米国メイン州からテキサス州にまたがる港湾労働者は、賃金と自動化を巡る交渉が決裂したので、昨日港湾ストライキに入ったというニュースを目にした。
このストライキが短期間で終わると影響は限定的だが、長引けば米国経済だけでなく、世界経済に連鎖的な影響を及ぼす可能性があるとCNBCは警鐘を鳴らしていた。
海洋サプライチェーンは、今年すでに、紅海での紛争、パナマ運河に影響を与えた長引く干ばつ、ボルティモア橋の崩壊によって大きな打撃を受けている。
サプライチェーンは干ばつや洪水などの天災によっても、大きな影響を受けている。今年はインドやバングラディシュなど南アジア諸国で大規模な洪水が起こっている。バングラディシュは日本に安価な衣料品等を供給しているので、品不足などの問題が起きるかもしれない。
私が11月に行こうと考えているネパールでも先週集中豪雨により、大規模な洪水が起こり、200名以上の死者が発生している。
米国港湾ストライキが長く続くのか?その影響はどうなのか?は不明だ。
だが今世界のサプライチェーンは非常に傷つきやすい状態にあることは注意しておく必要がある。
地球温暖化→大規模洪水の発生→衛生状態の悪化→疫病の蔓延などは考えたくない負の連鎖だが、リスクシナリオとして頭に入れておく必要はあるだろう。
広い意味ではコロナ禍に起因したインフレは世界的には沈静化の傾向にある。だが日本では生鮮食料品を中心に値上げラッシュは止まらない。その大きな要因は異常気象に起因する農作物の不作が大きい。
さてこのインフレ対策に必要な政策な何なのだろうか?
インフレの原因のかなりの部分が、異常気象であったり、世界的なサプライチェーンの脆弱性であるとすれば、一国の金融政策でインフレを押さえ込むことは難しい。国ができることは、インフレに合わせて、経済的弱者の所得を引き上げることである。
具体的には、公的年金を物価上昇率と同じレベルで引き上げることだと私は考えている。アメリカの公的年金(ソーシャルセキュリティ)は、物価スライドを完全に実施している。繰り返しになるが、非景気循環的な要因で起きる物価上昇を金融政策で押さえ込むことはできない。それよりも消費者の手取を増やすことで、経済的弱者の生活水準悪化を防ぐのが政治の役割というものだろう。
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