金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

蛇尾ながら史上3番目のパフォーマンスをキープした4月の米国株

2020年05月01日 | 投資

4月月末の昨日の米国株は下落した。ダウは288ポイント1.2%下落。

最大の要因は失業保険申請者数が、事前予想の350万件を上回る383万件に上ったことだ。米国株は3月下旬に底を付けた後上昇に転じ、4月の株価上昇率は1987年1月以降最高となった。また史上3番目の上昇率だった。

月末の一日は蛇尾だったが、1カ月を通しては良好なパフォーマンスだったといえる。中身を見るとアマゾンやアップルなどのハイテク・ネット小売り業が平均株価を押し上げた。

株式市場は3カ月から6カ月先を見るというから、投資家の間にコロナウイルス危機からのリカバリー期待が高まっていることは間違いない。

一方消費者はもっと足元を見ている。米国商務省経済分析局の発表によると3月の家計貯蓄率は13.1%と2月の8%から急増した。消費支出は7.5%減少しているので、消費が減った分貯蓄に回し、将来の不安材料に備えたというところだ。

4月の株価は好調だったとはいえ、年初来で見るとダウはマイナス11%、S&P500はマイナス13%だ。しばらくは逆資産効果も消費者の財布のひもを固くする。

株価全体が回復するには、雇用とその基になるサービス業・製造業など幅広い業種で事業再開が本格化することが必要だ。これらの業種の業績見通しが明るくなってくると、セクターローテーションでハイテク売りの出遅れ銘柄買いという局面が出現するがそれはもう少し先の話だろう。

だが相場には「もうはまだなり まだはもうなり」という格言もある。どう解釈するかは人それぞれだろうが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国の関税は物価をどれ位押し上げるか?

2018年07月13日 | 投資

昨日(7月12日)米国労働省が発表した5月の物価統計は、食料品・エネルギーを除いたコア物価ベースで前年比2.3%上昇した。

食料品・エネルギーを含む総合的な物価指数は2.9%上昇した。米国の消費者にとって影響の大きいガソリン価格は前年比24%上昇している。

燃料価格の上昇は、やがて航空運賃に上昇にはねてくるからレジャー好きのアメリカ人にとっては負担が大きくなる可能性が高い。

この物価の上昇率にかならずしも賃金の上昇率は追いついていない。

WSJによると、ブルーカラーを含む非管理層の実質賃金は1年前に較べて0.2%下落している。

このような状況の中でエコノミストたちは「トランプ政権の関税政策による物価牛上げは無視できないだろう」と述べている。

WSJはPantheon MacroeconomicsのチーフエコノミストShepherdson氏の「新たに課税される中国からの輸入品はコアCPIの6%を構成している。したがって10%の関税はコアCPI指数を0.6%引き上げる可能性がある」というコメントを紹介していた。

同エコノミストは従業員はインフレによる実質賃金の低下を防ぐため、事業者に対する賃金引上げ圧力がリーマンショック以降で最大の高まりを示す可能性があるという見方を示していた。

★   ★   ★

米連銀が金融政策決定上で重視する個人消費支出統計でも、5月の消費者物価は前年比2.3%上昇している(コア指数は2%上昇)。連銀は念願の物価上昇目標2%を達成した訳だが、物価という生き物は必ずしも連銀の望む水準にとどまってくれるとは限らないようだ。

低インフレに悩む日本政府や日銀にとっては、うらやましい話だろうが、消費者目線で見た場合うらやむべき話かどうかはcontroversialである。

インフレを目指す政府の真意は貨幣価値の下落を通じて、借金(国債)の返済負担を軽減することにある。また事業活動を行う人や物価上昇を相殺できる賃金上昇が望める勤労者にとって適度のインフレは悪いものではない。だがインフレヘッジ力の乏しい年金頼りのシニア層にとって物価上昇ほど生活を圧迫するものはあるまい・・・・

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

突然の円安、さて今後は?

