金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

総選挙、候補者アンケートから多数意見を探してみると・・・・

2024年10月20日 | うんちく・小ネタ
 NHKが衆院選の候補者の98%から各分野の意見を集計してグラフ化していますね。https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/shugiin/2024/survey/touhabetsu.html
 それを見ると政党間で主張が大きく異なる課題とそれ程隔たりのない課題が見えてきます。
 たとえば「政治とカネ」の分野では、企業・団体献金を禁止することについては、自民党は75%の候補者が反対、国民民主党(国民)は24%、公明党は10%、参政党は9%が反対。それ以外はほとんど賛成で全体では64%が企業・団体献金の禁止に賛成です。
 また「政策活動費の廃止」については、全体で77%の候補者が賛成で反対は8%に留まります。自民党では賛成が49%、反対は13%で残りは無回答。反対が一番多いのは参政党で35%(同党は賛成が22%)です。これを見る限り政策活動費は廃止してよいことになるでしょうね。
財政分野の「黒字化の考え方」については、実は政党間の考え方にあまり大きな隔たりはありません。全候補者でみると「財政健全化を優先するべきだ」という候補者は17%で、「財政規律より積極的な財政出動を優先するべきだ」という候補者が50%で、回答しないという人が33%です。
 財政健全化を優先する人は自民が22%、立憲民主が31%、維新が9%です。一番財政健全化を優先すべきだといっているのは社民党の41%です。
 私は今の日本の財政状況を考えると財政健全化を優先するべきだと考えているので、この点からはどの候補者も支持できませんね。
 少子化対策の「最優先課題はなにか」という点では、各政党の意見はかなり一致しています。全体としては51%の候補者が「若者の所得向上や雇用環境の改善」を最優先課題とし、「教育の実質無償化」を最優先課題とする候補者が24%「子育て世代に対する経済支援の強化」が14%です。
 「若者の所得向上…」については、自民の57%、立民の55%、公明の51%、共産の53%が最優先課題にあげています。例外は維新の18%です。
 したがって「若者の所得向上…」は与野党どちらが勝っても実現に向けて努力されることは間違いないでしょう。
防衛問題で大きく意見が分かれているのは、「防衛費増額をまかなうための増税の賛否」です。自民は42%が賛成24%が反対、回答しないが34%です。公明は31%が賛成、10%が反対、回答しないが59%です。極めて重要な問題に回答しないというのは、どうかと思いますね。
 それはさておき立民は97%、維新は92%、共産は100%、国民は88%が増税に反対です。全体としては、増税反対が73%で賛成は13%に留まります。
 仮に自民・公明で安定的な過半数をとれない場合は、防衛予算のための増税は困難になるでしょうね。
 「選択的夫婦別姓の導入」については、自民・参政以外は賛成多数で、全体としては66%の候補者が賛成で、反対は18%、回答しないが16%です。
 自民では賛成30%、反対26%、回答しないが44%です。公明・京さん・れいわ、社民は100%賛成で、立民は97%が賛成です。
 このように見てくると各党が掲げる政策だけで一人の候補者、一つの政党を選ぶことは難しいような気がします。つまりすべての分野において私と意見が一致する候補者はいませんから。
 選挙民の考え方が多様化する中、もっと多くの問題については党議拘束を外して、議員が自分の意見に従って投票する~そしてその意見は何らかの方法で支持者の多数意見を代表する~ような方法を考える時代がきているような気がしますね。
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外国人向け日本語教育には、AIの活用が必須

