ロシアのウクライナ侵攻を正当化するように聞こえる最近のトランプ大統領の発言に強い違和感を覚える人も多いと思う。
何故トランプ大統領はプーチン大統領を持ち上げるような発言をするのか?
それはロシアをアメリカ側に引き寄せることで、アメリカの最大のライバルである中国とロシアの間にくさびを打ち込みたいからだ、と外交政策の専門家は述べている。
WSJのWahington's embrace of Putin aims to drive wedge between Moscow and Beijingという記事はこの点を説明していた。
Drive wedgeは「くさびを打ち込む」である。1970年代初期にニクソン大統領はそれまでの外交政策を転換し、中国に融和的な政策をとった。その狙いは中国の経済成長を促進することでロシアと中国の共同戦線を弱め冷戦を終結することにあった。
今トランプ大統領が行おうとしていることは、孤立化し中国頼みになっているロシアに手を差し伸べることで、ロシアと中国の共同戦線を弱めることにある。
外交専門家の間ではトランプ大統領の試みはreverse Nixon「逆ニクソン」とあだ名がつけられているそうだ。
しかしこの記事はサブタイトルの中で「1970年代のニクソンとキッシンジャーの指し手とは異なり、この戦略は西側諸国の分裂を招く恐れがある」と説明されている。
Unlike Nixon and Kissinger's gambit in the 1970s, the strategy threatens to divide the West
万一ロシアのウクライナ侵略が米国に正当化されるようなことがあれば、中国はそれを台湾併合の先例と主張するのではないか?
日本はプーチンのウクライナ侵攻を認めるような行動をとってはならない。くさびを打ち込まないといけないのは、ロシアの領土欲に対してだろう。