昨日(7月7日)中国政府がディディ、アリババなど中国IT大手企業に独占禁止法違反で2億円近い罰金を科すと発表しました。
中国政府のIT大手に対する規制強化は数カ月前から米国市場に上場するIT企業の株価の重しになっていましたが一段とその傾向が強まりそうです。
(下のグラフはインベスコが組成した米国にADRを上場する中国企業のETFの価格推移)
電子商取引のアリババやメッセージアプリのテンセントは一部の投資家が好む銘柄ですが、株価が低迷し今ではポートフォリオの重荷になっている可能性があります。
私は「中国IT企業はわからない」ので投資はしていませんので、なぜ中国政府がIT企業への規制を強化するのかということに特別の関心を払っていませんでした。
というのは米国や欧州においても巨大IT企業に対する規制強化の動きはあるからです。
そんな時自宅に届いた定期購読している文藝春秋に「アリババを襲った不倫スキャンダル」という記事がでていました。この手の記事を投資の判断材料にするには複数の資料から裏付けを取るなど慎重な対応が必要ですが、ここでは投資判断ではなく軽い興味本位で紹介しておきます。
文藝春秋の記事は「中国政府とIT企業の緊張の高まり」の背景は、中国政府がIT企業の世論誘導力の大きさに脅威を感じたことにあると分析しています。
記事によると昨年4月中国版ツイッターの「ウエィボー」にアリババ幹部の不倫ニュースが流れました。これは単なる不倫でけではなく、不倫相手が共同経営する会社にアリババも出資していたので特定企業への肩入れという疑惑を招く可能性がありました。ところがトップニュースになっていた不倫事件が突然ウェイボーから消えたのです。ウエィボーはアリババが株式を30%以上持つ系列企業なので、影響力を行使してアリババが騒ぎを収めようとしたのではないかという疑惑が持ち上がりました。
この事態に警戒感を募らせたのが中国共産党中央宣伝部だと記事は書きます。
「巨大IT企業が、自社に不都合なニュースを人々の目の前から消し去るほどの実力を備えていることに中国共産党は驚いたという」
中国共産党の論理からするとメディアを通じて世論を誘導して良いのは共産党だけでアリババは虎の尾を踏んだことになる、というところでしょう。
もっとも中国共産党としてもIT企業を締め付けすぎては金の卵を産む鶏を殺してしまうことになるので手加減が難しいでしょうね。
中国IT企業を巡る政府と企業の確執を理解するのは大変なので私は投資対象としないことにしています。結果的には目下のところはその判断で良かったようですが・・・