今日(3月23日)の新聞朝刊の大きなニュースは昨日国交省が発表した公示価格に関するものだった。
2016年1月1日現在の公示価格は全国平均で前年比0.1%上昇し、8年ぶりにプラスに転じた。
中身を見ると住宅地が全国平均で▲0.2%で三大都市圏では0.5%プラスになっているものの、地方圏は▲0.7%だった。住宅地の価格推移は概ね国交省が「国土の長期展望」で示した「三大都市圏および東京圏への人口集中が継続」するというトレンドと軌を一にしている。
ところで大都市への人口集中は日本だけの現象ではなく、世界的な傾向だ。エコノミスト誌の「2050年の世界」によると「2010年には、世界人口の半分が都市部に居住していたが2050年には70%に近づくと予想される」
人口の都市集中の一つの問題は住宅価格が上昇して若年層が住宅を購入し難くなることにある。ワシントン・ポスト紙にWhy it seems impossible to buy your first home「なぜ最初の住宅を購入することが不可能と思われるか」という記事がでていた。
今日のイディオムStarter homeはfirst homeのことなのだが、ニュアンスをぴったり伝える日本語はない。何故なら米国では小さな持家からスタートして、家族構成や収入増に合わせて大きな家に買替え、最後はその家を売却し、リタイアするというライフサイクルが一般的だったが、日本では一般的に住宅は一生ものだからだ。
記事によると全米でstarter homeが一番高いのはサンフランシスコで714千ドル(約8千万円)だ。これはやや異常としてもロスアンジェルスは329千ドル(37百万円)もする。首都ワシントンは20万ドル(22百万円)なので、東京に較べると高いとは思わないが・・・・
米国でstarter homeの価格が高くなっている理由はこの価格帯の物件が供給不足だからだ。供給不足の理由の一つは現在starter homeに住んでいる人が次のステップの物件に買い替えることができないため、住宅物件がうまく回らないことにあるようだ。
予算不足で希望地にstarter homeを買えない人はもっと住宅価格の安い土地に移住するか?賃貸住宅に住み続けるか?という選択を迫られる。
経済圏が分散している米国では、職とより安い住宅を求めて地方に移住することが可能だが、大都市圏、なかんづく東京圏に人口集中が加速する日本では地方に移住するという選択は限られているようだ。
大都市圏の住宅価格上昇は手放しで歓迎できる話ではないのだろう。