2016年10月07日 | 投資

円安が良いのか円高が良いのかは個人の投資状況やライフイベントによって異なる。

資産運用を行っている人でも、これから更に運用資産を増やそうと考えている人には一時的な円高は投資チャンスになるから歓迎だろう。

自分の場合で考えても、3週間先に海外旅行を予定しているので、短期的には円高歓迎だが、長期的には悩ましい。僅かばかりの外貨資産を運用している身としては円安歓迎なのだが、円安がインフレにつながり物価が上昇し始めると生活を圧迫するので、痛しかゆしなのである。

さて過去1週間ほどの間に円はドルに対してスルスルと円安になり、104円程度まで下落した。

もっともこの円安は日銀の緩和政策とは関係なく、米国の政策金利引き上げ観測に起因するものだ。

米国の政策金利を決める上で最も重要な経済指標である9月の雇用統計が今日発表される。

昨日発表された給与明細作成会社ADPのデータでは9月の民間部門雇用者増は154千人で過去5ヵ月で最小の伸びになった。ADPの数字と政府が発表する数字は必ずしも連動しないが、9月の非農業部門雇用者増はそれほど強い数字ではないかもしれない。

今為替市場の注目点は日銀の金融政策を離れ、米国の金融政策に注目しているので、予想外の数字がでると相場は大きく動く可能性があるだろう。

もっとも先のことは誰もわからない。

WSJによると、JPモルガンは今年年末のドル円為替を103円と予想し、ドイツ銀行は94円と予想している。またゴールドマンの予想は108円だ。

はっきりしてきたことは日銀の金融政策で為替相場を動かす余地は少なくなってきたということだろう。株式市場ではアベノミクスに失望した外国人投資家の売りが鮮明になっているが、為替市場でも黒田マジックが通用しなくなり始めているようだ。

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

FOMC議事録、低金利維持だが自信過剰は危険シグナル

2016年08月18日 | 投資

昨日(8月17日)の米国市場は午前中は下げていたが、7月のFOMC議事録が発表された後、低金利維持が確認されたとして引けにかけて反発し、若干ながら高値でひけた。

とはいうものの株式市場には別の懸念があるとSNBCのある記事は指摘していた。それはプロの投資家の自信過剰だ。

The Investor Intelligence surveyの調査によると、強気派のプロの投資家は56.2%に達するという。

強気にせよ弱気にせよ、一方向に相場観が偏り過ぎるのは相場の転換点が近いシグナルだと指摘するアナリストがいる。

Investor Intelligence News retterの編集長は強気派が55%を超えるとその後株価の下落がほぼ起きていると述べていた。

プロといえども(いやプロだからか?)利益への固執が、冷静な判断が狂い、無明に陥るということだろう。

一方米国の個人投資家はもう少し冷静のようで、最近の調査によると強気派は31.3%、弱気派は26.8%で向こう半年株価のレベルは変わらないと判断する人は42%だった。

個人的には米国個人投資家の方が冷静な見方ができるていると思うのだがいかがなものだろうか?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマーラリーの正念場?NY連銀総裁金利引き上げの可能性を示唆

2016年08月17日 | 投資

昨日(8月16日)米国株は0.5%ほど下げた。

一番大きな要因はニューヨーク連銀のダドリー総裁がタイトな雇用環境や好調な新規住宅着工・工業生産の伸びから見てインフレが加速する可能性があるとして、近々政策金利の引き上げがあるかもしれないと示唆したことだ。アトランタ連銀のロックハート総裁も同様の主旨の発言をした。

これらの発言を受けて、金利に敏感なテレコム・ユーティリティ関連株の下落が下げ相場を牽引した。

インフレ率については7月までの1年間のインフレ率は0.8%に留まるが、食料・エネルギーを除いたコアインフレ率は2.2%だった(6月は2.3%)。

世界経済全体が弱い中で株価が堅調だったのは、米連銀がしばらく政策金利を引き上げないだろうと投資家が判断していたことによるが、連銀がスタンスを変えるとなると潮目が変わる可能性がある。

注目されるのは、きょう発表される予定の先月のFOMCの議事録の内容だ。

日本ではまだまだ暑い日が続くが、ニューヨークでは8月下旬になると涼しく感じる時があった。アメリカの夏は日本より早く終わるようだ。

サマーラリーが終わり、9月には株価が下落するというのが、比較的多いパターンで、今年も同じ経路をたどる可能性がある。これはアノマリーで合理的根拠はないかもしれないが、市場参加者の多くがそのようなアノマリーを信じていると例年のパターンを繰り返すだろう。

ということで利が乗っている株は一部売却し、下げたところで買い戻すというのも一つの戦術だと思う。

ただ我々日本の投資家にとって少し辛いのは、為替がドル安に振れている点だ。政策金利が引き上げられるなら、もう少しドル高に向かっても良いと思うが・・・。為替市場は米国の金融政策だけではなく、日本の金融政策もにらんでいるから話は複雑なのかもしれない。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする