金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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予想を上回る雇用増で12月の金利引上げ見通しは75%へ高まる

2015年11月07日 | 投資

昨日(11月6日)発表された米国の雇用統計は予想を上回る強い数字だった。10月の非農業者部門雇用者増は市場予想180千人を大きく上回る271千人で、失業率は5%に低下した。

さらに市場が注目したのは、先月の賃金の上昇だった。先月の平均時間給は9セント上昇し、25.2ドルになり、過去1年の上昇率は2.5%になった。雇用市場の改善が中々賃金上昇に結びついてこなかったが、漸く賃金が上がり始めたことがはっきりした。

昨日の先物市場からみた12月に米連銀が政策金利を引き上げる可能性は75%に上昇している。

ワシントンポスト紙は債権王として有名だったビル・グロス氏がブルンバーグTVに「金利引上げ見通しは黄信号から緑に変わった。金利引上げの可能性はほぼ100%」と告げたと報じている。ピムコを去ってジナスキャピタルに移ったグロス氏の最近の運用成績はあまりぱっとしないので、ご宣託を100%信じてよいかどうかは分らないが、来月のFOMCまでに余程ネガティブな統計データが出ない限り、連銀が政策金利を引き上げる道筋は固まりつつある、といえるだろう。

連銀が約7年間続いた超緩和策を転じるということは、米国がリーマンショックから漸く脱却することを意味する。

Now the crisis is long overである。

昨日の米国株市場では、ダウは46.90ポイント(0.26%)上昇したが、S&P500は0.73ポイント(0.03%)下落し、ナスダックは19.38ポイント(0.38%)上昇した。

ダウが上昇した要因は、構成比率の高い金融株が大きく上昇したことによる。金利が上昇すると銀行が稼ぐ利ザヤが増えるだろうという思惑が働いたからだ。一方金利上昇は配当株といわれる公共財銘柄にはマイナスに働き同セクターは4%ほど下落した。構成銘柄の多いS&P500が下落したのはこれが要因だ。

金利上昇予想を受けて為替は急伸。ドル円為替は123円を超えた。シカゴ日経平均先物(円建)は19,500円に上昇した。

恐らく月曜日の東京市場も堅調な米国経済とドル高を好感して、大幅高でスタートするだろう。私は日経平均のレンジを18,500円―19,000円で見ていたが、当面若干上方修正した方が良いかもしれないと思っている。

理屈の上ではβ値の高い銀行株などの上昇が見込まれるので、短期的には妙味がありそうだ。あくまでも短期的な話ではあるが・・・

コメント
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