金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

トランプの「逆ニクソン」外交は西側諸国の分裂を招く

2025年02月22日 | 国際・政治
 ロシアのウクライナ侵攻を正当化するように聞こえる最近のトランプ大統領の発言に強い違和感を覚える人も多いと思う。
 何故トランプ大統領はプーチン大統領を持ち上げるような発言をするのか?
 それはロシアをアメリカ側に引き寄せることで、アメリカの最大のライバルである中国とロシアの間にくさびを打ち込みたいからだ、と外交政策の専門家は述べている。
 WSJのWahington's embrace of Putin aims to drive wedge between Moscow and Beijingという記事はこの点を説明していた。
 Drive wedgeは「くさびを打ち込む」である。1970年代初期にニクソン大統領はそれまでの外交政策を転換し、中国に融和的な政策をとった。その狙いは中国の経済成長を促進することでロシアと中国の共同戦線を弱め冷戦を終結することにあった。
 今トランプ大統領が行おうとしていることは、孤立化し中国頼みになっているロシアに手を差し伸べることで、ロシアと中国の共同戦線を弱めることにある。
外交専門家の間ではトランプ大統領の試みはreverse Nixon「逆ニクソン」とあだ名がつけられているそうだ。
 しかしこの記事はサブタイトルの中で「1970年代のニクソンとキッシンジャーの指し手とは異なり、この戦略は西側諸国の分裂を招く恐れがある」と説明されている。
 Unlike Nixon and Kissinger's gambit in the 1970s, the strategy threatens to divide the West
 万一ロシアのウクライナ侵略が米国に正当化されるようなことがあれば、中国はそれを台湾併合の先例と主張するのではないか?
 日本はプーチンのウクライナ侵攻を認めるような行動をとってはならない。くさびを打ち込まないといけないのは、ロシアの領土欲に対してだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バフェットが株を買わないのに我々が買う必要がある?

2025年02月22日 | 投資
 WSJにWhy is Warren Buffet hoarding so much cash?「なぜウォーレン・バフェットは大量の現金を蓄えているのか?」という記事が出ていた。
 記事によると、バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイは、過去8四半期にわたり株を売り越していて、この四半期も売り越す見込みが高いようだ。
 その結果総資産に占める現金比率は約27%に達している。
 バークシャー・ハサウェイをよく観察している人は「株価が上昇し過ぎて魅力的な投資対象がない」ことが現金増加につながっていると分析する。
 最近高値を更新したS&P500は向こう12カ月の予想利益の22.3倍で取引されているが、これは過去10年の平均である18.6倍をかなり上回っている。
 昨年のバークシャー・ハサウェイの年次総会でバフェット氏は「我々は現金を使いたいが、リスクがほとんどなく、多額の利益を生むと思えない限り、現金を使うことはないだろう」と述べていた。
 この考えに従えば今は株式投資をするにはリスクが高いということになる。
 昨日米国株は大きく売り込まれ、ダウは1.69%、ナスダックは2.2%、S&P500は1.71%下落した。
 1月の既存住宅販売が前月比4.9%減少し、4百万戸強にとどまるなど景気の減速を示す経済データが続いたことが原因だ。
 また著名な投資家スティーブ・コーヘン氏が「大規模がコレクションが起きても驚かない」と講演で述べたことも影響しているかもしれない。
 コーヘン氏はトランプ大統領による関税引き上げ政策や連邦政府の経費削減政策が経済成長の鈍化を招き、それが株価の重しになると述べたのだった。
 米国株がPERから見て歴史的に高値圏にあることは総ての投資家が知っている。今多くの投資家は「売る」理由を探しているのだろう。
 バフェット氏やコーヘン氏の言動が多くの投資家に売る理由を与えるとすると株価の見通しは当面暗そうだ。
  
 


 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする