金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

面白くなってきた米大統領選挙、ブーテジェッジ氏アイオワで勝利か?

2020年02月05日 | ライフプランニングファイル

昨日から投票集計システムの不具合でもめている民主党のアイオワ州での大統領候補選びだが、複数のメディアで確認したところ、現時点でブーテジェッジ候補が僅差でリードしている。

開票率62%段階での得票率はブーテジェッジ候補が26.9%、サンダーズ候補が25.1%、ウォーレン候補は18%でバイデン候補は15.6%に留まっている。

少し前まではサンダースやウォーレンの名前があがり、彼等が大統領になると株価はどうなる?などと取沙汰している人がいたが、急速に追い上げていたブーテジェッジ候補がついにトップに躍り出た。

無論アイオワ州の党員選挙も開票半ばだし、これから各地で党内選挙が行われるから誰が勝者になるかはまだ分からない。

しかし個人的にはブーテジェッジ氏が躍り出たことで米国大統領選挙は俄然面白くなってきたと感じている。それはブーテジェッジ氏が色々な面でトランプ大統領や民主党の他の候補と際立って異なっているからだ。

まず彼は38歳と若い。トランプ大統領は74歳でサンダース候補は79歳、バイデン候補は78歳だ。サンダースやバイデンが仮に大統領に選ばれると就任早々80歳を超えてしまう。高齢化社会だから大統領の年齢が少し上がるのは良いことかもしれないが80歳の大統領は少し重心が高そうだ。

ブーテジェッジ氏が同性愛者だというのも興味深い。彼が市長を務めていたサウス・ベンド市があるインディアナ州は保守的な州で同性愛者に対する差別を撤廃していないと聞くが、彼はそのような中でも高い支持率で市長に選ばれている。高い報酬が得られる民間の仕事を止めて公務員になったりアフガニスタン戦線に従事したことも際立つ特徴のようだ。

トランプ大統領の掲げる旗印がMake America great again(アメリカを再び偉大な国にしよう)ならばブーテジェッジ氏が掲げる旗印はMake america decent again(アメリカを再びきちんとした国にしよう)だ。

ブーテジェッジ氏の政策を評価する材料は持ち合わせていないが、トランプと鮮やかな対立軸を持つ人物が対抗馬になる可能性が出てきたことで大統領選挙は面白くなってた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

70歳現役時代、働く機会は運と好奇心

2020年02月05日 | ライフプランニングファイル

今日(2月5日)の日経新聞経済面に「70歳現役世代に向けて法改正案を閣議決定した」という記事がでていた。記事によると60歳以上の人で70歳以降も働きたいと希望する人は8割にのぼるが、70歳以上になっても働くことができる企業は28.9%と3割にも満たない。ここに大きなギャップがある。

閣議決定された法案では企業に70歳までの就業機会確保の努力義務を課すが実現は必ずしも容易ではない。最大の理由は雇用者側が求める人材と働く側の希望やスキルがずれていることにある。また給与や勤務形態にもずれがある。また寿命が伸びている時代とはいえ、シニア世代になると体力・知力・意欲等にはかなり個人差がでてくる。男性の平均寿命は80歳を超えるが平均健康寿命は72歳程度だ。つまり70歳に近づくにつれて「健康でない」人の割合が増えていくのである。一方いつまでも元気なシニアが活躍しているのも事実。年を重ねると個人差が大きくなっていくのだ。人の職業能力を暦年齢で切り分けようとすることには無理があるのだ。

働く個人・企業・国はこの当たり前の事実をもっと真剣に考えるべきである。ではこの事実を真剣に考えるとどのような答がでるのか?というとそれは定年制の廃止である。定年制というのは人の仕事能力を「暦上の年齢」で規制しようというもので、男女間差別などと同様「法の下の平等」をうたった憲法14条に違反している可能性が高いと私は考えている。

このような考え方に基づいて定年制度を廃止しているのが例えば米国だ。もっとも米国でも定年制度の廃止にはかなり時間がかかっているから、日本でただちに定年制度を廃止するのは困難だろう。ただし総ての関係者が「暦年齢による雇用差別はおかしい」と考え、是正しようと思うことをスタート点にするべきだ。

だが定年制度の廃止により、働きたいと思う人が働きたいと思うまで働くことができると考えるのは誤りだ。何故なら「暦年齢」による差別はなくなるが「職務遂行可能能力」による差別は一層厳しくなるからだ。Employabilityを失った人は労働市場から退場を求められるのだ。

定年制度の廃止は「暦年齢による差別禁止」と「職務遂行能力による差別強化」を意味するのではないだろうか?

このような中で70歳を超えて働くことができるのは私は「運」と「好奇心」の問題だと考えている。

運についてはまず健康の問題である。健康は本人の努力による部分もあるが遺伝的な要因も大きいので「運」の要素が大きい問題と考えて良い。次に人との出会いの問題だ。シニア層の就職(特に希望する条件での就職)については、人脈ベースで話がまとまることが多い。つまり人の縁が重要なのだ。

人の縁には「運」と「努力」の面がある。努力についていうと職探しを始めてから人脈をたどるようでは遅過ぎる。平素から人的ネットワークを大事にしていることが重要なのだ。

「好奇心」については新しいことにチャレンジする意欲だ。同じ会社に再雇用で勤める再雇用制度が高齢者雇用の本筋になると、会社も働く側も日本経済も活力が低下する。無難ではあるが、イノベーションが起きないのだ。シニアになっても好奇心を失わず新しい世界に活躍の場を求める人を後押しするような仕組みが日本を元気にするのである。大袈裟な物言いだが。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする