この夏、私が育てているウリ科の野菜類は、キュウリ、小玉スイカ、みずほニューメロン、クインシーメロン、ゴーヤの5種類。ナス科と並んで、ウリ科は夏野菜の主役です。
ウリ科の植物の花は雄花と雌花にわかれているのが特徴。でも、雄株と雌株があるわけではなく、ひとつの株から出た蔓に雄花と雌花がつきます。「雌雄異花」と呼ぶそうです。
どうせひとつの株に咲かせるのなら、多くの花のようにおしべとめしべを併せ持つ「両性花」の方がいいのではないかとも思いますが、花の咲き方を見ていると、雌雄異花にもそれなりの理由があるようです。
これはゴーヤの雌花ですが、花の付け根が大きな子房になっていて、ここが実になるのだなとわかります。
雌花は雄花よりかなり遅れて咲きます。
ウリ科の植物は育ってゆくと、まず雄花をつけ、しばらくして、植物体全体が大きくなり、「体力」がついてから雌花をつけます。その数は雄花よりずっと少ない。
考えるのに、雌花をつけるのにはエネルギーがたくさんいるのでしょう。だから、大きくなってからやっとつけることができる。そうして、注ぎ込んだエネルギーを効率よく次世代に伝えようと、確実に種ができるものを結実させる。受粉したはずの雌花でもそのまま萎れてゆくのがけっこうあります。
実を太らせるのにはさらに多くのエネルギーを要しますが、その実を動物が食べることで繁殖域を広げることができる。
一方、早々と、しかもたくさん咲く雄花は、花粉によって自分の遺伝子をあちこちにバラまこうとしているのだと思われます。花粉は子房よりずっと楽に作ることができますからね。
雌雄異花のウリたちは、こういう戦略で子孫を残し、遺伝子を拡散させようとしてきたのではないでしょうか。
一方、両性花には両性花なりの、また雌雄異株には雌雄異株なりの、戦略とメリットがあるはず。いずれ考えてみたいと思います。