金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ボラティリティの復活、これも正常化?

2014年10月10日 | 投資

昨日(10月9日)の米国株はダウが334.97ポイント(1.97%)下落。これは今年最大の下落だった。この下落で一昨日の上昇(その前日の下落の取戻し)は帳消し。200ドル以上の乱高下が続いている。3年前の8月(欧州債務危機とS&Pによる米国の格下げ)以来の出来事だ。

昨日の株価下落の直接の原因は、原油価格の下落に伴うエネルギー関連株の株価急落によるところが大きい。原油先物価格は1.8%下落して85.77ドルまで下がった。これは2012年12月以降で最安値。原油価格の下落の原因は世界経済のスローダウンと供給過剰(今や米国は世界最大の産油国になっている)だ。

ドイツの8月の輸出が5.8%減少したことや、拡大するエボラ熱も悪材料。

だが、少し落ち着いて考えてみると、FRBが債券購入を終了して、時期は未定ながらゼロ金利脱出を目指すという「金融正常化」を目指す中で、株式市場も正常化に向けた動きを起こしていると見ることもできる。

少し前まで株価が高値を更新していた時期に、実は米国の富裕層はそれほど株式市場にニューキャッシュを入れていないという記事を読んだことがある。株価がもう少し下落して、値頃感がでたところでサイドラインにいた人たちが買いに入ると、底値が固まるだろう。それも含めて、正常化に向けて米国株式市場は動きだしたのかもしれない。

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【イディオム】Tug-of-war 米国と世界経済の綱引き

2014年10月09日 | 投資

昨日(10月8日)の米国株式市場は、FOMC議事録が公開された午後2時以降急速に値を上げた。ダウは274.86ポイント(1.6%)上昇、これは今年最大の上げ幅だった。とはいうものの、前日273ポイントという大幅下落を元に戻したというだけなのだが。

市場は、連銀が雇用の極大化という目標を達成するまで、インフレ率が2%を超えてこない限り低金利を持続するという連銀のコミットメントを好感した。

一昨日の株価の大幅下落はIMFが世界経済の成長見通しを下げたことによる。

ワシントンポストはJPモルガンのストラテジストの次のコメントを紹介していた。

The market is in a tug-of-war between the slowdown in international economies and the strong economiec numbers here in the U.S.

「(株式)市場は、国際経済の景気鈍化とここ米国の強い経済指標の綱引きの間にいる」

Tug-of-warのtugはタグボートのtugで曳くという意味。Tu-of-warは綱引きである。

今アメリカを除く主要経済圏、つまり日本・欧州・中国・南米では景気の減速感が強まっている。一人頑張っているのがアメリカ経済なのだが、どこまで頑張れるか?というと、1~2四半期という見方が多いようだ。つまり他の経済圏の景気が回復してこないと、数か月以内には悪影響が米国経済にでてくると見ている人が多い。

この綱引きの動きにつれて、株価の変動は激しくなるだろう。少し前株価のボラティリティが低すぎることに警鐘を鳴らした政策立案者がいたが、その心配だけは遠のきそうである。

★   ★   ★

 

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米株急落、良いはずのニュースも悪材料に。

2014年08月01日 | 投資

昨日(7月31日)米国株は大幅に下落した。ダウは317.06ポイント1.88%の下落。S&P500は39.4%ちょうど2%の下落だった。欧州ではドイツが1.9%、フランスが1.5%下落した。シカゴ日経平均先物も1.7%ほど下落しているから、今日の日本株も大幅下落で始まることは間違いない。

米株急落の一つの原因はアルゼンチンのデフォルトだった。しかしアルゼンチンのデフォルトは、株の売り時を探していた投資家にとって一つの言い訳材料に過ぎなかったという見方もある。

市場のセンチメントが弱気に振れていると本来は良いニュースであるはずの材料も悪く取られてしまう。

商務省が発表した第2四半期のGDP成長率(季節調整後)は、市場予想を超える4%だった。これは本来良いニュースのはずだが、市場参加者は、景気が強いと連銀の金利引上げ時期が早まるのではないか?との懸念を高め、これも売り材料となったようだ。

ウクライナ問題についてはロシアへの制裁強化が欧州経済を更に減速させるという懸念を高めるなど悪材料は多い。だが弱気の一番の原因は、投資家の高所恐怖症だろう。

ダウはこれまで33か月間、10%以上のコレクション(株価下落)なしに順調に伸びてきた。しかし過去を振り返ると第2次大戦以降20ヶ月に1回は最低でも10%の株価急落が起きている。

