金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

トランプ氏、ハリス氏に僅差でリード

2024年10月25日 | ニュース
 今週の日曜日は衆院選挙の日ですね。この選挙で私が興味を持っていることの一つはNHKが各候補の当選確実を出すのに、どれ位時間がかかるか?という点です。従来は開票開始時間早々に当選確実を出している場合が、多かったと思いますが、大接戦が予想されている中、今回ははやばやと当確を出せるケースは大幅に減っているだろうと思います。
 さて接戦というと、あと2週間に迫った米国大統領選挙も大接戦ですね。
 大接戦ですが、世論調査によるとここに来て、トランプ氏のリードがやや広がってきたようです。
 23日付のWSJの最新調査によると、トランプ氏が47%対45%でハリス氏をリードしています。8月時点の調査ではハリス氏が2%リードしていたのですが。ただし誤差の範囲はプラスマイナス2.5%ということですから、ハリス氏が勝つ見込みもない訳ではありません。
幾つかの争点の中でトランプ氏が有利な立場にいるのは「移民問題」「経済」「インフレ」「イスラエル/ハマス問題」でハリス氏が優位なのは「妊娠中絶」と「社会保障」です。
 特に移民問題についてトランプ氏が優位に立っている理由は、最近の選挙活動で不法移民が余り家人の個人の安全と雇用の機会に対する危険であると指摘することに重点を置いているからです。
 WSJの調査によると、有権者の23%は、移民問題が候補者を選ぶ最大のポイントだと述べています。
 ということで、現時点ではかなりの確率でトランプ氏が次の大統領になる可能性が高いようですが、トランプ氏と渡り合えるのは誰か?ということを頭の隅に入れながら、衆院選の投票場に足を運ぶのも面白いかもしれませんね。

 

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米国経済が再び世界をリードする~IMFの発表

2024年10月24日 | ニュース
 WSJに「IMFが積極的な投資で米国の生産性が向上するとして、同国の成長見通しを引き上げる」という記事が出ていた。
ポイントは次のような点だ。
  • 今年の世界の経済成長率は3.3%と予想される。先進国全体では昨年の1.7%成長に続き、今年は1.9%成長すると予想される。米国については第4四半期に前年同月比2.5%成長すると予想されていて、主要先進7カ国でもっとも成長率が高い。(なおこの記事には出ていないが、IMFは今年の米国の消え在成長率を2.8%と予想している)
  • 世界第2位の経済大国中国の今年の経済成長率は4.5%の予想。ユーロ圏は今年1.2%の成長予想にとどまる。
  • IMFは米国経済が好調な理由を「非住宅投資の増加と個人消費の堅調」とし、個人消費はインフレ調整後の実質賃金の上昇に支えられているとしている。
  • IMFは米国の総固定資本形成(投資の広範な指標)は、今年4.5%増加すると予想する。これは先進国全体の3倍以上になるという。
  • コンサルタント会社RSM USのチーフエコノミストは「ソフトウエア 機器や知的財産への投資の継続的な増加により、米国とその他の経済の成長経路に乖離が生じている」と述べている。
今米国は人工知能で世界をリードしている。ところで人工知能の開発や運用については、大量の電力を消費する。米国の強みの一つは2020年代に、水圧破砕などの新技術を利用して、エネルギーの生産性を向上させ、世界的なエネルギーショックの影響を受けない体制を確立したことだ。
記事によるとロシアのウクライナ侵攻以降、欧州諸国はエネルギー価格の高騰で大打撃を受けている。欧州員会の報告書によると、欧州の企業は米国企業に較べて、電力に2~3倍、天然ガスに4~5倍の金額を支払っているということだ。
このため欧州企業は米国企業に較べて、生産性向上への投資で遅れている。

