時期に登場したSF作家・評論家であり、似た点と対照的な点がある」という見方が興味深かった。山野さんは映画監督として、筒井さんは役者として、ともに表現の世界に足を踏み入れ、その後、SFを選択したというのは、なるほど、比べる価値がありますねえ。
3限は「百合との遭遇 宮澤伊織インタビュー」。マンガ化もされている〈裏世界ピクニック〉シリーズを刊行中の宮澤さんが、早川書房編集部の溝口力丸さんを相手に、2018年百合概観および注目すべき今年の百合などを解説。
「百合」とは「女と女の関係」を描く物語のこと。それは恋愛に限らないそうで、そこに存在する「感情の解像度を上げると〈強い百合〉となる」とか、「女は架空でも関係は実在する」とか、「女が不在でもエモい(「心を揺さぶる」の意とか。最初「エロい」と書きましたが、あれは間違いです。すみませんでした)風景はそれだけで百合となる」とか、「サントラ盤の音楽だけの百合」とか、独特の表現を用いながら、可笑しみに満ちた講義が繰り広げられした。
写真は、板書しながら百合を説く宮澤さん。
最後の4限目は「『BEATLESS』~〈かたち〉と〈こころ〉の物語」。アニメ化され長谷敏司さんの長編SF『BEATLESS』について、アニメ化の実際や、得られたものなどを、長谷さん、アニメシリーズ構成担当の雑破業さんが語りました。司会は堺三保さん。
アニメと小説では、キャラクターの描写頻度や時間の流れ方が異なることを実感したという長谷さん。文庫化された同作にはそのあたりの成果が盛り込まれているそうです。
新緑の休日。ホールにこもって学ぶSF人たち。夜も旅館で、ほぼ徹夜の討論に励みます。たいしたものだ。
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