果たして今回10%程度のコレクションが起きるかどうかは分らいが、私見ではもう少し売り込まれるような気がしている。

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アマゾン、本は買っても株までは・・・

2014年07月25日 | 投資

昨日(7月24日)アマゾンは第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比23%増の193.4億ドルだったが、事前予想より大きい1億26百万ドルの損失を計上した。また同社は現四半期についても最大で8億10百万ドルの損失を見込んでいる。売上高営業利益率は、マイナス0.1%。もともとアマゾンは利益率の低い会社だが、それでも前年同期の0.5%、前々期は0.7%とプラスだったが、またマイナスになってしまった。

この決算発表を受けて、同社の株価は10%下落した。このところアマゾンは決算発表のたびに株価が急落している。今までアマゾンの先行投資に寛容だった投資家もしびれを切らし始めたのだろう。

数か月前某証券会社からアマゾンの株を買わないか?としつこく勧められたことがあったが、目先の利益を無視した成長戦略が好みに合わず断った。

投資銘柄としては疑問符が付くと私は思うアマゾンだが、消費者にとってはありがたい会社だ。私は最近紙の本・電子本ともほとんどアマゾンで買っているし、時々カジュアルシャツなどの軽衣料も買うことがある。また最近ではアマゾンから電子本も出版したので、アマゾンには感謝をささげなければいけない。

電子本といえば、先日アマゾンは米国で月10ドルで電子本とオーディオブックを無制限に利用できるキンドル・アンリミテッドというサービスを開始すると発表した。WSJによるとこれで年間の売上高が10億ドル伸びるという見方もあると報じていた。

もっとも「アマゾン・キンドルにはペンギンブックスなど人気の高い本はない」とか「既に提供してるアマゾンプライムとかぶるところが多い」という辛口の声も聞かれる。

アマゾンの利益率が低い最大の理由は、クラウドサービス等への先行投資が大きいからだ。クラウドサービスはアマゾン、グーグル、マイクロソフトが苛烈な価格競争を展開している成長分野だ。我々クラウドサービスのユーザとしては価格競争のメリットを得ているので、これまた消費者とは感謝すべき話なのだが。

別の話になるが、昨日自宅の近くに新しくセブンイレブンの店がオープンした。住宅地に近いので、食料品の販売に力を入れているのが分る。

今日総務省が発表した6月の全国コアCPIは前年比で3.3%上昇した。4月の消費税引き上げ効果を除くと1.3%の上昇で5月(1.4%)を若干した回った。物価が上昇して名目ベースで経済が拡大することにメリットがあることは分るが、物価の上昇につれて収入が増えない人、特に年金を生活原資にする人にとっては頭の痛い話だ。

これは日米とも同じ話。少しでも安いものや少量で効率の良い買い物ができる場所を消費者は探している。アマゾンの動きや最近のコンビニの新店舗展開競争を見ていると、昔からの小売業はほとんど立ち行かなくなることを改めて実感する。

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【イディオムシリーズ】core holdings

2014年07月19日 | 投資

昨日(7月18日)場が引けた後で発表された第2四半期のグーグルの決算は増収ながら若干の減益だった。

売上高は前年同期比22%、前四半期比3%の増益で156.6億ドルになったが、純利益は34.2億ドル、一株当たり利益はアナリスト予想6.25ドルを若干した回る6.08ドルにとどまった。グーグルの純利益が減少した理由の一つは、クラウドコンピューティング用のデータセンターの先行投資だった。

投資家はグーグルの決算を好感して、同社の株価は24.29ドル(4.18%)上昇した。

野村證券のアナリストDiclemete氏はGoogle is still a core holdingsというコメントをCNBCのインタビューで述べていた。

「グーグルはなお投資の中核銘柄である」という意味だ。

Core holdingsというのは、ポートフォリオの長期的な核となる銘柄のことで、一般的にはS&P500連動上場投信など市場全体のパフォーマンスに連動する銘柄をさすことが多い。またグーグルのように業界を代表するような銘柄で、長期的な成長が期待できる銘柄もcore holdingsと呼ばれることもある。

このようなcore銘柄の周りに市場平均よりパフォーマンスを上げるだろうと予想する銘柄をSatellite(衛星)として、保有していくというのが、パッシブコア・アクティブサテライトと呼ばれる現代の標準的なポートフォリオ構築手法である。

ちなみにアナリストの75%強はグーグルの買い増しを推奨し、残り25%は継続保有を推奨していた。売りを推奨する人は誰もいなかった。

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