中国は中々厄介な国だと思う。経済状態が良くて国力が伸びてくると、世界中の資源を買いまくり、世界的な食糧・コモディティ価格の上昇を招く。力を着けると軍事的なプレゼンスが高まり、日本を含む近隣諸国と島嶼問題で緊張が高まる。強過ぎる中国は厄介だ。
しかし世界で2番目の経済大国になった中国の経済成長が急減速すると世界経済に与えるマイナス影響はかってないほど大きくなっている。
昨日中国株(上海市場)は8.5%下落した。1日の下落幅としては、2007年2月以降の大暴落だ。直接の原因は当局が証券会社による証拠金取引へのチェックを強化したことによると報じられているが、背景には中国経済の成長鈍化に対する投資家の懸念がある。
参加者が中国人に限られている上海市場は思惑で動く市場だ。中国株は6月初旬に高値を付けたが、市場を押し上げたのは「中国株は割安だ」という国営メディアの報道を信じて株式市場に飛び込んできた個人投資家だった。そして彼等は今大きな含み損を抱えている。
先週末発表された購買マネージャー指数は15カ月ぶりの低い水準だった。もう一つ信頼感に欠ける中国の経済統計の中で、購買マネージャー指数は比較的信頼できるデータだろう。株価の急落が実体経済にじわりと影響を及ぼし始めている。
中国株の下落を受けて昨日の日経平均は1%近く下落。米国でもダウは0.7%以上下落した。この地合いをうけてシカゴ日経平均先物は200ポイントほど下落しているから、今日の東京市場も少なくとも寄り付きは弱いだろう。
だが中国の景気減速は悪い話ばかりではないだろう。これ以上の景気減速を懸念する中国政府が日中関係の改善を急いでいるという観測がある。日経新聞によると先ごろ北京を訪問した谷内国家安全保障局長は大歓迎を受けた。中国政府には事務レベルのみならず、首脳レベルでも関係改善の歯車を回そうという動きがあるようだ。
一方日本では安保関連法案の国会通過を巡って支持率が急低下した安倍内閣も中国との関係改善で支持率回復を狙う可能性があると私は考えている。だがそのあたりのことがはっきりしてくるのは、8月に予定されている安倍首相の戦後70年談話とそれに対する中国の反応など少し先になりそうだ。
中国の景気減速を日中の政治家はうまく利用できるだろうか?
日本の株式市場は当面中国の動きと米連銀の利上げ観測、米国企業の決算発表などを見ながらもう少し下げると私は踏んでいる。
★ ★ ★
最近出版した電子本
「海外トレッキングで役に立つ80の英語」
「インフレ時代の人生設計術」 B00UA2T3VK
「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/
「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/