9月末で解散するとか。→「読者のみなさまへ 店仕舞いについてのお知らせ」
いっぱい思い出があります。読者として、作家として。
初めて朝日ソノラマの本を買ったのは、たぶん小学校高学年の頃。テレビアニメ(確か「狼少年ケン」)の主題歌がソノシートで付いた絵本のようなやつでした。ソノラマは、フランスからソノシートを販売するライセンスを取得して出発した会社だったはず。
出版社として意識したのは、大学生の時。井上ひさしさんの初めての小説(自作のラジオドラマのノベライズ)『ブンとフン』を買って、その面白さに驚嘆したものでした。井上さんに小説を書かせたのがソノラマ文庫の初代編集長・石井さんだったことは、後で知りました。
作家としては、雑誌〈獅子王〉と〈グリフォン〉でずいぶん仕事をさせてもらいました。連載した小説は文庫にしてもらいましたし、〈グリフォン〉の小説投稿コーナー「創作ジム」を担当した際には、多くの有望な書き手と出会わせてもらいました。これらは私自身の大きな財産となっています。
知り合いの編集さんたちはどうなるのかなあ。希望すれば親会社の朝日新聞社に勤めることになるようだから、先行きの心配はあまりないのかな。
とはいうものの、永年お付き合いした会社が消えるのは寂しい限り。ソノラマ文庫が開拓した、ビジュアル面を重視した若者向け路線は、その後のライトノベルへと繋がりました。文化史的にも大変重要な功績のあった会社です。