今週月曜日に米国国務省は拡大するテロリスクを踏まえて、海外旅行に対する警告worldwid travel alert を発した。
国務省は「IS(イスラム国)のメンバーがシリア・イラクから戻っているので、テロ攻撃が続く可能性が高い。特に今週のサンクスギビングディやクリスマスシーズンで多くの人が集まる時は要注意だ」と述べている。国務省の警告は来年2月まで続く予定だ。
またCNBCは政治学者イアン・ブレマー氏の「来年の大統領選挙を前にして、治安に対する懸念は大統領選候補者の駆け引きや将来の政策に影響を与える」と述べている。
テロなどの脅威は海外旅行の動向に影響を与えているが、その影響は長続きしないというのも事実だ。
2014年の世界の海外旅行者数は11億人で前年より4.7%増加した。今世紀に入って海外旅行者数が前年より減少したのは、9.11米国同時多発テロ、2003年のSARS危機、リーマンショックの後の3回だけだった。
一方国連世界観光機関の幹部はこの傾向を踏まえ、今回のパリのテロの影響は長続きしないだろうと楽観的な見方を示している。
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個人的には近々海外に旅行する予定がないので、今のとこと他人事のような話だが年末年始にかけて海外旅行をされる方はちょっと頭の隅に入れておいて良い話だと思う。
この前のパリ同時多発テロの映像を見ていて、「危機に面するとある程度の現地語理解力が要るのではないか?」と感じた。
平時であれば英語でも現地の人とコミュニケーションを取ることができるだろうが、緊急時には現地語でないと困難なことが多いのではないだろうか?
私は言葉については無頓着な方で、スペイン・メキシコ・タイ・台湾など非英語圏であまり英語が通じない国を個人で旅をしてきたが、もしテロや大地震のような緊急事態に直面していたら、無事に脱出できたかどうかふと不安に駆られることもある。
たとえガイド付きの団体旅行に参加していても、緊急時には個人行動を取らざるを得ない場合があるということは想定しておいた方が良いだろう。
仮に世界的な海外旅行ブームが続くとすれば、当面テロリスクが高いと考えられる欧州から他の地域~例えば日本~へのシフトがあるかもしれない。経済的には歓迎するべき話かもしれないが、セキュリティ面では警戒レベルを高める必要がありそうだ。