写真はヤマホトトギス。ユリ科ホトトギス属の多年草です。
よく見るホトトギスのお仲間ですが、花びらは、赤紫色の斑点が少ないし、ちょっと反り返るように開いています。もうひとつ、茎が枝分かれしし、その先にいくつもの花がつくのが特徴。
川崎市の緑ヶ丘霊園で撮影しました。
ホトトギスの仲間には、他に、ヤマジノホトトギス、シロバナホトトギス、キバナホトトギス、チャボホトトギス、タマガワホトトギスなどがあるそうです。どれもいかにも日本の山野草という感じなので、ぜひ見てみたいものです。
あと、トサジョウロウホトトギスという、我が田舎の名前がついた種類があって、これは花が下向きにつくとか。牧野植物園にはあるのかなあ。
この季節、トチノキの下に落ちています。直径5センチほどで、大きなツバキの実にも似ています。
必ず3筋の割れ目があって、簡単に割れます。すると、中から大きな栗のような実が1個だけゴロリと出てきます。
この実を昔の人は食べたんですねぇ。えぐ味が強くて、舌を刺すとか。いくつもの行程を経た丁寧なあく抜き処理が必要だといいます。
今は使いませんが、古語には「栃目」という言葉があって、大きく目を見開き、あわてふためいている様子を表わしていました。
「醒酔笑」に――
- あわてふためき、前後を忘じたるを、栃目になって尋ねたは、栃目になりて走り歩きたるは、など言ふ事、何の故ぞや
「とちる」が、元々はこのデカい木の実から来ていると思うとなんだか愉快です。
さらに蛇足ですが、矢野誠一『三遊亭圓朝の明治』(朝日文庫)を読んでいたら、44ページの「圓朝遺文」引用中に――
- ……圓朝も吐胸をつかれてぐつと詰り、大いにトツチて話もそこそこに高座を下つたといふ
「トツチて」は「トチって」と同意だと思われますが、こういう言いかたもあったのでしょうか。
野川公園の北園を歩いていたら、小道のわきにミズヒキとキンミズヒキが混じって咲いていました。なんだか縁起が良さそうなのでスナップ。
ミズヒキ(赤い花)はタデ科の、キンミズヒキ(黄色い花)はバラ科の、それぞれ多年草。仲間が違うのです。どちらも細長い穂になって花が咲くので、水引に喩えられたのでしょう。
科は違うものの、種に「かぎ針」があって、動物にくっついて運ばれるという点でも、両者は似ています。
道端に咲いているのは、犬などに種が運ばれたからでしょうね。
今回、両者が混在していたのは、果たして偶然かどうか?
公園で植物の世話をしている人が同じ場所に植えた可能性もないではないかと思うのですが……。
明日はもうお彼岸の中日ですものね。
写真は今日もキノコ。
カワリハツだと思います。傘の径10センチぐらい。これも大型のキノコです。ハラタケ目ベニタケ科ベニタケ属。
手元の図鑑には「肉質が硬くしまり、美味」とあります。
秋の代表的食菌のひとつなのかな。傘が大きくて分厚い。ひとつでもそれなりに食べでがありそうです。しかし、同定に今ひとつ自信がないので、自分で食べるところまではゆきません。
「ハツタケ(初茸)」という呼称は、秋いちばんに出てくるキノコという意味だとか。今の季節にふさわしい。
カワリハツはハツタケの仲間で、傘の色が多彩なところからきているそうです。次はどんな色のやつと出会えるかな。楽しみ。