〈SFマガジン〉5月号の巻頭に掲載されている宮野由梨香「阿修羅王は、なぜ少女か」を読みました。第3回日本SF評論賞受賞作。受賞時のタイトルは「光瀬龍『百億の昼と千億の夜』小論 旧ハヤカワ文庫版「あとがきにかえて」の謎」でした。
面白い。『百億の昼と千億の夜』を光瀬さんの私小説として読むことにより、ペンネームの由来や恋愛、結婚事情などを絡めた光瀬さんの秘密――というか、人生に対する複雑な姿勢が読み解かれる。なぜこの作品が女性読者に大事にされるのかも、なんとなく分かってきます。
こういう文章を読むと、光瀬SFを無性に読み返したくなりますねえ。
先日は『小松左京自伝』(日本経済新聞社)を読んで、小松SFを読み返したくなった。その前は『星新一 一〇〇一話をつくった人』(新潮社)で星さんのショートショートを読み返したくなった。日本SFにおける、小説と評論の新しい関係が始まったような気がします。