★    ★    ★
 このブログでしばしば書いているように、個々の政権が経済発展に与える影響はそれほど大きなものではない、と私は考えている。政治が経済に影響を与えるのは、もっと基本的な枠組みの部分だ。つまり「国を強くしていくにはどのようにすれば良いか?」といった基礎体力作りの部分だ。
 世界的に見ればBRICS諸国の勢力拡大で米国の相対的な力や影響力は落ちているように見える。
 しかし色々なイノベーションを起こし、旺盛な投資でそれを経済成長に結びつけていく米国の力は衰えていないと私は考えている。
 米大統領選に関するオッズを見るとトランプが優勢だ。その一つの理由は彼が経済や外交面でハリス候補に優っていると考える選挙民が多いことによるだろう。つまり「国を強くする」ことにプライオリティを置く人が多いということなのだろう。
 さて今週の衆院選挙、我々は何に優先順位をおいて選挙に行くべきなのだろうか?
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ハリス、大統領討論会で優位に立つ

2024年09月11日 | ニュース
 今日フィラデルフィアで行われたアメリカの大統領選挙の討論会は、ジムのランニングマシーンの上で見ていました。
 私がマシーンの上を走り始めた時、トランプ氏が移民問題について「オハイオ州スプリングフィールドでハイチ移民がペットを食べている」と主張したのに対し、司会者がそんな事実はないと訂正している場面を見ました。
 トランプさん、杜撰だなぁというのが私の印象。
 午後になって、アメリカの新聞をネットでパラパラと見てみた。
 英語が簡単で読みやすいUSA TODAYの見出しはシンプル。
 Who won the debate? Harris' forceful performance rattles a defensive Trump.
「議論に勝ったのは誰か? ハリス氏の力強いパフォーマンスは、防御的なトランプ氏を揺さぶる」
 つまりUSA TODAYは明らかにハリス氏が勝ったと言っているのだ。
 アメリカの新聞は政党色が強いので、保守的なWSJはハリス氏の勝利をそこまで明確にしていなかった。
 ハリス氏は冷静に、そして時々トランプ氏を煽り、有権者に対しては「前を向いて新しいページをめくろう」というメッセージを送り続けた。
 討論会直後に歌手のテーラー・スウィフトさんが、ハリス候補支持を表明した。
 11月の投票日までにはまだまだ波乱があるだろう。しかしここでハリス氏が少しリードしたことは間違いないと私は感じた。


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ハリス副大統領、僅差でトランプ氏をリード。だが誤差の範囲。

2024年08月30日 | ニュース
 米国大統領選挙まで後2カ月強となった。日本の新聞も米大統領選挙の様子を大きく取り上げ始めた。
 例えば読売新聞は「ハリス氏『共和党員を閣僚に起用』、異なる見解取り入れ中間層強化」…党指名獲得後の初インタビューをいう記事で、ハリス氏が大統領になれば、共和党員を閣僚に起用する方針を明らかにしたことを大きく報じていた。
 これは29日に行われたCNNのインタビューについて報じたもので、WSJにも解説記事が出ていた。
 そのタイトルは「ハリス氏は自分の政策転換を擁護した」というもの。これはハリス氏が副大統領になってから、フラッキング(水圧破砕法を使ったシェールガス・石油の開発)について、禁止支持から禁止反対に転じたことなど、政策転換に対する批判に自己弁護したことを指している。ハリス氏の主張は「価値基準は変わっていない」というものだ。
 一方共和党員を閣僚起用する、という発言については、それほど関心を集めていない。過去に野党側の議員を閣僚に任命したことがあり、それほど目新しい話ではなさそうだ。
 WSJが最近行った調査によると、ハリス氏とトランプ氏の一対一の支持率調査では、48%対47%でハリス氏がリードし、独立候補を含めた世論調査でも47%対45%でハリス氏が2%リードしている。
 ただし調査には±2.5%の誤差があるというから、ハリス氏のリードはまだ誤差の範囲である。
 ただし去年の後半位からバイデン氏に対してかなり優勢を保ってきたトランプ氏が初めて民主党候補(ハリス氏)にリードを許したということで、大統領選挙運動に拍車がかかってくることは間違いない。

