金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

人口減少と何でも自分でする社会

2005年03月03日 | 社会・経済
国内総生産(GDP)は、人口数×一人当り労働生産性で決まる。
今後日本の労働人口が減少する中で、GDPを維持しようと思うと一人当り労働生産性を高める必要がある。
日本は米国と較べた場合、機械・化学など一部の分野を除くと労働生産性が低い。

この一つの理由は、日本の人口が多過ぎたことだ。多くの人間が食べていくため総ての人に仕事を与えることが重要と
考えられ生産性の低下が見過ごされてきた。

一方米国社会は「開拓型社会」であり、自分のことは自分でやる社会である。つまりDIY=Do It Yourselfの社会である。

もっとも日本でもサービス業・小売業を中心に「自分でやる」社会に変りつつある。例えば私の体験でも、10数年前はクリーニング屋さんはワイシャツ1枚でも取りに来て又配達してくれた。
でも今は「背広など沢山出して貰えると来ますけれど・・・」とワイシャツ程度では断られてしまう。
お酒屋さんも然り。配達してくれそうな店もあるけれど、価格は高そうだ。
ディスカウントショップは当然配達してくれない。
これは小売り・サービス業がかなり米国型になっている証拠である。

ところで私が身を置く銀行業界ではまだ個人宅への外訪や集金が結構多い様だ。
これは米国では絶対に考えられない。
まず見知らぬ人が予約もなしに家の周りをウロウロしていると「不審者」と思われ、悪くするとそれだけで発砲される可能性がある。(やや極端だが)
それと現金や小切手を他人に渡すことにリスクを感じるだろう。

人を信じられない世界には寒寒としたものを感じる。
これを見ると日本はまだまだ富山の薬売り的良俗が残っていると思う。
しかし少子高齢化による人口減少は容赦なく来る。
この時金融サービスはもっとも合理化を求めれれる業種の一つになるだろう。
恐らく個人宅訪問はドンドン少なくなるはずである。またそうならないとコスト倒れになてしまう。

金融におけるDIYといえば、自分でオーダーメードの資産運用をする人が飛躍的に増え時代が来るのではないか?

これは今流行の「デイトレーディング」とも違うし、投資信託への投資とも違う。
トレーディングはどちらかというと投資ではなく投機だ。儲けた快感は残るが長い期間を通して高いリターンを得ることは極めて稀だろう。
投資信託は運用報酬や販売手数料が高過ぎる。
プロの運用者といえ高い報酬を正当化する程のリターンを出すファンドはそう多くないはずだ。

それに較べて個人のオーダーメードの資産運用とは高配当の株等じっくり持てる現物株式や外国債券に、低コストで長期投資をすることである。
株式選択の「スクリーニング・ツール」やインターネットで得られる様々な情報や安い個人口座がそれを可能にする時代がやってきた。

避けられない少子高齢化を嘆いてもしかたがない。
むしろ何でも自分でやる社会の到来を歓迎するべきである。
来るべき社会では~今も既にそうだが~、自分で努力(例えばディスカウントストアにお酒をまとめて買いに行く)をすれば、コスト下げることができる社会であり、また工夫と正しい知識によってリーズナブルなリターンをあげることができる社会である。



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