惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

『あなたになら言える秘密のこと』

2013-08-05 20:52:34 | 映画
 というタイトルのスペイン映画を観ました。衛星放送でやっていたのを録画してありました。

 何の予備知識もなかったので、最後までどういう展開になるのか気を抜けませんでした。そして、主人公の秘密がわかると愕然としてしまった。

 主人公の女性ハンナ(サラ・ポーリー)は工場で単純作業に携わる孤独な女性。30歳ぐらいか。弁当は鶏肉(フライドチキン?)とライスとリンゴ半個と決めているようで、アパートの冷蔵庫にもそれしか入っていない。
 ある日、上司から「きみは働きすぎで周りから苦情が出ている。南の浜辺へでも行って、椰子の木陰で時間を過ごせばどうか」というようなことを言われ、ハンナは休暇をとり、勧められたのとは裏腹の、陰鬱な北の海辺の町へと向かう。
 その町の食堂に、食事をしながら携帯電話で話をしている男がいた。男は電話の相手に向かって「看護士が必要なんだ」と怒鳴っている。それを聞き、ハンナは電話を終えた男に「私は看護士です」と申し出る。

 ……ということで、北海とおぼしい寂しい海の中にぽつりと建つ石油掘削施設へ行く、というお話。そこで重い火傷のため寝ている中年男ジョゼフ(ティム・ロビンス)との交流が物語の中心になります。果たして、ハンナは火傷の手当てが出来るのか?

 監督もつとめるイサベル・コイシェの脚本が素晴らしい。そして、難しい役柄をこなすサラ・ポーリーとティム・ロビンスも見事。派手な事件が起こるわけでもないのに、奇妙なシチュエーションと登場人物たちの魅力でぐいぐいと引き込んでゆきます。

 タイトルにある「秘密のこと」が問題になりますが、それを書くわけにはゆきません。おそらく多くの事例を取材し、コイシェがひとつの人物像を練り上げたのでしょう。深い衝撃とともに、多くのことを考えさせられました。
 音楽にトム・ウェイツの曲が使われているのもうれしかった。


日本SF作家と初期アニメ

2013-08-04 21:08:44 | SF
 昼食後、芦花公園駅南にある世田谷文学館へ出かけ、豊田有恒さんの講演「日本SF作家と初期アニメの関わり」を聴きました。
 同館で来年7~9月開催予定の「日本SF展」プレトーク。

 豊田さんはSF作家としてデビューするかしないかの頃、当時、黎明期を迎えていたテレビアニメのシナリオライターとして活躍されています。あらましは豊田さんの著書『日本SFアニメ創世記』でわかりますが、今日はそのあたりを踏まえ、手塚治虫さん、星新一さん、小松左京さんらのエピソードや、アニメ制作の裏話などを1時間半あまり語られました。

 そもそもは、SFコンテストで知り合いになった平井和正さんが「8マン」で桑田次郎のマンガ原作募集に当選したことがきっかけ。
 「8マン」は〈少年マガジン〉連載で人気を呼び、当時、フジテレビが「鉄腕アトム」、日テレが「鉄人28号」とアニメで高視聴率を稼いでいたのを見たTBSが「8マン」をアニメ化することに。平井さんに誘われた豊田さんもシナリオライターとして参加し、シナリオの初歩から教えてもらって「エイトマン」(アニメ化タイトル)を作った。
 この時、半村良さんも1作参加し、チョロッと「ジェームズ・ボンド」を登場させたというエピソードが可笑しかった。

 桑田次郎が起こした拳銃所持事件で「エイトマン」が終了した際、豊田さんは手塚治虫さんに見込まれ、「鉄腕アトム」のシナリオに参加。幾多の作品を生み出した。

 ということで、その頃の手塚さんのエピソードが多数、紹介されました。
 手塚さんは作品を世に広めることには熱心だったが金勘定は眼中になく、〈サンデー毎日〉に「手塚治虫は大阪人だから商売上手」と書かれた時、社内では「そうだったらいいのになあ……」という声がしきりだったとか。実際、虫プロは多額の借金のため行き詰まりました。