 その時の一つの論点は「ハリス氏の政策転換」になるかもしれない。政策を転換することは必ずしも悪い訳ではない。しかし「人気取りのための政策転換
」はアメリカの選挙民から嫌われる。
 ハリス氏はこれから、自分が何故環境問題や移民問題で政策転換したのか?政策転換をしたけれど、なぜ自分の価値基準は変わっていないといえるのか?ということを国民に分かりやすく説明する必要があるだろう。
 現時点でハリス氏が勝つのかトランプ氏が勝つのかは予想はつかない。しかしどちらが勝つにしても、相当激しい論争を通じて、首尾一貫性や説得力が国民の目によってスクリーニングされることは間違いない。
 その厳しい論争を勝ち抜いてくる大統領に日本の新首相が対峙すると考えると、心細さを覚える次第。

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教員の「残業代」改革案、低すぎるんじゃないの?

2024年08月28日 | ニュース
 少し前の読売新聞に『教員「残業代」3倍に 基本給13% 担任手当も拡充処遇改善案」という記事がでていた。
 文部科学省がまとめた公立学校教員の処遇改善案の概要が判明したもので、残業代の代わりに一律支給されている「教職調整額」を、基本給の4%から13%に引き上げる方針で、実現すれば約50%ぶりの改定になるということだ。
 私は教職問題について専門ではないし、また特別関心がある訳ではない。しかしこの問題について少し書いてみようと思ったのは、読売新聞の記事が「事実を伝えているにしろ、解説部分があまりに少なく、一般読者に正しい情報を与えることができるか甚だ疑問」と思ったからだ。
 
 記事のタイトルだけを見て「残業代が3倍に増えるなら良いんじゃないの?」と思う読者もいるだろう。私は読売新聞にはもう少し突っ込んだ分析をして欲しいと思う。
 具体的にいうと基本給の13%という残業代相当の手当は残業時間何時間に相当するのか?といった説明だ。
 以下次の条件で自分で計算してみた。
  •  基本給を月25万円とする(初任給の上限レベル)
  •  1カ月の所定労働時間を160時間(20時間×20日間)
  •  残業手当の割増率を25%とする。
 この例では「教職調整額」は32,500円になる。これを1時間当たりの残業代1,963円(基本給÷所定労働時間×1.25%)で割ると16.56時間になる。
 つまりこの教職調整額は月17時間弱の残業時間に等しい訳だ。一日平均では50分程度の残業時間になる。
 問題は月17時間の残業が実態にあっているかどうかだ。記事には「文科省の22年度調査では、国が上限とする月45時間を超えて残業していた教員は小学校で65%、中学校では77%だった」とあるから、月17時弱の残業代では、教師側の大幅持ち出しになっている可能性は高い。
 私は新聞記事は、一般読者が合理的な判断を行うような情報を提供するべきだと考えている。単なる事実だけならネットで記事を読む方が早いしコストもかからない。
 さて折角教員の問題を書きだしたので、もう少し追加しておこう。
 教員の給与の低さや燃え尽き症候群Burning outはアメリカでも大きな問題になっている。学校へのスマートフォンの持ち込み、人工知能を利用した生徒のずる、授業以外の雑務の増加、長時間労働、他の職業と較べた相対的な低賃金など、先進国に共通する問題が多い。
 WSJのTeachers are burning out on the jobという記事によると、アメリカの教師のストレスの原因の上位は次のようなものだ。
「生徒の行動管理」(約45%)「サラリーが低い」(約37%)「教育以外の管理的な仕事が多い」(約32%)「長時間労働」(約26%)「担任する生徒のメンタルヘルスや福祉面のサポート」(約22%)といったところだ。
 日本の教師のストレス原因も共通するものが多いが、日本の場合は「サラリーが低い」ということはあまり表に出ていないようだ。
 日米の違いが、教師の給与レベルの違いからくるのか?あるは日本人の教師聖職観(今でもあるのか疑問だが)のようなものから来るのかは分からない。
 しかし私は教師の方からもストレートに「こんな安い報酬で長時間勤務はやっていられない」と声を大にしても良いと思う。マスコミももっと色々な情報を提供して、読者に判断材料を与えるべきだと思う。

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