来月早々顧問先の会社で新入社員向けの話をすることになりました。
約1時間畑違い(設計系の会社です)の会社で子供以上に年の離れた方に何を話そうか?と考えていましたが、最近よく話題になる人工知能の問題について話をすることにしました。
人工知能、もう少し詳しくいうと機械学習能力を備えたコンピュータと移動能力を備えたコンピュータに代表されるコンピュータリゼーションが今後の職業構造にどのような影響を与え、その時代を生き抜くにはどのような職業技術が必要なのか?ということを中心に話をしたいと考えています。
元ネタとしてオックスフォード大学のThe future of emproyment:How susceptible are jobs to computarization「雇用の将来 仕事はコンピュータリゼーションにどのように影響を受けるか」という論文を読んでみました。
論文によると時間軸は別として米国の雇用者の47%はコンピュータリゼーションにより職を失う可能性があるということです。
職が奪われる分野はオフィス事務全般・セールス関連・サービス全般・輸送運搬などです。
自動運転車のテストが順調に進んでいることや昨今の大型トラック・バスなどの居眠り運転・未熟運転による事故が増えていることを思うと、自動運転技術やその手前の自動制御技術を早く導入する方が良いのではないか?という気がします。
もっとも広範にコンピュータリゼーションが受け入れられるためには、技術の進歩に加えて、サービスを受け取るユーザ側の対応や法規制が変化することが必要です。
たとえば銀行窓口のテラーが総てロボットに置き換わってもそれを顧客が受容できるかどうか、車の大部分が自動運転車になる場合、法や損害保険がついて行けるかどうかなどが課題でしょう。
しかし労働人口が確実に減少する日本ではユーザ側の受容性が高まれば、コンピュータリゼーションは相当進む可能性はあると私は考えています。
そのような時代になっても求められる職業技術とは何か?というと創造的知性と社会的知性です。後者はヒューマンスキルと呼ばれるものと概ね重なるでしょう。専門性の高い技術分野でもコンピュータリゼーションは進むと思います。機械と競争しても始まりません。機械は疲れないので勝てないのです。
機械を使う側の人間になるのも生き残る職業技術でしょう。また多くのデータから過去の経験則を学ぶコンピュータが不得意とする滅多の起きない大災害等の危機管理も人間に残された分野です。
ルーティン化された仕事は確実にコンピュータリゼーションの職を奪われる。一見ノン・ルーティンと思われる仕事のコンピュータリゼーションの急速な発展で職を奪われる可能性がある。ということでコンピュータに職を奪われない分野を探し、その分野で能力を高めて置くということが皆様の生き残り術なのかもしれません。