 あと、小松左京さん、田中光二さんと3人で原案をつくった「猿の軍団」と「宇宙戦艦ヤマト」の放映時間がかち合って、「ヤマト」のプロデューサーは豊田さんを「ヤマト」原案からSF設定に格下げしたとか、興味深い話題が色々。豊田さんは早口ですから、内容的には2時間半ぶんぐらいあるのではないかと思ったほど。
 会場には、話題にのぼった星新一さんの娘・マリナさん、小松左京さんの秘書・乙部順子さん、SF作家クラブ会長・東野司さんらの姿もありました。


プールでの話題

2013-08-03 20:43:31 | 日記・エッセイ・コラム
 夕方、出かけた市民プールでお馴染みさんとテレビの「孤独のグルメ」の話とか。

 先日は江戸川橋そば地蔵通り商店街の魚料理の店が舞台でしたが、あのあたりは地元の人以外はあまり足を運ばないんじゃないかなぁ。そのぶん、隠れた名店があるのかもしれない。
 私は春のお花見で、神田川沿いの江戸川公園に行きますが、近くに商店街があるなんて、思ってもみませんでした(思わない方がおかしいのかも)。

 その前の週の伊豆のワサビ丼は、家でもさっそく真似しました。
 猫まんまにワサビを載せるだけなので、簡単。でも美味しかった!

 〈ナンロメイト〉9月号が発売になりました。担当している新刊紹介欄で次の3冊を取り上げています――

  • 蓮見恭子 『拝啓 17歳の私』 (角川春樹事務所)
  • マイケル・ブース 『英国一家、日本を食べる』 (寺西のぶ子訳、亜紀書房)
  • V・S・ラマチャンドラン 『脳のなかの天使』 (山下篤子訳、角川書店)

競馬図書

2013-08-02 20:32:00 | 本と雑誌
 午後、府中市立図書館中央館へ。
 我が町の図書館にはない本を、近隣市町村住民への相互サービスという制度で借りていたので、返却に。バイクで15分ほどの距離なので、これはとても助かります。蔵書はインターネットで検索できますし。

 これまでは必要な本しか見てなかったのですが、今日はざっと全部の棚を眺めてまわりました。
 特設の棚があって、府中市在住の作家さんとか、関係深いテーマといった本が集められています。そんな中に競馬関係の本(小説、エッセイ、資料など)がかなり多く並べられている棚があり、にんまり。東京競馬場の地元ならではでしょうね。
 時間ができたら、ここで馬の本を読み漁るのも楽しそう。

 終日、薄曇りで気温はさほど上がりません。最高気温28.5℃(隣町アメダス)。
 とはいえ、動きまわるとやはり暑い。
 ということで、夕方には市民プールへ。

 いつものメンバーが顔を揃えていました。
 「今日は涼しいのに、よく頑張って」というと、「怠け癖をつけると、来たくなくなるからねえ。ガハハ」という返事。
 皆さん、夏の健康には毎日泳ぐことと心得ているようです。


8月も市民プール

2013-08-01 21:21:39 | 日記・エッセイ・コラム
 今年は7月上旬から真夏の暑さが続いたので、そろそろ夏も終わりに近づいたのではと思っていたのに、ようやく今日から8月。まだまだ夏本番なんですねぇ。

 東京はこのところ梅雨が戻った感じで、比較的涼しい日がつづいていたのですが、今日は昼前から天候が回復し、蒸し蒸しと暑くなりました。最高気温32.2℃(隣町アメダス)。

 夕方は当然、市民プールへ。
 昨日だったか初めて見かけた人が、やはり今日もやって来ていて「プールはクセになりますよね」と、声を掛けたい気分。でも、見知らぬ人なので控えました。まだ、そこまでオヤジにはなりきれません。
 ほとんど毎日泳いでいるかいあって、少し泳力がついてきました。最初は50メートルをクロールで60秒かかっていたのが、今日、測ったら55秒でした。

 〈小説推理〉9月号発売中です。担当しているSFレビューで以下の作品を取り上げました――

  • コニー・ウィリス 『ブラックアウト』 (大森望訳、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
  •     〃    『オール・クリア〈1・2〉』 (   〃   )
  • R・A・ラファテイ 『蛇の卵』 (井上央訳、青心社)
  •     〃    『第四の館』 (柳下毅一郎訳、国書刊行会)
 1年がかりで完結したウィリスの新作は、原稿用紙にして計3500枚の大長編。年内いっぱいじっくり楽しむつもりで取り掛かるのもよろしいのではないか、と。