8月5日日曜日下山日。朝から良く晴れている。3日連続で夕立もない晴は珍しいのではないだろうか?我々8名のパーティはここで3つに別れて下山することになった。第1組は室堂経由で立山を往復し、ケーブル等で大町に下山する組。第2組は一の越から東一ノ越を経由して黒部平まで歩く組。第3組は室堂から真っ直ぐ下山する組だ。立山に何度も登っている私は東一ノ越から黒部平まで歩くことにした。
5時30分雷鳥沢ヒュッテ発。雷鳥沢から称名川にかかる橋(浄土橋)を渡り、右に曲がって一ノ越を目指す。このルートは「神の道」と呼ばれているそうだ。雷鳥沢から室堂に向かう道が石畳の道なのに比べこちらの道は土、石、草などが混じった自然の道だ。足元にはチングルマの白い花が咲き乱れている。時折花が散り、稚児車のような綿毛になった株もある。それゆえこの花を稚児車=チングルマと呼ぶ。
「神の道」を歩いたご褒美は雷鳥を間近で見ることができたことだ。午前7時である。
登山道で砂浴びをしている成鳥が中々逃げないのでどうしてかな?と首を傾げた時、4羽の子供雷鳥がヨチヨチ茂みの中を歩いていった。恐らく親鳥は子供の避難時間を稼ぐため、私達の注意を惹きつけるべく逃げなかったのではないだろうか?雷鳥さん、驚かしてごめんなさい。
7時30分一ノ越到着。一休みして8時少し前に東一ノ越に向けて一直線に延びる道を歩き始めた。写真は15分下ったところから振り返った一ノ越。大きな山荘が見える。
右手のピラミダルな山は竜王岳で左が鬼岳だ。
8時36分東一ノ越到着。広々として気持ちの良いところだ。黒部湖が小さく見えた。
東一ノ越からの降り始めはガレた急斜面で歩きにくい。道が90度右に曲がってからはやや傾斜が落ちるが、傾斜のある枝沢渡りや道を覆う笹の葉をかき分けて進むのにいささか疲れを覚えた。ロープウェイの音が近づいてくると黒部平駅は近い。やがて「黒部平駅」と「黒部湖」の分岐点にきた。黒部湖までは更に1時間の歩行だ。これ以上汗を流すのも大変だから、今回の小さな山旅はここでピリオドを打つことにした。
セコいことをいうと、室堂から黒部平までトロリーバスとロープウェイに乗ると運賃が33百円ほどかかる。節約が目的ではないにしろ、東一ノ越からの大きな景色を楽しんだ上運賃が浮いたのはうれしい話だ。しかし雪のない季節にまた歩くか?と聞かれると答は」否定的だ。東一ノ越までは良いのだが、東一ノ越からタンボ沢を横断して黒部平に向かう道は潅木帯だ多く余りすっきりした道ではないからだ。
だが一度ここを歩いておくと、残雪期のスキー滑降にプラスになる。一ノ越から黒部湖までの滑降は立山の春スキーの下山ルートとして素晴らしいものだ。ここの滑降は間違いなく3千円以上のお値打ちはあるだろう。10時34分黒部平到着。一ノ越から2時間40分ほどの下山時間だった。
黒部ダムをのぞくと水煙が吹き上げてきて涼しかった。
大町温泉郷で一風呂浴びて、充実した剱岳登山を締めくくった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます