金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

輸入米は更に伸びるか?

2012年07月20日 | ニュース

今日のニューヨーク・タイムズに日本で輸入米の売れ行きが好調だという記事が出ていた。タイトルはJapanese consumers reconsidering rice loyaltyだ。「日本の消費者は国産米に対する忠誠心を見直している」という題だ。こういう記事を紹介すると「それはUSAライス連合会のヤラセ記事だ。日本の米作農家を圧迫するつもりか」などという反論が寄せられる可能性があるが、敢えて紹介しておこう。

今「消費者第一」という言葉が前時代の政治家の間で流行っているが、消費者の観点から考えると国産米であれ、輸入米であれ、美味しくて安全で安い米が第一である。そのような食材を提供できる枠組みを第一に考えることが消費者の視点に立った政治である。

さてタイムズの記事によると、ウォールマート(西友)が低価格の中国米を販売して4ヶ月、売れ行きは好調で幾つかの店では在庫不足が生じているという。またベイシアは今年初めて中国米の販売を開始したが、たちまち在庫切れとなった。外食チェーンでは、かっぱ寿司がカリフォルニア米を導入し、牛丼の松屋は国産米とオーストラリア米のブレンドを導入している。これらの店によると輸入米に対する消費者の苦情はほとんどないということだ。

輸入米については778%という高い関税がかけられるが、政府は年間70万トンの非関税輸入枠を設けている。過去にはこの非関税枠で輸入された米は家畜用飼料や備蓄米に使われていたが、次第に消費者の口に直接入るようになってきた。日本の米の消費量は年間9百万トンと言われているが、食生活の変化で米の消費は減る一方だ。またデフレの進行は消費者の財布の紐を固くする。

「味に変わりがなければ少しでも安い米を食べたい」というニーズが、輸入米の需要を高めている。ただし政府は当面、非関税枠の拡大を考えてはいない。この問題をどう考えるか?は消費者第一とは何かを考える第一歩と思って敢えてトピックを紹介した。

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