2024年10月20日 | デジタル・インターネット
 私は今空いている時間で、外国人に日本語を教えています。日本語レッスンを始めたのは、コロナ禍の時に、オンラインでネパール人に日本語を教え始めたのがきっかけでした。
 その後住んでいる市の市役所とタイアップしたNPO法人を通じて、ボランティアで日本語を教えているほか、一部有料でも日本語レッスンを行っています。
 この有料レッスンは、「特定技能」の在留資格取得を目指している外国人に「日本語」と「技能試験」(現在は建設業)の試験勉強を手助けしているものです。
 手助けの範囲は、日常のレッスンの他、日本語検定試験(国際交流基金日本語基礎テスト)の受検の手助け(オンラインによる試験申し込み、会場下見など)を行っています。
 実は数年前に日本語レッスンを始めた時、「日本語教師のための専門的な勉強をしていないのに人を教えて大丈夫なのか?」という懸念を持っていたのですが、それは人工知能を簡単に使うことができる時代になって、その懸念は完全に払拭されました。
 つまりChatGPTなど人工知能(AI)を使うと、次のようなことがほぼごく簡単な作業で片付いてしまうのです。
  • よく使う動詞(行く・来るなど)100位を選び出し、活用形をリストにする。
  • 特定技能合格レベルに必要な漢字リストを作成する。
  • 「は」「が」「に」「へ」などどちらも使えそうな助詞の微妙な違いを分かりやすく日本語で解説する。その解説文を英訳する。
これらの作業をAIを使わずにやるとなると、煩雑さに気が滅入りますね。
私の住んでいる市でも、外国人の数が増えています。
それにともなって、ボランティアの日本語教室に来る外国人の数も増えています。一方ボランティアで日本語を教える人はそれほど増えていません。
 私がボランティア活動を行っている教室の場合、先生の9割は女性です。
 おじさんはほとんどいません。
 しかし私はこれから、日本の労働力不足を埋めるために、特定技能制度を使って来日する外国人が増えてくると、色々な分野で実務経験を積んできたおじさんたちの出番が増えるのではないか?と考えています。
 「でも日本語を教えたことがないので心配だ」という声が聞こえそうですが、まったく心配いりません。
 なぜならAIという強力なヘルパーがいるからです。
 世の中の「事実関係」を調査させると、誤った答を教える可能性があるAIですが、文法など言語的な問題については、まず頓珍漢な答を出す危険性がないのがAIです。
 なぜなら文法がAIの肝だからです。
 インターネットを見ると「日本語教師になるには420時間の学習が必要」などという広告を目にしますが、AIを活用するのであれば、その数十分の一の時間で外国人の方に日本語教育を始めることができますよ。
 
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選挙の前に「国家はなぜ衰退するのか?」を読んでいる

2024年10月18日 | うんちく・小ネタ
 あちこちで選挙演説が始まりましたね。
 今回の選挙のポイントは「誰が政治の信頼を回復できるか」ということと「政治の信頼を回復するために政治資金の透明性をどう高めるか」という辺りなのでしょうね。
 ところで「なぜ政治の信頼性を回復しないといけないのか?」とか「なぜ政治資金が不透明ではいけないのか?」という問題を考える上で明快な答がこの本は書かれています(まだ2割程度しか読んでいないのですが、その中に書かれています)。
 それは「包摂的な経済制度を採用することができた国は繫栄し、できなかった国は衰退する」という世界の色々な国々の歴史を分析した著者(ノーベル経済学賞受賞者)の端的な結論です。
 包摂的な経済制度というのは「すべての人々が教育、雇用、資源へ平等にアクセスできる制度」「失業等の経済的不安定さから人々を守る制度」が充実した経済制度で、そこから発明や技術革新が生まれ、持続的に生産性が向上していくような経済制度です。
 ところで今まで読んだ限りでは、この本の中で日本は「繁栄した国」に入っているのですが、ここ2,30年の状況を見ると「繁栄から衰退」あるいは衰退とまでは言わなくとも停滞に向かっているような気がします。
 この本の理論が正しいとすれば、日本の経済制度の包摂性に綻びがでているから、繁栄から停滞に向かっているということができるのではないでしょうか?
 なにが包摂性に綻びをもたらしているのか?というと、色々な形の既得権者が自分の利益を守るために、技術革新やそれに伴う生産性の向上を阻害しているからなのでしょう。
 もし不透明な政治資金が経済制度の包摂性を棄損するものであれば、その点から批判されるべきでしょうね。

