子どもの頃の思い出です。
夕暮れ時、野良仕事を終えた祖父が家にもどる頃、友人が手ぶらでふらりと我が家にやって来ることがありました。
こんな時、高知ではお茶を出しません。お酒です。
祖父は一升瓶と小皿、それに二人分の湯飲みを持って縁側に出ます。訪れた客は靴を脱がず、縁側に半分腰をのせ、祖父と酒を酌み交わしながら話をするのです。
これが一般的な男の付き合い。
二人の間に置いた小皿には酒の肴がのるのですが、たいがいはお雑魚でした。
干した小魚ですね。出汁をとるため常備してあるのを、ちょっと拝借するわけです。
こんなことを思い出したのは、今日の夕食のテープルの一隅に「食べる小魚」とかいう名のお雑魚が置かれていたから。軽く焙ってくれています。
ポリポリ食べると美味しい。冷や酒が欲しくなります(実際にはいつもの赤ワインでしたが)。
縁側で男二人で酌み交わす酒。
いいもんですねえ。一日の仕事を終えて、ふと知り合いを訪ね、気兼ねなく付き合う。いかにも田舎らしい風景でした。
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