先週週末から奥只見の恋ノ岐川に行ってきた。「恋ノ岐」とは何ともたおやかな名前であるが、沢の様子も優雅なものだった。遡行記録は追々このブログに書き加えながらまとめるとして、まず何枚かの写真を添付して沢の涼風を送ろう。なお写真は本文以外にフォトアルバム「沢の旅」にも掲載した。
8月6日(土曜日) 天気 晴夜一時にわか雨 田無を5時に出て9時15分頃恋ノ岐川入り口着。先着者の車が4,5台留っていたが、幸いスペースがあった。沢ごしらえをして9時50分に橋の脇から川原に降りる。川の水は少ない様で穏やかな流れの中をジャブジャブ歩いていく 。
左の写真は入渓して2時間半程のところにある4m程の小滝で右側の岩を簡単に登っていく。恋ノ岐川にはこのサイズの滝が多い。
1日目は午後4時頃まで歩き、三角沢出会いのビバークサイトにタープを張る。タープを張ってから、竿を持ち出し20分程岩魚を追ってみるがまったくあたりなし。こっちも早起きやら日頃の不摂生のたたりやらで疲れているのでそうそうに切り上げ、豪勢な焚き火を囲んだ酒盛りを始めた。
寝る直前7時頃遅い夕立が来る。
2日目 曇時々晴5時頃夕立
この日の行程は楽なので岩魚を釣り釣り遡行する。まず僕が出発点から10分程登った小さな淵で2匹岩魚を釣り上げた。実は岩魚を釣ったのはこれが初めてである。餌は金曜日の夜近所の上州屋で買った「ぶどう虫」(赤)と「ミミズ」の内「ぶどう虫」を使った。
次のいかにも岩魚がいそうな淵はM君に残して僕はもう少し先に進む。(M君はここで2匹岩魚を釣った)
しばらく行くとただ独り釣をしないN君が大きな淵の手前で待っていた。M君が言うにはこの淵はガイドブック「奥利根・谷川連邦の沢」(白山書房)で岩魚が釣れた写真が出ている淵ということである。そこで僕も竿を入れ簡単に2匹釣る。
この日は1時頃一般的に恋ノ岐川最後の良い宿泊地と言われている標高1500m地点で行動を切り上げタープを張る。一休み後M君は下流へ僕は上流へと分かれ岩魚釣りに出かける。ぶどう虫はM君にあげたので、僕はミミズで挑戦。キャンプサイトから10分程上流に行った小さな淵に魚影を見つけたので岩魚の少し前にミミズを放り込んだらいきなり食いついてきた。この岩魚が僕が釣った中で一番大きく約30cmある。それから暫く登ってみたが適当な淵がないので、引き返し先程の淵に再挑戦。ここで又小さいものを一匹釣る。これで本日の釣果は計6匹である。M君もすでに2匹釣っているので3人のおかずには十分であろうと思いここで竿を収めた。今日の釣果計8匹は塩焼きと岩魚汁にして腹に収めた。流木を積み上げた豪勢な焚き火の中で、厳しい奥只見の冬を何回となく越してきた岩魚を食べると自然の元気を分けて貰える様な気がする。
岩魚釣りのまったくの素人が講釈をたれるのも何であるが少し感想を述べると・・・・
恋ノ岐川中流辺りの岩魚は余り警戒心がないのではないか?(だから素人でも釣れる)
狙い目は釜や淵。淵は大きな岩陰など水流が少し弱い所にいる様だ。餌は結果的にはぶどう虫でもミミズでも釣れた。しかしM君がトライしたテンカラは釣果ゼロ。
今日は恋ノ岐川を詰め切り鷹ノ巣の清四郎小屋まで行く日である。コーヒーと卵サンドの朝飯を素早く済ませて6時過ぎ出発。部分的には少し手強い岩場もあるが、ザイルを出すこともなく核心部の大ナメ滝(写真右)に午前9時頃到着。大ナメ滝は5段50mとガイドブックに出ているが、もう少し長い様だ。僕らは下半分はノーザイルで登り上部で2ピッチザイルを伸ばした。1ピッチ目が20m、2ピッチ目で30mザイルが伸びたので下から数えると50mよりは相当大きいだろう。
さて大ナメ滝登りであるが今でも盛んに沢に行っていて「4級までは大丈夫」というN君にトップをお願いする。滝は右側を登り最後は右のカンテを登るのだがカンテは高度感がありそうだ。N君はしかし全く問題なくスイスイ登っていた。私はラストで登ったので余り緊張感はなかく(ただし万一墜落するとロープの流れから相当ブランコ状態になるので少しテンションがあったが)このハイライトを終えた。
ここから上は源流部であり、流れに横たわる倒木を跨いだり笹をかき分けたりとアルバイトな登りが出てくる。ただし忠実に流れをつめると左写真にあるとおり小さな残雪と可憐な花が咲く沢の終点にたどり着く。ここから10分程笹薮を漕ぐと姫の池に飛び出した。
丁度正午である。この後N君は空身で平ヶ岳を往復(40分で帰ってきた!)。ところがガイドブックに4時間と書いてある鷹ノ巣登山道の下りが疲れた体には厳しく5時間以上かかってしまった。
結局6時半を過ぎて清四郎小屋に着き親切な小屋のご主人や奥様の手を煩わせ山小屋としては遅い夕食(宴会)を始めた。
料理は総て美味しかったが中でも追加でお願いした肉とズッキーニの炒め物は絶品。たらふくのビールの他清酒「朝日山」一升瓶を3人で空けてしまう。
翌日はご主人の車で恋ノ岐川出会いの駐車地点まで送って頂く。
多少の雨はあったものの、全般に天気に恵まれ大変良い山行ができた。それにしても恋ノ岐川の隣にある平ヶ岳沢を登ったのが大学1年生だから35,6年前である。この間に長い休み期間はあるとはいえ、30年以上も同じことをやっている自分。若いと考えるべきなのか進歩がないと考えるべきなのであろうか・・・などと考えながら鷹ノ巣への長い尾根道を辿っていた。
ありがとうございました。