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ピンピンコロリの夢をかなえるには、軽いストレスが必要

2024年10月18日 | ライフプランニングファイル
 先日かかりつけの女医さんの定期健診を受けた時、彼女は「私が食事に注意してとか、運動をしてくださいね。というのは、ピンピンコロリをして欲しいからですよ」といった。
 ピンピンコロリとは、「寿命」と「健康寿命」がともに長く、かつ両寿命の差がないか、あっても短い状態だ。
 これはおそらく大部分のシニアが望むところで、洋の東西を問わない。いやこの分野の研究は、アメリカの方が進んでいるだろう。例えば「老年学」という言葉は、数年前から日本でも使われだしているが、これは英語のGerontologyを訳したものだ。もっとも日本では老年学という言葉は、高齢者に金融商品を売り込む金融業者により使われることが多い。Gerontologyと語源を同じくすると思われる言葉にGeriatricianという言葉がある。これは「老人病専門医」という意味だが、この言葉は日本ではあまり普及していないだろう。
ちなみに私の住んでいる市で、老人病専門医を検索してみたところ、ヒットしたのは、「老年内科」を掲げている医院一つだった。もっともこの医院は「内科」「小児科」などと並んで「老年内科」を掲げているので、老人病の専門家であるかどうかは分からない。
 さてWSJにThe Science of why your body takes longer to
bounce back after 40という記事がでてきた。
「40歳を過ぎると体の回復に時間がかかる理由の科学」という意味だ。
 記事は健康上のストレスから立ち直る能力つまり「生物学的回復力」は、年齢とともに低下することが証拠により示されていると述べる。
 ある研究によると、30歳以降筋肉量は10年ごとに3%から8%減少し、60歳以降は急速に減少し、脂肪量が増える。このため可動性が低下し、転倒や怪我のリスクが高まる。また水分を多く蓄えることができる筋肉量が減少することで、歳を取ると脱水症状を起こしやすくなる。記事には詳しい説明はなかったが、アルコールを処理する酵素が変化するので、歳をとると飲酒からの回復力も低下するということだ。
 さてピンピンコロリを実践するには「生物的回復力」の低下をできるだけ遅らせるということになるのだろうと私は思う。
 どうすれば「生物的回復力」の低下を抑えることができるか?ということについてよく言われていることは、睡眠、バランスのとれた食事、適度な運動だ。
 運動については、記事の中に「ホルミシス」Hormesisという考え方が述べられていた。これは高用量のストレスは体に有害だが、低用量のストレスは体に有益な場合があるという考え方だ。インターネットでホルミシスを検索すると、「微量の放射線を当てることで生体を活発化させることがある」ラドン温泉の例などがでてくる。
 WSJにはラドン温泉の話はでてこないが、運動などの低用量のストレスを与えることで健康を促進する効果が高まると述べられている。
 一方一般に筋肉量の減少を防ぐには、かなり強い刺激を筋肉に与える必要があり、単に歩く程度では刺激力が少ないという意見を聞いたことがある。
 シニア世代にとって運動が必要なことは間違いないが、どの程度の運動が望ましいか?ということになると、個人差もあり難しい問題だと思う。
 このような課題に応えてくれる「老人病専門医」がいると訪ねてみたいものだが、日本では可能性が低い。
 なぜなら日本では「お医者さんは薬を処方してこそ診療報酬を貰える」という仕組みで、生活指導などのアドバイスでは大した報酬を得ることができないからだ。
 だがもし日本が国をあげてピンピンコロリを目指すのであれば、安易に薬を処方しない老人病専門医が必要なのではないだろうか?

 
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"Why Nations fail"(邦訳「国家はなぜ衰退するのか?」)を読むことにしました

2024年10月16日 | 英語・経済
 今年(2024年)のノーベル経済学賞は、ダロン・アセモグル氏(マサチューセッツ工科大学教授)、サイモン・ジョンソン氏(マサチューセッツ工科大学教授)、ジェームス・ロビンソン氏(シカゴ大学教授)に贈られた。

 アセモグル教授とロビンソン教授は2012年に出版された"Why Nations Fail"の共著者である。まだ読んだことがないこの本の結論は「国が繁栄するか衰退するかを分けるのは制度だ」ということらしい。
WSJのNobel for Economics awarded to authoors of "Why Nations fail" and an Ex-IMF figureによると「著者の結論は『権威主義政府が原材料や労働者などの既存の資源を効果的に搾取できることは認めているものの、長期的な繁栄をもたらすものは、民主主義だ』」というものだ。
一方アセモグル氏は記者団との電話会談の中で「中国の最近の経済実績は、この後半な調査結果に対する『挑戦』であると述べ、民主主義は『困難な時期を迎えている』」と語っている。
 アセモグル氏は記者会見の最後に「ノーベル賞が、より良い制度を構築し、より良い民主主義を構築することの重要性をより多く認識することに貢献できれば、とてもうれしいです」と語っていた。
 この本の中で日本は英国、米国と並んで繁栄できた国に数えられているようだが、「失われた30年」という言葉が示す通り、その繁栄には陰りが見えている。
 それは何故だろうか?もし彼らの結論が正しいとするならば日本の制度の中に、衰退につながる要因が潜んでいるのだろうか?
 そこでまずWhy Nations failを読んでみることにした。Kindle版で1,100円だ。 邦訳された「国家はなぜ衰退するのか」はKidele版が上下に分かれ各1,078円だ。
 英語版の方が経済的なので英語版で読むことにした。ただし英語版は読むのに時間がかかる。それでも総選挙前には読み終えて、選挙時に意思決定に役立てたいと思う。
 


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