18日(日)に1969年に製作された映画のことを書きました。
この年の映画で忘れてならないのは『真夜中のカーボーイ』(どうにかなりませんかねぇ、この邦題)。
バラカンさんの番組でも当然、取り上げられ、ハリー・ニルソンが歌った主題歌「うわさの男」がかかりました。
この曲の作詞・作曲はフレッド・ニールで、彼は、ほとんどこの曲のみによって知られているといっていいのではないでしょうか。
ニルソン自身が書いた「孤独のニューヨーク」やボブ・ディランの「レイ・レディ・レイ」、それにジョニ・ミッチェルの曲などを押しのけて、この曲が映画の主題歌におさまった経緯については、アリン・シップトン『ハリー・ニルソンの肖像』(奥田祐二訳、国書刊行会)に詳しく書かれています。
それによると、ジョン・シュレジンジャー監督の依頼を受けてニルソンが「孤独のニューヨーク」を作っている間に、監督は、ニルソンが歌う「うわさの男」に合わせて映画のオープニング場面を作ってゆき、それがぴったりとはまってしまったので換えるつもりがなくなってしまったとのこと。
興味深い裏話ですが、「うわさの男」も「孤独のニューヨーク」も印象は似通っていて、どちらでも同じようにヒットしたのではないかと、私は感じていました。
もちろん、ニルソンの歌唱が素晴らしいのはいうまでもないのですが、それと同様に、いや、それ以上に魅力的なのは、バンジョーを生かした軽快なアレンジではないかと思います。
双方の曲のアレンジを担当したのは、当時、ニルソンと組んでいたアレンジャーのジョージ・ティプトン(1932-2016)。初期のニルソンにとって彼の貢献は限りなく大きいものでした。
英語版のウィキペディアによれば、彼の最大の仕事はもちろん初期のニルソンの楽曲をアレンジしたこと。その他にはジャン&ディーン、レオナード・ニモイ、それにドアーズの「ライト・マイ・ファイア」などのアレンジを担当しているとのこと。
もう少し、このティプトンさんのことを調べてみたいものです。