金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

母の日のプレゼントもワンクリック

2012年05月16日 | うんちく・小ネタ

先週の日曜日5月13日が今年の母の日だった。毎年ワイフは義母に花などのプレゼントを贈っている。以前は日比谷花壇などに出かけて、店先で商品を選んでいたが、今年はオンラインショップで、ガラスのケースに入った可愛らしい花を贈ったと言っていた。

前日の土曜日には次女からワイフ宛にカーネーションが宅配されてきた。これもネットで注文したものだった。母の日のプレゼントを含めて、ギフトを百貨店や専門のオンラインショップから贈る人が増えているようだ。

「心をこめて」のギフトということになると、本来は手作りの何かを贈るか、少なくとも店頭で商品を手にとって較べて選ぶ・・・・ということなのだろうが、若い人を中心にオンライン発注が増えているのだろう。

今読んでいるサンデル教授のWhat money can't buyの中にギフトに関する考察が展開されていた。それによると経済学者は総じてギフトが好きでない。というのは効用の観点からギフトは非効率だからだ。もの凄く平たく言うと「貰い手が欲しいと思うもの」と「贈り手が贈りたい」と思うものの間ギャップがあるからだ。

「なぜクリスマス・プレゼントを買うべきでないか?」Why you should't buy present for tj holidaysの著者Waldfogel氏は「プレゼントの値段とそのプレゼントに貰った人が払っても良いと考える金額の差」を実際に調査し、その差がプレゼントの金額の2割あるという結論に達した。そしてアメリカ人がクリスマスシーズン等でプレゼントに毎年使う金額650億ドルとすると、130億ドルは非効率に使われていると結論付けている。もし物を贈る代わりにキャッシュを贈って、貰い手が好きなものを買う方が効率的だという訳だ。

だがサンデル教授は経済学者達の主張に簡単には組しない。彼は「人々が物でプレゼントを贈るという習慣にこだわる理由は現金は穢れを伴う薄汚いギフトと考えられているからだ」と述べる。

☆   ☆   ☆

ここで僕の意見を述べよう。元々プレゼントには「ある意味では無駄なもの、贅沢なものを贈る」という意味が大きいと考えている。ある意味では無駄なものの中には「花」だとか「高級な洋菓子」などが入るだろう。慎ましい日常生活をおくって行く上では「無駄」でわざわざお金を出して買うことはないが、貰ってうれしいというものがこの世の中にはある。

ワイフが義母にプレゼントを贈る時「何を贈ると良いかしら?着るものでも食べるものでもなんでもありそうだし・・・」といつも悩んでいる。90歳を越えた母に特別欲しいものはなさそうだ。そして小さな花などを贈っている。それがどれ程母の生活に潤いを与えているかは分からないが、人生にはそのような無駄とか小さな贅沢が喜びにつながることは多いだろう。

だがひょっよすると「これが欲しいのではないか?」という贈り手の思いは的が外れていることがあるかもしれない。

これは夢物語のような話だが、贈り手が同じ程度の金額の幾つかの商品やサービスの説明付の写真をベンダーをオンラインショップを上手く介在させてインターネットで送り、受け取った方で一番欲しいものをクリックして注文するというのはどうだろうか?

最近は結婚式に呼ばれる機会がないので、分からないが以前商品カタログを貰い、後日好きなものを業者に依頼するという「引き出物」が流行していたことがあった。

「親しい間柄でキャッシュを贈るも変だしね。でも相手が本当に欲しいものを一点張りで見つけるのは難しい(相手が欲しいものを知らない間柄というのはそれ程親しくないのかもしれないが)」というようなサービスがあれば面白いと僕は考えている。

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企業買収のコツ、株や一般財にも当てはまりそうだ

2012年05月16日 | インポート

今日(5月16日)の日経新聞朝刊「買収と市場」の欄に参考になる意見があった。

「買収で高値づかみをしないコツは、絶対んい手に入れようとしないことだ」と住生活グループの藤森社長の持論。GEに25年在籍した同氏によるとGEのウェルチ会長は「(企業買収時に)最後に価格が少しでも(自分のターゲットに)合わないと買わなかった」と経験を明かしている。

記事に出ていた「投資銀行に買収するかどうかの相談をするのは、理髪店で髪を切るかどうか相談するようなものだ」というウォーレン・バフェット氏の言葉も至言だ。

だが賢明でない我々は個人で株や耐久消費財を買う時、このような過ちを犯しているような気がする(少なくとも私は)。買収企業の詳細な中身を調べる企業買収と公開情報による株式投資では、企業分析のレベルは違うが、対象企業の株価収益率に自分なりの尺度を持ち、安易にその目安を変えないという姿勢は非常に参考になる。

「あきらめる選択肢があると、交渉で優位に立てる」という藤森社長の言葉も覚えておきたいものだ。

だが凡人である私達は、理髪店に髪を切るかどうかを相談するように、証券会社に株は買い時かどうかをたずね、新しいスマートフォンがでると携帯ショップで乗換を相談する。

その前に一歩立ち止まって「自分の価値尺度」に基づいて、買おうとする対象物の価格を吟味し、尺度に合わないと判断すれば、タイミングを待つ等の選択肢を持ちたいものだと思う。恐らく世の中の多くの人がこのような行動を取れば、バブルに踊ることはないのだろうが。

コメント (2)
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