連休が終わるのを待って、今日、出かけました。
ちょうどお昼時に到着したのですが、チケット売り場に列はありません。「これなら、わざわざオンラインチケットを用意しなくても良かったのに」と、ちょっと悔しい思い(しかし、会場を後にした午後2時頃にはかなり長い列ができていました)。
会場に入ると、まず、「生命は限りもなく、宇宙に燃え上がって行く時」という2014年の大作が迎えてくれました。富士山を思わせるような山がドーンといすわり、海・野原・山・空に無数の虫のようなものが泳いだり、這ったり、飛んだり。青空の不思議な濃淡がなんともいえない。太陽が笑っているので、こちらもうれしくなります。
続く大広間は、「21世紀の草間彌生(1)」。連作「わが永遠の魂」が周囲の壁を埋め、床には巨大でカラフルな花の造形が据えられています。これは最後に戻って来た時にとっておいて、右側の初期作品の部屋へ。
10歳頃の作品「無題」(1939)には女性のポートレートが描かれ、すでに画面全体に黒い水玉が散らばっています。これは紙に鉛筆で描かれたもの。
本格的に画業に取り組んでからの作品は、色彩と形の取り合わせが素晴らしい。
ニューヨークで描いたネット・ペインティングは、広い画面を丹念に網目でつぶしていった大作。単調なようでいて、網目に囲まれた部分の形も大きさも異なり、全体で大きなリズムを感じさせる。凄い。
同時代の、無数のペニスを生やしたような椅子や鏡台、ボートのオブジェ。不気味なようでいて、どこかユーモラス。
ちょっと飛ばして、「生命の輝きに満ちて」。これは観る人を、鏡を張り巡らせた暗い迷路に誘い込むインスタレーション。鏡がつくりだす無限の空間に、無数の小さな照明がきらめき、広大な空間に浮遊している気になります。これだけでも体験する価値あり。
で、南瓜やうねる水玉の近年の作品を見ながら、また、広間の「わが永遠の魂」に戻って、一巡。。
最近の作品は、自在に描く喜びにあふれていて、解放感がつたわってきます。ハッピーな草間彌生さん。
でも、私は初期から中期の作品に惹かれました。どれも緊張感が漲り、それでいて、しなやかなリズムが心を揉んでくれているような。
芸術の面白さ、楽しさが、満喫できる、素晴らしい体験でした。