金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

休み位自分で決めれば?

2015年01月07日 | ニュース

今日(1月7日)の読売新聞夕刊のトップは「有給休暇取得、企業に責任・・・時期指定義務つけ」だった。

批判を恐れず、やや極論を言うと私は「大人なんだから休み位(従業員が)自分で決めれば?」と考えている。恐らく日本以外の先進国の連中が、このニュースを見ると呆れるか?あるいは理解の範囲外だと感じるだろう。別によその国の人が、呆れようが理解し難かろうが構わないという意見もあるかもしれないが、世界の標準から相当ずれていることは認識しておく方が良いだろう。

この問題に関する世界の標準は何か?というと私は「人々は休みを取り人生をenjoyするために働いている」ということだと考えている。先進国の多くの人は「いつ何をするために」休みvacationを取るか?ということを前提に、1年間の、あるいは場合によっては数年間の仕事計画を立てている。例えば5年働いたら、無給だけれど現在のポジション復帰が保証されているフランスの会社の会社に勤める人の場合は、5年働いてお金を貯めたら世界一周の旅に出ようと考えている、などという具合だ。

新聞によると6割の人が「休むと他の人の迷惑になる」と考え、5割の人が「仕事量が多くて休む余裕がない」と考えている。私は会社がやるべきことは、有給休暇の時期を指定することではなく、これらの問題にどう対処するべきか?ということの方が重要だと考えている。

「休むと他の人に迷惑になる」については、「担当者が休んでいる時、誰かがそのかわりに対応しなければいけない仕事はどれ位あるのか?担当者が休み明けに出てきてやれば済むことが多いのではないか?」ということを考える必要がある。

私がかって米国に勤務していた時の経験では、米国人顧客は余程の急用でない限り、「担当者が休暇を取っている」というと、「あっそう。じゃ出てきてから連絡をくれ」で話は終わった。また休暇をとる方も事前に想定可能な対応をしているので、誰かが休みをとっても、回りの人が大きな迷惑を受けることはなかった。要は会社の内外が「休暇に寛容な」風土を醸成していけば、大概のことは片付くのである。

「仕事が多くて休む余裕がない」については、会社・従業員双方が考え方を見直すべきなのだ。会社側が見直すべきは「全従業員が有給休暇の7割を取得する」という前提で、人員配置を考えるべきだ。また担当者の裁量権を増やして、余り細かいことまで一々決裁を求めるような仕組みを見直すべきだ。従業員側としては、生産性の向上に努力する余地はあるだろう。顧客を訪問する前に「その用件は電話で済ますことはできないか?」と考え、電話をかける前に「その用件はメールで済ますことはできないか?」と考えるだけで生産性は向上してくるはずだ。

繰り返し言おう。有給休暇位自分で決めて堂々と取れば良い。もし会社が有給休暇の取得時期を義務つけるようなことになると、一部の従業員から「私は有給休暇を取ってもやることがありません。どうすれば良いでしょうか?」といった質問がくるだろう。そうすると今度は会社は「有給休暇の使い方」まで指導することになる。

大人なんだから、休みに何をするか位は自分で考えよう。何かしたいことが決まれば、休みが取りたくなるはずだし、休みが取りたくなれば、休んでも周りの人の負担を軽くする方法は考えつくはずだ。会社はそれをサポートすれば良いのである。

そのためには「人は人生をenjoyするために働いている」という当たり前の原則に立ち返るべきである。力一杯ボールを叩けば、遠くに飛ぶというものではない。リラックスしたスイングが良い結果につながることは多い。「人生をenjyoyするために働いている」国の人々が往々にして高い生産性を上げているのを見ると、人生でもリラックスが大事なんだと感じることが多い。

コメント
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